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くら寿司、半解凍フェア②

熱い緑茶をずずっとすすり、落ち着きます。

開幕からまさかの2連敗。
口内には半解凍のシャリシャリが
食感として残っています。

私の脳は、
もはやお寿司はシャリシャリするもの、
と認識しかけています。

これはいけません。
脳内イメージを
早急に書き換える必要があります。

ちょうどその頃から、
お昼のピークに合わせたのか、回転レーンに流れるお寿司の皿が増え始めます。

もうこれ以上、シャリシャリ寿司を引くことは許されない、
回転レーンの寿司であれば、ネタの状態を確かめてから決めることができる。

そう考えた私。

さらに、念には念を入れます。

魚ではなく、肉の握りです。
肉の握りなら、
さすがに半解凍はないでしょう。
シャリシャリの肉など聞いたことがありませんから。

そう考え、肉に狙いを絞ります。

ふと遠方のレーンをみると、
旨だれ牛カルビのプラカードが見えました。

引用:https://www.kurasushi.co.jp/menu/?area=area2

まるで回転レーンと
意思疎通したかのようです。

回転レーンは私に呼びかけてきます。

「シャリ男ー
いまからお肉いくよー
待っててねー」

だれがシャリ男やねん と
回転レーンにツッこみを入れつつ、
じっとお肉の到着を待ちます。

しかしよく見ると、プラカードの後続には、
空の皿が続き、肉が乗っている皿は残り1皿でした。

私は手を合わせ、神に祈りながら
その到着を待ちます。

家族連れのテーブルを
1席、
また1席、
と通過します。
そのまま、そのまま来てくれ・・
念を送る私。

そして我が家の隣のテーブルを通過しようとした、その時です。

ごつい男性が、
そのお皿に手を伸ばしたのです。

そこからは目の前の光景がスローモーションになりました。


男性の太い指がゆっくり皿のPUSHボタンを押し・・・

ドーム状の蓋がゆっくり後部に開いてゆき・・・

男性がお皿の縁を優しくつまみ・・・

ゆっくり持ち上げます・・・

男性の手にやさしく包まれたお肉の皿は
とても幸せそうです。

そして呆然とする私の頭の中で、
トライセラトップスの名曲が流れます。

もしもこの手が君を包むためにあるのならば
幸せな日々はもう訪れた

TRICERATOPS「if」1999


幸せな日々は訪れませんでした。


しかしその後は、サーモンやはまち、しめさばなど、
どれも美味しく頂きました。
私のライフもすっかり回復します。

締めのスイーツも食べ終わり、
我が家は全員満腹になりました。

お会計。
4400円。

高い。きつい。辛い。
130円の皿を意識したつもりでしたが、
妻と娘が締めに食べた
「いちごタルト」「わらび餅」「大学芋」「ミルクレープ」
が効いたようです。

でも食べ終わった後、
娘から「パパありがとう」の
言葉をもらいました。
もうそれだけで十分です。
4400円の中に
半解凍の寿司が含まれていようが、
お肉を奪われようが、
すべては水のように流れ去ります。

たまには贅沢もしないとですよね。
また今日から倹約に励みます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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