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ルクセンブルクとフットボール。

はじめに

ルクセンブルク。名前だけなら知っている人もそれなりにいるのではないでしょうか。おそらく、名前を呼ばれる場面の9割がしりとりの「る攻め」の対抗手段。この国がマイナーであることは日本国民全員が認めることでしょう。もちろん筆者自身もそれは重々承知しております。

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ルクセンブルクの国旗。オランダの国旗と見分けられる人はどれほどいるのでしょうか。


しかし、そんな小国のフットボールを応援する身ゆえ、ルクセンブルクがマイナー国のひとつとして、誰の目にも触れられずにいるのはとてももったいないと感じています。

この記事では、そんなルクセンブルクのフットボール事情を、自己満足ながら一筆させていだこう、という次第でございます。この記事によって、ルクセンブルクをしりとり王国から解放してあげる…とまではいきませんが、ルクセンブルクをはじめとする、フットボール界のマイナー国への見方がほんの少しでも変わっていただければ、筆者は嬉しい限りです。


きっかけ

そもそも、なぜルクセンブルクを応援しているの?という疑問はごもっともでしょう。欧州のナショナルチームといえば、FIFAランキング上位の国々が群雄割拠です。

しかし残念なことに、その中にルクセンブルクの名前が割って入って来ることはまだないでしょう。

ではルクセンブルクと接点が皆無の一学生が応援する理由は何か。それはズバリ、"フットボールの成長を見届けたい"ということに集約されます。


時は少し遡り、EURO2020。欧州各国の激しい勝利への執念の激突。コロナの影響によって、ボールの弾む音が響くスタジアムにも慣れてしまった。そんな物足りなさげな心に轟いた歓声の一体感は、フットボールの帰還を彷彿とさせた…。ともっともらしい事を述べていますが、筆者はEUROをフルで見ていません。ハイライト勢の分際で調子に乗って申し訳ありませんでした。


とはいえ、ハイライトですら感動するその熱気には、心揺さぶられるものが間違いなくありました。もちろん心を揺さぶったのはサポーターの魅力だけでなく、印象的なフットボールの存在もその一つです。エリクセンの不在を感じさせかったデンマーク、死の組での大健闘をしたハンガリー、その他にも初出場のフィンランドや北マケドニアなどなど。彼らが小国やマイナー国という意味ではありませんが、下馬評を覆す姿勢こそフットボールの一番の醍醐味だとしている者には刺さるものがありました。

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Goran Pandevがオーストリア戦で決めた、北マケドニア代表のEURO本選初ゴール。北マケドニア代表のサポーターには、格別の1点になったことでしょう。


EURO2020を通して、”ナショナルチームのサポーターになりたい”という思いが芽生えました。同時に、”大躍進の過程をこの目で見届けたい”という思いもありました。そんな中、FotMobでUCL Nations League Cの参加国を眺めていた時に目に留まったのがルクセンブルグだった、という言ってしまえばその程度のきっかけです。

いつか、EUROやワールドカップに出場するルクセンブルク代表を見ることを夢に、ルクセンブルクのフットボールの成長を追っていきます。

自分語りが過ぎました。筆者の事は忘れて、次へ参りましょう。



そもそも、ルクセンブルクってどこ?

南にフランス、西と北にベルギー、東にドイツ。海外フットボール事情を少しでも知っている方々には聞き覚えのある、フットボールの超一流国に囲まれています。まさしく肩身が狭いというものです。

ベルギーやオランダと合わせて「ベネルクス三国」と呼ばれることもありますね。高校時代に世界史で習った方もいるのではないでしょうか。語呂が良いとはいえ、3文字分もルクセンブルクに割かれているのはいささか太っ腹といいますか、荷が重いような気がしなくもないですね…。

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地図を見れば一目瞭然かもしれませんが、ルクセンブルグ、相当ちっちゃいです。面積だと佐賀県とほとんど同じ大きさなんですね。

総人口も60万人と小国といわれるのも無理ない数字を出しています。ちなみに人口60万人というと、鳥取県 < ルクセンブルク < 島根県という力関係になります。
(2021/08/17時点で鳥取県57万人、島根県66万人)

なお、都道府県+ルクセンブルクの人口ランキングでは、堂々の47位にランクイン!!
ルクセンブルク代表というと規模的には、鳥取県代表や島根県代表からひとつナショナルチームを出せることになったのと同じ感覚ですね。書いていて笑いが止まりません。

しかし、欧州の中心に位置していることもあって、ブリュッセルやストラスブールと並ぶ世界都市とされています。ちなみに一人当たりのGDPが高く、1992年以降世界一位を保守しており、世界一裕福な国といわれることも多いようです。


