タコには手が8本ある
タコには手が8本ある。
正確には足かもしれないし、イカにはさらに2本多い10本の手がある。
何を言い出したんだろう、と思う人がいることは十分承知している。
一つ前に、「保育中のくちぐせ」というタイトルのnoteを投稿した。
ありがたいことに、「#育児 記事まとめ」マガジンに入れていただき、たくさんの方に閲覧され、過去最高のスキをいただいている。
ありがとうございます♡
投稿した直後、この3つ以外にもよく使う言葉があるのを思い出したので記しておく。
「あのね、先生には手が2本しかないの。もし、タコだったら手が8本あるのにね~」
淡々と、時には悲しそうな表情もしながら、いたって真面目に言っている。
保育中の保育士は忙しい。
右隣の子のコップに右手で牛乳を注ぎながら、左手で台拭きを動かし、飲み終わらなさそうな左隣の子に次にどういう声掛けをしようか考え、隣のテーブルの保育士がお茶を取りに行っている間にそのテーブルに何事も起こらないよう目を配っていると、「ぎゅうにゅう おかわりくださーい」という声がとんでくる。
猫の手も借りたい!と思うときに、「ちょっと待っててー、先生の手は2本しかないの。もし、タコだったら手が8本あるから、すぐに牛乳持って行けるんだけどね。先生、タコだったらよかったけど、人間だから、手は2本なんだよね」と話しかける。
子どもたちもなんかそれっぽく話を聞いているうちに、隣のテーブルの保育士が戻ってきて、目を離してもよくなり、右手が牛乳を注ぎ終わり、左手も垂れた牛乳を拭き終わり、おかわりを配りに行ける、という次第だ。
ちなみにさきほどのセリフ、結構早口で言って、およそ10秒。
でも、この10秒を繋いでおくことがものすごく大切なのだ。
やれやれ、と思って飲みあぐねている左隣の子に声を掛けようか、飲み終わって席を立ちたそうにしている正面の子に先に声を掛けようか、一瞬迷って左の子の名前を呼んだ瞬間、さらに左隣の子が、コップを落とすこともある。
ああ、先に声を掛けるべきはこっちの子だったか……となる。
ただでさえ、液体が床にこぼれるのは処理が大変で保育士がバタバタする。その上、牛乳アレルギーの子どもがいる場合、さらに気を配らなければならないことが多く、そんな時には声が大きくなったり、ちょっと厳しい言い方になったりしてしまう。
落ち着いて処理すればいいとは思うけれど、こぼれた牛乳を一刻も早く拭かなきゃと焦る気持ちと、その間にも数多くの子どもの動きを把握しなければならず、こういう事態は事前に防げるのならば防いでおきたい。
というわけで、10秒を何事もなく繋いでおくことが大切だし、子ども一人ひとりの動きが把握できていても手が足りなくて対応できないことがあるので、本当に猫の手も借りたい。
猫の手2本では足りないので、8本手があるタコがいい!ということになった。
ついでにちょっとした豆知識や数の概念にも繋がったらいいなーと思い、いたって真面目に使っている。
「ちょっと待っててー!!」をユーモアに変える魔法の言葉。
自分で生み出して、けっこう気に入っている。
もし、こんなことを言っている保育士が同僚にいたらきっと私だと思う(笑)