昔の話㉑

僕は愛媛県の松山市というところの出身なのですが、高校を卒業した後、茨城県のつくば市というところにある専門学校(みたいなところ)に進学しまして、そこで初めて親元を離れて寮生活を始めました。

そこでまあ、初めて自分の地元というやつを客観的な目で見るようになったのですが、なんとも悲しい気持ちになる出来事がありました。

ある日の夜、テレビを観ていると、ロンドンハーツをやっていました。

その日の企画は、『地方に行って、一見地味だけど磨いたら光りそうなダイヤモンドの原石的女の子を探そう!』というなんともロンハーらしい企画でした。

その企画は対決形式で、何人かの芸人さんが色んな地方に行って1人ずつ「この子だ!」と思った人を東京に連れて来て、服だったりメイクだったり髪型だったりを都会っぽくして、1番可愛くなった子を連れてきた人が優勝!っていうルールでした。

面白そうだなと思って観てると、メインMCの田村淳さんもプレイヤーとして参加することになっており、なんと我らが地元愛媛県松山市にやってきていたのです。

「マジか!」と思ってテンションを上げて観ていると、知ってる街並みがどんどん映ります。銀天街や大街道といった一応愛媛県のメインストリート的な商店街が映っているのです。

離れて見るとよくわかります。激ショボです。我らがメインストリート、全然対したことありません。安っぽいことこの上ないです。

自分が高校生の頃、街の中心だと思っていた場所がこんなにダサかったのかとここで1つショックを受けたのですが、さらにショックな出来事がありました。

実際にロケが始まって敦さんが街を歩き始めると、人がわんさか集まって来ました。

東京の芸能人なんて滅多に来ないクソ田舎なので仕方がないのですが、どう考えても迷惑です。もちろん番組のスタッフの方が注意をして人払いをしようとするのですが、なかなか人が離れていきません。

実はその日、なんともタイミングの悪いことにちょうど成人式の日と被っていたのです。

ちょうどこの頃、成人式で暴れる新成人がよくニュースで取り上げられはじめた時代でした。とにかくハシャぎたくて仕方の無い頭の悪い新成人たちがカメラに群がり、ロケ現場は大変な騒ぎになりました。

結局その日はロケそのものが中止になり、挙句ロケは別の県で行われていました。

こんな恥ずかしいことがあるでしょうか。

これを観ていた際、隣には同じ寮に住む同級生がいたのですが、彼がテレビ画面と僕を見ながらドン引いた表情をしていたのをよく覚えています。

もともと地元愛みたいなものは無かったのですが、これをきっかけに明確に地元に対する興味が無くなりました。

己が生まれ育った街に住む人の民度の低さを、まさかこんな形で思い知ることになるとは思ってもみませんでした。

若さ故のノリとか勢いで取った行動って、時に大勢の人に多大なる迷惑をかけるんだなぁということを、身を持って実感したというお話でした。

ちゃんちゃん。

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。