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「ねぇ、私たちは子どもたちに何食べさせてるんだろうね?」

食物アレルギーと給食の話。

以前勤めていた園Aでは、食物アレルギーを持つ子に配慮して、卵と牛乳を使用しない給食だった。

牛乳は飲み物としては出るけど、クリームパスタやポタージュ、ホットケーキには入らない。
代わりに豆乳を使っていた。

卵は一切使用せず。
マヨネーズは卵を使用しないマヨネーズ風ドレッシングを使っていた。

アレルギーのある子どもにアレルゲンである食材を食べさせてしまうことを誤食(ごしょく)というのだけれど、これを極限まで防ごうとしてこのような献立を立てることにした模様。

知り合いの勤めていた園では、これに小麦も加えて、三大アレルゲンを含まない献立による給食が提供されていたらしい。




A園以外の今まで経験した園や実習先の園では食物アレルギーのある子には、除去食代替食が提供されていた。
除去食はアレルゲンを除去した給食。代替食はアレルゲンを別のもので代替した給食。

例えば、かきたまスープなら、
除去食・・・中華スープ(溶き卵を入れない)
代替食・・・コーンスープ(卵の代わりにコーンを入れる)
こんな感じ。

献立を立てる時点でのミス、食材選択のミス(例:同じちくわでも卵入りのものを選んでしまう)、調理時の混入、配膳時のミス、食事時のミス(他の子ども用のものを食べてしまう)など、誤食はヒューマンエラーで起きる。

アレルギーの研修も受けたことがあるが、講師の先生が一番繰り返していたのが「ヒューマンエラーは防げない。だから何重にもチェックをかけよう」ということだった。

献立作成時から実際に食べる時まで、調理員や保護者、クラス担任など何重ものチェックをかけて、日々、誤食を防いでいる。
もしも、誤食があった時にどう対応するかのマニュアルも作られている。

それでも、私の約10年の保育士歴の中で、同じ園の中で誤食が発生したことが2回ある。
どちらも肌が赤くなる程度で大事には至らなかったが、原因の追求と対応の見直しが行われた。




さて、本日のトップ画像は今日の夕食。
ミートドリア。作りかけではない。

これを「ミートドリアだよ」って保育園Aで子どもに出した。
心の中でハテナをつけながら。
(トップ画像ではレトルトのミートソースだけど、園では調理員手作りのミートソース)

献立に「ミートドリア」と書かれていた時から、「あれ?チーズ出さない園なのにどうするのかな?」とは思っていた。

アレルギー児への除去食ならともかく、これを全園児に「今日の給食はミートドリアです」と出した。

いやいや、ミートソースがけご飯じゃない???

オーブンで焼き目もつけていないし、チーズもない。

そうまでして「ミートドリア」を出したい???


この頃のこの園の給食は迷走していて、使える食材の中でなんとかして異国料理を出そうと苦戦していた。

例えば、ごま油と鶏ガラスープの素で鶏肉と玉ねぎとピーマンを炒めて「ガパオライス」など。

園でアレルギーが判明しないよう園で食べる食材、調味料はリスト化されていて、入園時に家で食べてきてもらってから提供する。なので給食で使える食材、調味料は限られている。

献立は系列の別の園に所属する栄養士が立てていたので、どうしてこのような経緯になったのか分からないが、他の系列園からも「無理して異国メニュー出さなくても和食メニューでよいのでは?子どもたちもその方がよく食べる」などの意見が出されていた。




小学校教員の友人に会った時に、何気なく給食の話になり、ミートソースがけご飯の話をした。

「『なかよし給食の日』ってのが小学校にもあってね」
友人が話だした。

「なかよし給食」とは
アレルギー原因食品を極力使わない献立で、アレルギーのある子もない子
もみんな仲良く、同じ給食を食べる取組みを「なかよし給食」といいます。

https://www.city.chitose.lg.jp/_resources/content/65543/20161102-173820.pdf


「プリンが出るんだけどさ」友人が続ける。

「卵も乳も使ってないプリンが出るんだよ。子どもたちはおいしいって食べるんだけど」


「ねぇ、私たちは子どもたちに何食べさせてるんだろうね?」


プリンと言えば、卵と乳と砂糖が原材料。
卵に熱を加えると固まる性質を利用してプリンは作られる。

余談だけど、カステラや金平糖、ちんすこうなど、私はシンプルなスイーツが好きだ。
一時期、ケーキ屋さんでは色とりどりなケーキではなくプリンを食べることにはまっていた。シンプルなものほど素材の味の違いが出やすい。
沖縄に旅行した時に、新垣ちんすこうという究極にシンプルな老舗ちんすこうを教えてもらい、口の中に広がる上質な甘さに虜になった。
つい沖縄物産展で売っていると買ってしまうようになった。

話を戻そう。

なかよし給食のプリンで卵と乳を代用しているもの。それは、食品添加物だと友人は言っていた。
大量に提供できて、かつ予算も抑えなければならない学校給食では致し方ない判断かもしれない。

でも、食の安全も教えるべき小学校教員として、味覚の発達途中の子どもたちに食べさせていいのか…
だからと言って、給食を変更する権限はない。
友人の顔はちょっと曇っていた。

「なかよし給食」、「プリン」というキーワードまでは、私は素敵な取り組みだな、と思っていた。
「みんな同じものが食べられるから良い事」なのだ。

けれども、子どもにとって学校給食は選択の自由がない。

一見良い事にも裏があるなぁと思った。


この園では、ハンバーグのつなぎに卵、牛乳の代わりにじゃがいもを使っている。
こういう工夫なら友人もなんの抵抗もなく受け入れられたのだろうなと思う。
実際保育園Aでは、ホットケーキは卵抜きで豆乳で焼いていた。
子どもたちにも好評だった。
米粉蒸しパンも人気のメニュー。

ミートソースがけご飯のドリアもその後は見なかったように思う。




残念だけど、給食もそれ以外も、保育園も小学校も、現場の人間には変えるのが難しいことが山ほどある。

私の一番は配置基準だろうか。1歳児6人に1人の保育士も4歳児30人に1人の保育士も1クラス40人編成の小学校クラスも無理があると思う。




だからこそ、自分たち(現場)の裁量で変えられることは、常に良い方向を目指していきたいな、なんて思っている。






おしまい









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保育士みっちゃん
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