【時事ネタ】保育施設事故過去最多について
2022年7月7日に、こんな記事が出ました。
保育施設事故、5人が死亡 21年、報告件数は過去最多 内閣府
https://news.yahoo.co.jp/articles/8a889f0d07a5798d75544b7dc4f8853950a7363f
ソースは内閣府が同日に公表した「子ども・子育て会議(第61回)」の配布資料4【令和3年教育・保育施設等における事故報告集計について (PDF形式:496KB)】でした。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_61/index.html
資料によると、令和3年に報告された教育、保育施設における事故は2,347件、対前年+332件(+16.48%)で過去最多だったそうです。
また、記事のタイトルにもなっている死亡事故は5件、前年同様とあります。
こうしたニュースを見るとき、数字だけを見て「増えている」と判断することはできません。
母数となる対象の教育、保育施設を利用する子どもの数と比較して事故件数が増加しているか否かが重要となります。
教育、保育施設の利用者数はどう推移しているのか?調べてみました。
①保育園等の利用者数
厚生労働省の発表によると、保育園等の利用者は下記の通りでした。(出典1)(補足1)
R2年 2,183,652人
R3年 2153193人(対前年▲1.39%)
保育園の整備自体は進んでいるイメージがありましたが、やや減少という数字でした。コロナによる出生数減の影響もあるのかもしれません。
②幼稚園の利用者数
こちらは文部科学省の学校基本調査を参照しました。(出典2)(補足2)
R2年 1,837,013人
R3年 1,805,882人(対前年▲1.68%)
こちらは明確に減少していました。子どもの出生数の減少の影響は、保育園よりも幼稚園に大きく及んでいると言えそうです。
ともあれ、①と②を足すことで保育園等と幼稚園の利用者数が分かります。(補足3)
③保育園等+幼稚園の利用者数
R2年 4,020,655人
R3年 3,959,675人(対前年▲1.53%)
保育園、幼稚園共に利用者が減少していることにより、合計利用者数は▲1.53%、▲61,590人の減少という結果でした。
【結論】
保育園等と幼稚園の利用者数合計は減っているにも関わらず、事故報告件数は増加し、過去最多となっている。
事故報告件数 2,347件(対前年+16.48%)
保育園・幼稚園利用者数 3,959,675人(対前年▲1.53%)
では、なぜ利用者が減っているのに事故が増えているのか?次回の記事で考察したいと思います。
(出典1)保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)及び「子育て安心プラン」「新子育て安心プラン」集計結果を公表
(出典2)文部科学省 学校基本調査令和3年度
(補足1)同じ資料にある幼保連携型認定こども園を除く数字です
(補足2)幼保連携型認定こども園を含む数字です
(補足3)事故報告の対象施設はもっと広範囲ですが、大半を①②がカバーするため、①+②の増加率と比較します)