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夢よりも大切なこと。

「俺に夢なんか聞くな。」

昨年の暮れ、先輩と食事をしていたときに聞いた言葉。幼い頃から夢を聞かれるのが嫌だったそうだ。楽しいこと、そのとき心が求めることを大切にしてきたため夢を聞かれるのがうっとうしかったよう。

「今も夢はない」と言うが、仕事と暮らしは彼らしさが表現されていて、私の目には豊かに生きているように見える。

私も小学生の頃、夢を聞かれるのは嫌だった。口に出すことが恥ずかしかったし、ころころ変わっていたことがあまり良くないんじゃないかと引け目に感じていたからだった。サッカー選手になりたいときもあれば、ボクサーになろうとしたり、警察官に憧れたり、鑑定士になりたいときもあった…職業ばかり出てくるところが選択肢の貧しさを物語っているが。

最近、園長に就任したことで、「園長になりたかったの?」「保育園を作るのが夢だったの?」と、よく聞かれるようになった。答えはどちらもノーだ。

どんな方向に進んでいきたいか。

私は、子どもの豊かな未来を創る意図で、子どもの「今」を大切にしていく立場を取っている。それは、大人の都合で可能性を奪われる子どもがいる現実にシフトを起こしたいという想いと、そのままの自分を受け取ってもらい「今、この瞬間」を味わっている子どもに起きる、軽やかでパワフルな前進を見てきたからである。自分らしく生きることが、豊かさや本当の協同性につながることを掴んでから、保育の営みによる可能性が一気に広がった。

保育園を作ること自体は目的ではない。
誰もが「自分らしさ」に向き合うことで、その人が幸せで豊かに暮らしていくためにできることに甲斐を感じ、
「誰もが」自分らしく豊かに生きることが、私にとっても嬉しいこと。
誰もが「自分らしさ」に向き合える保育園を創ることで、築かれていく未来が大切なのである。

園長になること自体は目的ではない。
創りたい未来の一つに、「保育士が互いに尊重し合い、甲斐を感じて、自分の仕事に誇り持つ環境」があり、それに近付くために、独立も経験し外の世界から保育を観た今だからこそ、園長になってできることがあると感じたため選択した道である。

私にとって「今」大切なことは、意図に沿って生きることで誰かのためになること。それが自分にとっての豊かさである。

叶えるための「夢」
達成して終わりの「目標」
それよりも優先順位の高いものが
今の自分にはある。

そのために生きる。
そのために探究し続ける。
終わりのない旅にわくわくしている。

のいえ保育園園長|石川

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