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29歳を迎えた時の話
「なんてことなかった。全然気にならない」
というのが29歳を迎えた時の感想だった。
*****
20代前半、
年齢層の厚い園で働いていた。
上は60代、50代がいて、
主に小学生を育てている40代がいて、
入れ替り立ち替り産休・育休を取っている30代。
同じ20代だけどキャリアとしては上の
アラサーの先輩たち。
そして、
ちょっと上の先輩と同期と後輩に
囲まれて働いていた。
先輩だけど短大卒だから年下、
違う分野も学んでたから、後輩だけど年上、
なんてパターンもあって、
ごちゃっとしていた。
20代前半だけで、
職員の約半数を構成しており、
何かと”若い先生たち”
というくくりで扱われた。
園の中でも、保護者からの視線も
40代以上がベテラン、
30代が中堅という感覚が
あったように思う。
話の主人公は、
どの世代にも属しないアラサーの先輩たち。
下の図だと斜線の立ち位置。
たまたま人数も少なく、
ちょうど真ん中の世代。
若い先生扱いはされないし、
かといってベテランでも中堅でもない。
*****
その時の園児の保護者の平均年齢は約30歳。
第一子のみのおうちは、20代が多く、
時には10代もいた。
アラサーの先輩達は、
自分より若い人が結婚して、
子どもも産んでいることを気にしているのかな?
どう思っているんだろう?
自分は結婚できないとモヤモヤしているんだろうか?
私も30までに結婚するんだろうか?
と思っていた。
その先輩たちは、きちんと経験も積んでいて、
保護者からも信頼されていたけれど、
その時の私には、
自分がそんなふうになれる自信がなかった。
30すぎても結婚しておらず、
子どももいない保育士を
保護者は信頼してくれるのだろうか?
どのように見られるのだろうか?
とても不安だった。
*****
それから、何年も経った。
転職もした。
あの先輩たちがどうしているかは、
もう分からない。
すっかり忘れていた。
29歳の誕生日を迎える前、
ふと思い出した。
きっかけは、
誕生日前日に言い渡された休みだった。
夏季休暇を順番に取っていくことになっていて、
「明日、休めるよ。
休める時に休んでほしいから、
よろしくね」
とやや強引な形で休みが決まった。
その時の園は、
職員の権利を大事にする園だったので、
休める時には休んで、
休暇を消化しないといけなかった。
29歳の誕生日当日に予定がないのに
休みになった。
仕事だったら、
子どもたちと一緒に過ごせたのに、と
急に悲しくなった。
29歳、恋人も配偶者もいなくて、
さみしい気持ちを仕事で埋めようとしていたのかな
って思った。
あの先輩たちが
どんな気持ちで保育していたのか、
その時分かったような気がした。
結婚していないことも、
子どもがいないことも、
全然気にならなかった。
誰だって、
1年経てば人間は1つ歳を重ねる。
そんなことに抗ったってしょうがない。
私は保育士の仕事が好きで、
目の前の子どもを大事にすることが大切。
その気持ちがあれば自分の年齢も、
結婚しているかどうかも、
子どもがいるかどうかも、
保護者の年齢も、
全然関係ないなと思った。
きっとあの先輩たちも
そう思っていたんじゃないかと思う。
というか、そんなこと気にしていたのは
私だけだったのではないかな。
保護者が内心でどう思っているかは
知らないけれど。
おしまい
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