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入園前書類にて「コップを持って飲める はい/いいえ」

保育園入園前の書類に、冒頭のように何ができて何ができないか丸をつけるアンケートみたいな書類があることがある。

園や自治体によって項目の数も、内容もさまざま。

この書類に対する私の考え方を記していきたいと思う。


例:水分補給の方法

仮に、ゴールが「コップで飲める」だとする。

細かく分けて書き出してみる。順番はおおよそ以下の順になる。
もちろん個人差があるので、この通りに行くとは限らず、順番が入れ替わったり飛ばしながら進む場合が多いし、これ以外の水分摂取方法もある。

哺乳瓶
スプーンですくって飲ませる
ストローマグ
コップ(大人が持って支える)+ストロー
吸い口のついている直飲みタイプのマグ
取っ手の2つあるコップ
取っ手がない、もしくは取っ手が1つのコップ

吸い口のついている直飲みタイプのマグはスパウトと言うらしい。初耳。

※アマゾンのリンクを貼っていますが、クリックしても購入しても私にメリットはありません。
そもそも、アマゾンのアカウントを持っていません。

「コップ飲みができる」が「はい」だったとしても、1回できただけかもしれないし、家のコップならできるけど、園で使っているコップは持ち手や飲み口が違うかもしれない。

牛乳やジュースなら飲むけど、お茶は好きではないから飲まない、というパターンもある。


以前、コップである程度は飲めても最後まで飲めない子がいた。

なんでだろうと思ってよくよく観察してみると頭を後ろに傾けるのが難しいらしい。

どうしたらいいのかなー?と思っていたらこんなコップも存在していた。

手前側が斜めになっていて、頭を後ろに傾けなくても最後まで飲めるようだ。(実際の使用場面は見たことがない)

以前、入園してきた子どもに対して
「コップ飲みできるに『はい』って書いてあったのに全然できないじゃない」
とわめいている同僚がいた。

繰り返しているが、家と園とではさまざまな状況が違う

打ち解けていない大人の前では、できることができないこともよくある。

だから、私はこの書類を100%は信じないことにしている

もちろん保護者に書いていただいた情報は参考にするし、家での様子を教えていただけるのもありがたい。

たまに、「いいえ」に丸がついているのに、持たせてみるとできるというパターンもある。


書く側の保護者も2択しかなくて、タイミングによっては迷って書いているんだろうなと察する。

かといって選択肢を増やしたり、質問の数を増やすことも保護者や読む側の負担が増えるだけでナンセンスだと思う。

「いいえ」に丸がついていれば、どんな道具でどんなステップで進めていこうか、考えるのが保育士の仕事。

「はい」に丸がついていて、でも園でその姿が見られないのなら、道具を変えてみたり、ステップを戻してみたり、時には進めてみたり、時間をかけて信頼関係を築いたり。

園によっては、マグなどが家庭から持ち込める園もあるし、衛生面などからできない園もあるので、保育者は園で使える道具を使って創意工夫していく。

こんな試行錯誤を重ねながら日々、保育にあたっている。

たとえ家庭と違う姿であっても、その子の今できることを受け止めていく。


つまりは、保育者は、「園での子どものありのままの姿」をとらえることが必要で、
保護者は、入園書類の記入の際、「はい」にするか「いいえ」にするか、必要以上に悩みこまなくても大丈夫ですよ、子どもは保育園でも家庭でも一歩一歩成長していきますよ、というお話。





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保育士みっちゃん
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