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読書日記:衝撃だった小説「夏物語」

以前から好きだった川上未映子さんの「夏物語」、ちょうど夏だし、と安易な気持ちで読みましたが、衝撃でした。

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過去に取り返しのつかない傷を負って、そのために子どもは産まないと決意している登場人物が、問いかけます。
「誰のために子どもを産むのか」
「自分の子どもがぜったいに苦しまずにすむ唯一の方法っていうのは、その子を存在させないこと」

この、「誰のために」産むのか、という問い、「子どものため」というのは成り立ちません(産まれていないのだから、そんな意思は存在しない)。
私たちは、子どもを「自分のために」産む。子どもが不幸な人生を歩む可能性があっても、産む。その欲望は力強く、理屈では説明できない。

よく大人は子どもに「あなたのためだから」と自分の意見を押し付けますが、産んだこと自体が自分のためなのであれば、その後の子育てでもどこまで本当に子どものためなのか、大いに疑わしいと感じました。





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