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「君よ憤怒の河を渉れ」(主演:高倉健)
※以前から書こうと思っていた昭和の作品中心の映画や
ドラマのレビューを書いていきます。基本ネタバレが
混じってますが、最近の作品は基本的に取り上げないので
許してちょw
結論からいうと「高倉健さんが『逃亡者』を演じたら?」
というお話です。そもそも実写化が難しいと言われている
西村寿行さん原作のお話らしいので、CGなんてなにそれ?
という昭和の時代でよく頑張った作品だと思います。
ちなみに西村寿行さん原作のお話は何作か映画化されてますが
全体的に消化不良感がするのが特徴です。
駄菓子菓子、この作品はかの”巨匠”佐藤純彌監督作品なので
その点はいい感じで味付けされている名作かと思います。
出てくる役者さん達は「かなり濃い味系」ではありますが。。。
健さん演じる検事・杜丘冬人はある日、無実の罪で逮捕され
護送中に逃亡、彼はえん罪を晴らすため北海道まで逃亡し
そこで中野良子さん演じる「運命の人」に出会い、手助けを
受けながら本丸に潜入していくというある意味”王道”な
ストーリーです。
なおジョン・ウー監督が本作をリメイクした「マンハント」
という作品がありますが、残念なことに登場人物が無駄に
増えすぎていて、途中で誰が主役なのかわからなくなるくらい
本筋を外しまくっているのが残念です。
本作はなんといっても、「健さんありき」であり、執拗に
主人公を追う鬼刑事役の原田芳雄さんとの
「熱すぎる友情」
(途中で何度も「や○ないか」というフレーズが脳裏を(ry))
そしてご令嬢役が伝統芸だった中野良子さん演じる主人公の
「行きずりの恋人」が唐突に大都会の大通りで大挙の馬を放ち
主人公の逃亡を助けるのがハイライトなのです。
この馬たちはいったいどうやって検問をかいくぐり北海道から
運ばれてきたのでしょう。そして劇中、慣れないコンクリート
の道を走らされ、さらにカーブを曲がりきれず転倒した馬の運命は
どうなったのでしょう。悲しい事になってなければいいのですが。
(細かいことが気になる僕の悪いクセ(by右京))
この映画は松竹が配給してますが、元々は大映の作品です。
大映と言えば、なんといっても「昭和の超ワンマン社長」
永田雅一様の会社です。いまでこそ大映テレビとして数々の
名作を手がけている会社ですが、当時はまだ永田氏は
製作責任者であり、おそらく本作品にもいっぱい口を出して
いたことでしょう。
前述したとおり本作に馬が出てくるのは彼が「馬主」であった
ことも影響していると思います。
またエンディングで冤罪を晴らす為とはいえ数々の罪を犯した
主人公を無罪放免で自由にしてしまうところや、主人公は
あくまで検事なのに、セスナ機を見事に操縦して逃亡し、そして
華麗に海岸の浅瀬で不時着させたり、大都会で警官がたくさん
いる中、突如出てきた馬の大群に紛れ、さらにその内の一頭の馬に
またがり手綱を持って逃亡を成功させるところが昭和っぽくて
そして荒唐無稽で・・・大好きです(ぉぃ
1976年作品なので、日本の映画産業はすでに斜陽化していたと
思います。駄菓子菓子、この作品はあの当時専制国家バリバリの
某お隣の大陸国で上映され、社会現象を起こす位大ヒットしました。
ある日、映画のプロモーションでその国を訪れた健さんは
空港で待ち構えていた大勢のファン達が一斉に本作品の
主題歌を合唱し始め、仰天したそうです。
ちなみに主題歌に歌詞は無く、男性のスキャットという
レアな曲なので「言葉の壁」を越えられたのでしょうね。