保育士を暴力に駆り立てるもの
少し前になりますが、鹿児島県鹿屋市の保育園で5歳児クラスの子どもを保育士が平手打ちし、鼻血を出すケガをさせたという事件がありました。
二年ほど前から報道が活発になってきた不適切保育と虐待ですが、今回の件は虐待に分類されます。
これまで何度か取り上げてきましたが、不適切保育が起こる原因の一つには、「やっている保育士に不適切という自覚がない」事が挙げられます。
※過去の不適切保育の原因についての記事は↓
しかしながら今回の件は「平手打ち」という明確な暴力であり、「本人に自覚がなかった」という理屈は通りません。
ではなぜ、保育士は子どもに暴力をふるってしまったのでしょうか?
そもそも暴力的な性格の保育士だった、人員が足りず子どもを制止する事ができなかった、など考えられますが、舞台が「お遊戯指導中」とあることから、最も大きな原因は「お遊戯等の出来栄えを子どもと保育士に強く求める園だった」事が挙げられると考えます。
子どもの年齢も5歳とあり、おそらく年長クラスで、時期的には運動会の練習だったのではないでしょうか。
保育園の運動会やお遊戯会で、子どもにまるでサーカスの見世物のように難易度の高いものに挑戦させる保育園は珍しくないと思います。保護者は子どもの成長した姿を見て感動するかもしれませんが、その過程が強制や指導によるものでは、目的に対して手段が間違っています。
ギネス記録やオリンピックメダルがかかっているわけでもない保育園のお遊戯で、子どもを平手打ちするまでむきになってしまう前に、本来の目的に立ち返り、できないことを強制するのではなくやりたい気持ちを持てるように工夫していきたいと感じました。