話を少し戻しましょう。周囲の国がフランス、ベルギー、ドイツであることは、文化・商業的にも、フットボール的にもかなり魅力的な条件になっています。

まず、公用語がドイツ語、フランス語、ルクセンブルク語となっており、人によっては英語も通じます。言語の壁が少ないという要素と前述の世界都市の一面を合わせた好条件に、交通網が整備されていることも加味すると、企業の欧州進出にはもってこいな地域となっているわけです。


さらに隣国をリーグ単位で言い換えてみると、南にLigue 1、西と北にBelgian Pro League、東にBundesliga。圧巻です。私自身全く関係ないのに少し誇らしくなります。言語の壁がほとんどないことも後押しして、海外へ挑戦する若きルクセンブルクのフットボール少年も、少しずつですが、間違いなく増えています。


代表について

それでは本題に入らせていただきます。といってもウィキペディアの内容がほとんどになってしまうんですねこれが。

ルクセンブルク代表。通称”The Red Lions”。(筆者は英語が少し読める程度の語学力なので、英語以外の表記は自信がなく割愛させていただきます)

赤い獅子
と呼ばれる由来は、国章の盾の部分、オーククラウン勲章という騎士団勲章の赤い二尾獅子から。

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ロゴに書かれている”FLF”は、Federation Luxembourgeoise de Footballの略称で、単純にルクセンブルクサッカー連盟のことを指しています。

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FLFの公式Twitter。筆者が仕入れる情報の7割はこれを頼りにしています。

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macronから提供されている2020年の代表ホームユニ。赤に差し込まれた白と水色のラインが良いアクセントとなっています。


初の国際試合は1911年と、何気に100年以上の歴史があるナショナルチーム。最新のFIFAランキングでは96位。

日本で最も有名なルクセンブルク代表選手といえば、現Dynamo Kyjv所属のGerson Rodriguesでしょうか。ジュビロ磐田でのJリーグ挑戦歴もあり、いの一番に思いつくJリーグサポーターも一定数いそうです。(というよりも唯一、日本人に認知されていそうなルクセンブルク人選手という意味合いの方が強い気がします…。)

2019/04/06に行われた、湘南ベルマーレvsジュビロ磐田でのワンシーン。強烈なロングシュートが印象的です。


ワールドカップ本大会への出場は未だなく、EURO本大会の出場経験もありませんが、1964年大会はベスト8で終えています。(EURO1964年本大会はベスト4のみで行われました。)

2017年9月3日に行われたフランス戦はスコアレスドローで終了し、超格上から勝ち点を取ったとして、ちょっとした話題になったとかなっていないとか。気迫あふれるルクセンブルク代表に皆さんも惚れてしまうかも?


国内リーグ

某FotMob様ですら試合結果がかろうじて見れるにとどまるリーグ。それがルクセンブルクの国内リーグ、Luxembourg National Division

2011年まで、ベルギー・オランダ系総合金融機関のフォルティス・フィナンシャル・グループがリーグスポンサーとなっており、BGL Ligueと呼ばれていた…となっておりますが、最近の記事でもBGL Ligueと書いている記事は少なくなく、短いので筆者もこちらで呼んでおります。(悲しいことに、呼ぶ機会などほとんどありませんが…。)

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これがBGL Ligueのロゴです。モチーフは何なんでしょうか。よくわかりませんが、意外とかっこいいです。


さて、リーグのレベルを伝えたいところですが、これが難しい。正直試合を見ることすら難しいので、代表の選考から推察してみたいと思います。

①Maurice Deville

まず一人目、代表52キャップの29歳、Maurice Deville。身長194cmの長身ウィンガー。主にドイツ3部を主戦場とし、ドイツ2部でもプレー経験あり。
この写真、少しBeckhamに似てる気がしなくもないですね。

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②Eric Veiga

二人目は、サイドバックながら中盤もこなす24歳、Eric Veiga。ユーティリティプレイヤーとして3試合に出場。前述のMaurice Devilleと比べると出場数が少ないですが、ポルトガルの世代別代表でもプレー経験のある実力者。20/21シーズンからポルトガル2部のVilafranquenseでプレーしています。

③Alessio Curci

三人目は、ルクセンブルクのヤングストライカー、Alessio Curci。Mainz 05Ⅱ所属の19歳。初招集は17歳と、期待の高さが窺えます。(写真左)

代表招集歴のある三選手を見ていきました。ちなみにMainz 05Ⅱはドイツ4部所属です。Alessio Curciの場合は、将来性を加味した招集である可能性もあるため一概には言えませんが、BGL Ligueはドイツ4部相当と考えるのが妥当かもしれません。


ところで、欧州マイナーリーグといえば気になるのはUCL・UEL・UECLの出場権ですよね。BGL Ligueはなんと、1位にUCL予選、2位と3位にUECL予選の出場権が与えられる太っ腹仕様!!

