見出し画像

実習ってどうやって乗り越えるの

1.雑談

こんにちは.元看護学生のみたらしだんごと申します.
(今は大学院生をやっています)

今日は主に看護学生に向けた実習の乗り越え方について書き連ねようと思います.
もしかすると,ほかの分野やほかの立場の人にも役立つかもしれません.
(ちなみに一番上のイラストは階段の踊り場でヘドバンをする看護師のイラストです.)


さて,コロナウイルス感染症に関連した緊急事態宣言も全国で取り下げられ,まだ油断はできませんが,徐々に普段の生活に戻ってきている頃でしょうか.
学生さんの中には実習がなくなってどうしようと考えている方もいらっしゃるかもしれませんね.
私の後輩も夏休みがなくなってしまうのではないかと心配しているようです.
(あるいは,目先の苦労が消えて一旦ラッキーと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが(笑))


ただ,不思議なことに何かを先延ばしにすればするほど人間はそれに対して不安を増幅させるようなので,
いざ実習に行かなければならないとなった時に,普段以上に緊張したり,恐怖を感じたりするのかもしれません.



看護学生に常に蔓延る共通の不安要素はこれまでにも触れた「実習」が1つあると思います.
実際に私も看護学生の時には,実習を良しとは思っていませんでしたし,出来たら避けたかった道です.
ただ,これを避けて通ることができないのも看護学生に共通していて,
今病棟でバリバリ働いている現役の看護師のみなさんも,あるいはすでに退職された方も,程度の差はあれ通ってきた道なのです.
(少し昔の人は「今の実習は昔よりもずっと優しいし易しい」なんていう方もいますが,そんなことは今困っているの学生には何の関係もないので気にしなくて大丈夫です.)


ではなぜ実習が常に“好ましくないもの”として存在し続けているのか考えてみましょう.
すべての学生が必要性は理解しているはずですよね.だって看護師になるには必要な過程ですし,いらないとなってしまっては急に現場に放り出されてしまうことになりますから.

2.何がそんなに嫌なのかー実習が嫌なわけー

なのにどうしてみんな嫌がるのでしょう?
・実習記録が大変…
・どうしたって睡眠時間が削られるし…
・怖い指導者さんに当たったらどうしよう…
・患者さんとうまくコミュニケーションがとれなかったら???
・そもそもなにをすればいいの?
・いやいや必要性とそれを好むかどうかは別の話でしょ

とまあ,こんなかんじでしょうか.大学の4年生だと場合によっては「卒業研究とかぶってしんどい…」ということもあるでしょう(私もそうでした).

不安を解消するには,1つ1つその原因に対処していくしかありません.
ちなみにこの考え方自体は,実習を含めた今後の人生で活用できると思うので,少し覚えているといいかと思います.


2-1.実習記録が大変


まずは,1つ目の「実習記録が大変」から考えていきましょうか.
記録用紙は,学校ごとに大きく異なっていて,記入の方法も多種多様です.
PCでの記録を許されるところもあれば,すべて手書きを求められるところもありますよね.
正直,文量を減らす方法はありません.
必要な記録であることに変わりはないので,減らすのはなかなか難しいところです.
ではどうやって楽にしていけばいいのでしょうか.


1つは病棟でなるべく仕上げることです.記録用紙は事前に印刷していき,病棟でどんどん記入しましょう.メモ用紙をたくさん用意しておくことも大切です.
内容さえ決めておけば,帰宅後の記録がうんと楽になります.
そのまま記録に残せないような文字でもメモに流れを書いておくことで,帰宅後の負担がぐんと減ります.


もう1つはとにかく慣れることです.何が必要な情報で,何が不必要なのかは正直慣れることでしか,素早い判断はできません.
実習なんて行ける回数は決まっているのだから,回数は自分では増やせないじゃないか,という指摘はごもっともですが,
ペーパーペイシェントでのアセスメントの時に,どんな情報が欲しいか,どんな情報を使っているのか確認しておくことも訓練の一つです.
疾患別の看護手順などが載った参考書をみて,何を知る必要があるのかを学ぶのも1つの手段です.


2-2.睡眠時間が削られる

さて,二つ目の睡眠時間の話ですが,これは1つ目の記録の話に大きく関連してきますね.
記録を早く終わらせるだけで,睡眠時間は一定量確保できるはずです.
あとは疾患の勉強に時間をとられるかと思います.
これの対処は,実習が始まる前の土日に本を活用して,広く勉強しておきましょう.
深めるのは実際に患者さんとお会いしてからでも大丈夫です.
本のどこにどんな情報があるのか把握しておくだけで,帰宅後の学習効率が上がります.
ただ,どんなに勉強しても不安で勉強し続ける人もいると思います.
よくあるのが,「勉強していて徹夜」というパターンですが,これは絶対にダメです.


寝てください.
最悪,提出する記録だけ仕上げてしまえば寝ても大丈夫です.
自分が患者さんなら,寝ていない看護師に看られるのは嫌ですよね.
とにかく寝てください


2-3.指導者さんが怖い

3つ目の怖い指導者さんについて.
個人的にはこれが一番苦痛でした.
いくら昔より優しくて易しくたって,怖い人がいることに変わりはありません.
怖いと一言で言っても,まっとうなことを言っていて怖い人と,なんだか理不尽に怖い人がいます.
まっとうなことを言う人については,言われたことだけ吸収しましょう.
言い方は気にしなくて大丈夫です.
厳しい言われ方を反芻してしまうときには,内容だけメモに書きだしてあとは忘れましょう.大切なのは言われたことです.

