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運動会って誰のため?

職場の保育園の運動会が終わりました。
園庭がない小規模園なので、室内で保護者は呼ばず、保育士と子どもだけの実施でした。

運動会も、保育士によって姿勢にかなりの温度差があります。
「ほら、◯◯ちゃん、遅れてるよ!」
「ふざけないで、ちゃんと前見て!」
「できるまでやり直しするよ」
等、『決められたことを決められた通りやる』ことを目的にして取り組む保育士と、細かな動きや流れよりも『子ども達が楽しんで、安全に参加できる』ことを目的にする保育士と、大きく二つに別れるのではないかと思います。

そもそも、運動会とは、何のために、誰のためにやるのでしょうか?
小学校の学習指導要領には、特別活動として、下記の通り内容を定めています。

健康安全・体育的行事
 心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵(かん)養,体規の向上などに資するような活動を行うこと。

小学校学習指導要領

一見して『規律』『集団行動』『連帯感の涵養』とあり、小学校における運動会がただ楽しむだけではなく集団規律を体得することを目的としていることが分かります。

一方で、保育所保育指針はどうでしょうか?
こちらは、運動会等の体育的行事については特に具体的には記載されていません。
関連するのは指針における5つのねらいのうち、「健康」に当たるかと思いますが、3歳以上の「健康」についての内容の取り扱いの項には下記のような記載があります。

様々な遊びの中で、子どもが興味や関心、能力に応じて全身を使って活動することによ
り、体を動かす楽しさを味わい、自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにする
こと。その際、多様な動きを経験する中で、体の動きを調整するようにすること。

保育所保育指針

この他にも集団の生活に触れた項目がありますが、いずれも個々の成長を踏まえて集団の活動を計画するという主旨で、『規律』という言葉は一度も登場しません。

この指針を読む限り、保育園における運動会とは体を動かす楽しみを子ども達が知るための機会の一つであること、リレーやダンス、パラバルーン等のプログラムはその目的を達成するための手段であると言えます。

ですが一方で、この手段を目的化してしまっている保育士、保育園が多いのが現実ではないかと感じます。
揃ってダンスが踊れる、全員大縄が飛べる、跳び箱が飛べる、等、「分かりやすい結果」を追求すると、保育園の運動会は本来の目的である子ども達が「体を動かす楽しみ」から外れ、「規律」を守った画一的な内容になってしまいます。

言葉を選ばずに言うと、「子ども達に仕込んだ芸を保護者の前で披露する」ための機会に成り下がってしまうのではないでしょうか。

保護者へのサービス、保育士の自己満足ではなく、子ども達が楽しんで活動するための手段として、競技の内容や練習方法を考えていきたいと感じました。

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