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子どもを大人に従わせることが仕事だと思っている保育士

保育士になってから、保育園において「子どもは大人の言う通りにするべき」という考えがなぜこんなにも根強いのか考え続けています。

散歩の際の交通ルールや高さのある遊具の遊び方など、安全面で守らなければならないことを言い含め、守らせることはもちろん重要です。
ただ、それ以外の「大人が大人の都合で決めた(どうでもいい)ルール」を子どもに守らせることが保育士の仕事であると考えている人があまりにも多いと感じます。

例えば、
・食事の好き嫌いを許さない
・玩具の使い方を制限する(保育士が決めた玩具以外使わせない、2つ以上持っていたら他の子に譲らせる、等)
・手伝ってほしい気持ちを受け止めない
等々。

こうした保育士のルールに従わない子どもには、厳しい声かけで脅し、時には侮辱し、従わせようとします。
例えば、
「好き嫌いすると大きくなれないよ」
「お約束守れない人は遊べません」
「先生今何て言った?」「ちゃんと聞いてた?」
「そんなこともできないの、赤ちゃんみたいだね」「ひよこ組に行く?」
等々。

言うことを聞かない子どもは「わがまま」と切り捨て、言うことを聞かせられない保育士は「子どもになめられてる」と見下します。

100歩譲ってこれが自分の子どもに対してであれば、自分の遺伝子を有利な形で増やしたいという本能に沿った行動だと理解できます。

ただ、保育士にとって登園してくる子どもは他人の子どもであり、あくまで職業として保育に当たっているに過ぎません

好き嫌いがあっても、自分で選んだ玩具で遊んでも、着替えを手伝ってあげても、保育士に不利益はないはずです
にもかかわらず子どもを自分のルールに従わせようとし、そこからはみ出す子どもを許さないのは、なぜなのか?

不適切保育がこれほど多いことを考えると、個人の特別な資質ではなく、やはり人間の本能に基づいているのではないかと思いますが、まだまだ答えは見つかりません。

津守眞さんの「保育者の地平」の一節を、自戒も込めてお借りします。

成長とは、大人に具合がいいように変化することを言うのではない。その子自身が、自分から何かをするようになり、自分の人生を自分らしく形成するようになることである。

津守眞 保育者の地平

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