なんだか理不尽に怖い人については気にしなくて大丈夫です.
気にするなと言われても気になるとは思いますが,たいていの場合そういう人のことは周りも把握しています.
この場合の周りとは,同期だったり,引率の先生だったり,あるいはその病棟の看護師も把握していることが多いです.
そういった人がいれば時にフォローをもらえることもあるし,愚痴を聞いてくれることもあるし,配慮してもらえることもあります.周りの人を活用しましょう.
ちなみに私の場合は,「学生にあたるなんてよっぽど余裕がないんだな」と流すようにしていました.
理不尽な人にはこちらが心の余裕を持てば勝ちです.


それとどんな指導者さんにも共通してですが,わからないときには「わからない」と明確に意思表示をしましょう.
教科書で学ぶのには限界がありますし,それを補うために実習に向かっているのですから,わからないことがあって当然です.
調べてもわからないときにはその旨を伝えましょう.
なんとなくごまかすのが一番よくない結果を導きます.(患者さんにとっても,もちろんあなたにとっても.もっと言えば指導者さんにとっても.)


2-4.患者さんとのコミュニケーションに困る

4つ目の患者さんとのコミュニケーションについては,1つの答えはありません.
「ここまでいろいろ語っておいて,おいおいそれはないぜ」と思う人もいるでしょう.
でも,仕方ないのです.
コミュニケーションには,患者さんとあなた,双方の要因が複雑に絡み合っています.
それぞれが十人十色である以上,1つの答えを出すことは難しいのです.
ただ,共通して使えるヒント・手法はあります.


1つは患者さんの,普段の生活を想像することです.
入院はイレギュラーなイベントです.本来は地域で暮らしている人が,病院に入って「患者さん」とよばれ,24時間管理下に置かれるのは,普通の状況ではありません.
人間はあらゆる変化をストレスとして感じます.
少しでも普段の生活に近い入院生活のほうが,入院生活とふだんのくらしの継ぎ目がスムーズにできます.そのために普段どう暮らしていたのか確認してみましょう.
その中で患者さんの価値観や,考えを把握することができると思います.その把握こそがよく言われる「個別性のある看護」につながっていきます.
(個人的には,何でもかんでも「個別性」というのは好きではありませんが,対象者の特徴を捉えることは本当に重要です.)


もう1つは,関わりすぎないことです.
ここで大事なのは「関わるな」とは言っていないということです.
看護学生は,統合実習を除いて基本的には一度に1人の患者さんを受け持つことになると思います.
(もちろん,実習中にケースが変わって,結果的に複数人持つことはざらにあります.)
つまり,その1人に対して,本当に多くの時間を割くことができてしまうわけです.
やろうと思えば,休憩時間を除くすべての時間を患者さんとともにすることができます.
でもそれは患者さんのためにはなりません.


もしかすると,学生にとっては患者さんの場所だけが病棟内で唯一委縮しないでいられる場所かもしれませんが,患者さんは学生にも気を遣っています.
基本的には疾患を抱えた方です.
休息の時間を確保していただくためにも,過度のかかわりはご法度です.
あくまでも必要な情報を収集したり,信頼関係を築いたりすることが重要なのですから,加減が必要です.
学生を受け入れてくださっても,他人とのかかわりが好きだとは限らないことを肝に銘じてください.


2-5.そもそもなにをすればいいの?


さて,そろそろおしまいに近づいてきました.
最後の何をすればいいの?という疑問については,これまでの文章を読んでくださっていればおのずとわかってきたかと思います.


その人がその人らしくあるために,あなたは何ができるでしょうか.
それは洗髪かもしれませんし,不安解消のために傾聴することかもしれません.
指導者さんや教員と相談しながら,免許がなくても何ができるのかを見つけていきましょう.


ただこれは患者さんに対して何をすればいいのかという質問の答えでしかありません.
あなたが,あなた自身のためにすべきことは,いろいろなことを学び,吸収することももちろんそうですが,
何よりも健康管理です.


まず,朝病院まで行けた自分や仲間をほめてあげてください.
次に病棟に向かえたらもっとすごい.
行動調整もできたんですか?すばらしい!
こうして心の健康も維持できるようにしてみてください.
どうしてもどうにもならないときには休むことも考えても大丈夫です.
また次の日から頑張りましょう.


3.おわりに


とまあ,これはあくまでも私の乗り越えかたなので,参考にならない人もいるかもしれません.
ただ,こういう考え方もあるんだ,と知っておいてもらえれば,何かあった時に選択肢の一つになるのかなと思います.
何かあったら周りをどんどん頼りましょう.
1人で抱え込んでいてはつらいだけですから.

結びとなりますが,稚拙で長い文章をここまで読んでくださったそこのあなた,
本当にありがとうございます.
何かのお役に立てば幸いですが,暇つぶしに使っていただけただけでもうれしいです.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?