実も蓋もない読書日記「利己的な遺伝子」
リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」、本屋で見かけてたまたま購入したのですが、とても有名な本だということを読み終えてから知りました。(進化生物学や遺伝関連の本によく引用されているので)
生物の行動は遺伝子の利益が最大になるように決定されるという論なのですが、その中で特に男女(雌雄)の性戦略についての箇所が非常に衝撃で、かつ説得力のあるものでした。
親の言う「あなたのため」というのは、当の親は本気で言っていますが、その影には「あなたの(成功=私の投資の成功の)ため」という倫理上実も蓋もない「不都合な真実」が隠れています。
子どもに接するとき、「私は子どもの幸福を第一に考えているのだから、子どもは私に従うべき」という思考に陥って、言うことを聞かない子どもに苛々してしまうことは多いと思います。
(テレビを見る時間、食べ物の好き嫌い、スーパーで駄々をこねる、寝る時間、次の日の支度、等々)
また、時間や費用を掛けたことに、無意識のうちに見返りを求めてしまうこともあります。(高い月賦を払った習い事の成果を期待する、「やめたい」と言われると失望する、自転車の練習にずっと付き合っているのに乗れるようにならず苛々する、等)
この「親は子どもの幸福を願っている」ことの欺瞞は、川上未映子さんの「夏物語」でも描かれていましたが、子どもを産むという行為そのものが子どもの幸福のためではないのであれば、その後の子育てにおいても同様だと言えると感じたことと結び付きました。
また、子育てをしていて他の子どもと比べて焦ったり、きょうだい児のどちらかをひいきしてしまう心理も説明がつきます。
親が子どもの幸福を願うのは、その子どもの幸福を通じて親自身の投資を最大化しようという生物としての本能があることを知ると、育児で感じるストレスが少し軽減されるように感じました。