本戦に出ることは本当に難しいですが、それでもスカウトや視察の目に映る可能性を考えると、予選ですら貴重な機会です。


隣国リーグの常連さん

ルクセンブルクの選手の経歴に目をやると、かなりの頻度で出現する海外クラブがいくつか存在します。

そのほとんどは隣国のクラブですが、どのクラブも、ルクセンブルクと拠点が近い位置関係にあるケースが多いです

誰のためになるかわかりませんが、この章ではそんなルクセンブルク人御用達のクラブをいくつか紹介したいと思います。


①Mainz 05

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岡崎慎司選手や武藤嘉紀選手が所属していたことで有名なMainz 05。前述のAlessio Curciも所属している、ラインラント=プファルツ州・マインツに本拠地を置くサッカークラブ。Bundesliga所属

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ラインラント=プファルツ州は下画像の赤い部分に位置していて、左の灰色の小さい部分に該当するルクセンブルクとは、国境を挟んでお隣さんですね。

また、州を同じくする 1.FC Kaiserslauternの下部組織にもルクセンブルク人が多い傾向が見られます。

Mainz 05のトップチームには20/21シーズンの主力で、21/22シーズンの開幕戦であるRB Leipzig戦でもフル出場&勝利に貢献した、Leandro Barreiroや、開幕戦にてベンチ入りを果たしたTimothe Rupilが所属しています。

下部組織にもルクセンブルクのヤングプレイヤーが所属しており、ルクセンブルク目線では、今最も熱いクラブといっても差し支えない存在となっております。


②Saarbrücken

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あのMaurice Devilleが在籍するクラブ!!といっても名前を聞いたことがある人は少ないでしょう。

ドイツ・ザールラント州・ザールブリュッケンに拠点を置くサッカークラブで、過去に日本人が在籍していたこともあるようです。

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地図が示す通り、ザールラント州は西端がルクセンブルクと接しており、その州都をザールブリュッケンとしています。だからなんだということはありませんが、地理的にルクセンブルク人が移籍しやすいクラブとなっているのでしょう。

③FC Metz

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ルクセンブルクの偉大なレジェンド、Jeff Strasserが所属していた、Ligue 1所属のクラブ。その名の通り、フランス・メスに本拠地を置いています。下の写真を見ると、メスは真上のルクセンブルクとかなり近い位置関係にある都市なんですね。

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最近では、21歳で既に代表38試合出場のVincent Thillが所属。しかし今日のトレンドではルクセンブルクの少年はドイツ方面に行くのが主流となっており、所属選手は以前よりも少なくなっている模様。

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私の一番の推し選手でもあるVincent Thill。期待されていたような爆発的な活躍はまだありませんが、首を長くして待ちましょう。彼はまだ21歳なのだから。


④Re Virton

ベルギー・ルクセンブルク州・ヴィルトンに拠点を置く、ベルギー2部所属のサッカークラブ。ややこしいですね。ベルギーにルクセンブルクがあるんです。

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上記写真の選手はルクセンブルク代表の正GK、Anthony Moris。過去には、あの川島永嗣選手とポジション争いを繰り広げたこともあります。現在は三苫薫選手と同僚。

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拠点を置くルクセンブルク州は、国のルクセンブルクとは当然、別物です。
しかし、元々はルクセンブルクの一部で、少数ですがルクセンブルク語を話す方もいるようです。

さらにベルギー最大の州の称号を持っており、州の面積は4,400 km²。対して、国のルクセンブルクの総面積が 2,586 km²。何とも言えない気持ちになります。

さらにこのクラブのオーナーは、ルクセンブルク人不動産投資家のFlavio Beccaさん。彼は国内リーグのF91 Dudelangeのオーナーでもあります。ここらへんもルクセンブルク人選手の移籍が多い理由に関係ありそうです。


最後に

まず、最後まで読んでくださりありがとうございました。とても拙い文章かつ、少々自虐的な内容でしたので、貴重な時間を割いて読んでくださったこと、これ以上ない喜びです。

この記事では、”国としてのルクセンブルク”についてフォーカスした内容となっていました。次回があるならば、ルクセンブルクの代表選手を中心に伝えよう、と思っております。よろしければ、次回も一読してもらえると筆者は嬉しい限りです。










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