保育士を目指した理由②『母親ペナルティ』の衝撃
●出産して知った、「母親ペナルティ」等根深いジェンダーギャップ
復職してから感じたのは、育児を主に母親が担うことが、会社組織において男性にいかに有利かということです。
復職に当たって、もちろん150時間残業できるわけもなく、時短、降格、当然給与は引き下げられました。それでも、残業が免除されることをありがたいと思っていました。
同僚には恵まれていましたが、専業主婦の奥さんがいる男性社員からは、「早く帰れていいよな」という類いのことを、何度も言われました。
また、出産してから読んだ本で、子どもがいる夫婦の年収格差が日本はOECD加盟国中韓国に次いで2番目の高さで、子どもを持つことが「母親にとってのペナルティ※注釈1」と表現されていることを知りました。
未だに子どもは3歳までは母親が家庭で育てることが望ましい3歳児神話(※注釈2)の影は色濃く、出産したら認可保育園には入れられず、復職したら給与は下がり、残業しないことに嫌みを言われ、かくして夫との給与格差は開き、家庭でも会社でも自分の役割への自信が失われていく。
なるほど、母親ペナルティという言葉はとても正確に日本の母親の状況を表しているように思えました。
有名な「M字カーブ」も、改善されていると報道されていますが、出産後の女性の就業形態は非正規の割合が高く(注釈3)、ジェンダーギャップ解消とは程遠い現状です。
これらの出産と育児を巡る役割が、女性にとっていかに過酷かを出産して初めて知り、少しでもその解消に役に立ちたいと思ったことも、保育士を目指そうとした大きな動機になりました。
※注釈1 母親ペナルティについて紹介した本
貧困と保育
貧困と保育 https://www.amazon.co.jp/dp/4780308216/
元々はOECD2012レポート
https://www.oecd.org/gender/closingthegap.htm
※注釈2
3歳児神話について、平成10年版厚生白書58ページでは、『少なくとも合理的な根拠は認められない』と記載されている
※注釈3
M字カーブ解消の実態(内訳)について
男女共同参画白書平成26年版
『多くの女性が結婚・出産期にさしかかる25歳以降で,正規雇用が減少して非正規雇用が増加する傾向が見られる』