転職して1年で現職を去ることになった話とその備忘録
何故この記事を書いているのか
現職に入社した当初は
「もう転職したくないし、この会社でずっと長く働けたら良いなぁ。しがみつきてぇなぁ」
と思っていたのですけれど、実際に入社したらまさかの1年で転職することになってしまったので、何でそんなことになってしまったのかという自分の備忘録として書いています。どうせあと数回転職するだろうし、その時またこのことを思い出せればなと思っていたり、いなかったり(その時はこの記事を書いたことを忘れてそう)。
ところで僕は何者?
IT 業界でテクニカルサポートとしてご飯を食べさせていただいている者です。就活が面倒くさかったので最初に内定が出た日本を代表する日系ブラック SIer に新卒で入社し、数年インフラ SE という名の Excel/PowerPoint 職人として腕を磨き、言葉巧みに未経験若手を売り飛ばしては指を舐め舐め金勘定していましたが、
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そういう事をして金を稼ぎたかったわけではないのと、大学ではかつて Computer Science 系を専攻していたのでやっぱりちゃんと技術的なことしたいわクソがっ!ということでテクニカルサポート職へキャリアチェンジしました。
もともと田舎育ちで、英語なんて赤点しか取った事がなく
「ぼかぁ一生をこの田舎町で遂げるから英語なんて不要じゃぁ!ガハハ!」
と宣っていたのですが、なんか知りませんが今は外資系で働いています。なので外資に転職した際は「I, my, me… 何だっけ?」とか「5文型…って何でしたっけ?」とかそんなレベルで毎日冷や汗をかいておりました。英語でたった one sentence を書くのに半日かけても全く書けない、、、ということもザラにありました。今考えるとよくクビにならなかったよなって思います。
その後、ジョブホッパーにならない程度に他の米系 IT 企業に転職して、今となっては日系企業よりも米系外資 IT でのキャリアの方が長く、もう外資のなんか適当な感じでも成果さえ出しとけばとやかく言われない感じに沼ってしまって、日系企業に戻れる気がしません(そもそも年齢が年齢なので管理職経験のない僕はそもそも日系企業から必要とされないでしょうし)。
現職はどんな会社か
クラウドサービスのプラットフォームを提供している米系 IT 企業で、クラウドだけでなく IT 全般にかけて最新のテクノロジーを提供、業界をリードしている会社です。
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そのため、そこで働く社員には常に成長と結果が求められる環境です。また、働いている人々は元々他の企業でエース級のテックリード、管理職、研究者だったりと、IT 業界のレアル・マドリードのようなまるでエンジニアのデパートとなっております。
現職の会社は外資系とはいうものの日本法人の歴史が長く、また日系企業から転職されてくる方が多いため、カルチャーとしては米系のカルチャーよりも日系のカルチャーがかなり優勢です。「外資系」というと主語がでかいですが、個人的な観測範囲ですが、多くの人が思い描いている「外資系」企業はこういった日本法人の歴史の長い企業よりも、日本に進出してきてまだ国内での知名度が低い米系企業の方が、想像されている働き方に近いかと思います。
なぜ僕がこのような IT 業界の最高峰の会社に採用されたのかは良く分かりませんが、親から貰った顔面とブラック企業で練り上げられたただならぬトークスキルによって数ある面接官の難解な問いをどこから湧き出てくるのか分からない根拠のない自信によって千切っては投げ、千切っては投げと受け答えしていたら、僕の回答内容が正しいかどうかは良く分からないですがいつの間にか入社していたので、概ね見当違いな受け答えはしていなかったのかなと思います。
現職での僕のロール
僕の所属している(いた)チームは比較的新しくできたチームで若い方がおおく、またテクニカルサポート経験がある人材が少なかったために、テクサポ経験のある僕はシニアなロールとして若手やチームをリードする事が求められました。ただまぁ、皆さん他社でエース級の役割をこなされてきた方々ですので、テクニカルスキルはもちろんのこと、ソフトスキル(いわゆるカスタマーハンドリングや社内調整)といったものに関しても特に僕からあーだこーだ言う必要はなく、
「お、おぉ!えぇやん!なかなかやるやん(やべぇ、みんなレベル高すぎだろ。おっとそのテクノロジー初見なんだけど?)」
と、虚勢を張るぐらいしかやる事がありませんでした。
よくよく考えると、グローバル企業で働いた経験は皆さん少ない様でしたので、その点ではグローバルとの立ち回りなんかの観点では少しみんなに貢献できたのかなとは思います。
あとは、それなりのおちんぎんを頂いておりますので、対応する内容も Premier の中でもさらにハイエンドなお客さま向けのコンシェルジュ的なサムシングなサポートをしていたので、即対応でスペシャルな問題解決に加えて将来的なアドバイス等々といったものをやる必要があり、シフトによる24時間365日体制のポジションとなっておりました。そのため、常に緊張感のあるロールでした。
現職の人々
テクサポの経験者はほぼ居ません。日系企業での元研究職、元開発職の人が比較的多い気がします。当然研究や開発で設計、コードをバリバリ書いていた人たちですので、新しいクラウドのサービスが出たり、サポート対象のサービスが増えても飲み込みが非常に早い人たちばかりでした。また、お客さんからの問い合わせに対しても、設計/実装上の問題を正しいアプローチを難なく提案するなどスキルも仕事のスピードも凄まじい人ばかりでした。ただ、これまでの日系企業の働き方が染み付いているせいか、夜遅くまでメールを出していたり、休日に作業していたりと
「すげぇパフォーマンスだしてる上に夜中まで仕事している」
事が常態化しており、Twitter の自己啓発/副業/投資系アカウント風に言うと
「厳しいことを言うけど、その働き方、ブラックで迷惑なんでやめていただきたい」
と僕はガチで思っていました。なので、その人の体調を気遣うふりして徐々に
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と徐々に洗脳していきました。うまくいってよかったです。
ただ、皆さん仕事もできるし前向きだし、性格良いし美男美女だし、何か困って相談するとみんな集まってきて一緒に調べてくれたり知恵を出してくれたりと、これまで経験してきた職場の中で最も成熟した良いチームでした。
また、休暇取得時はバックアップの体制もしっかりと取られていて、気兼ねなく休める状況でした。
現職で見通せるキャリア
テクニカルサポートという枠の中だけで見ると、"クラウドサービス"という製品の特性上、テクニカルスキルよりも
「如何に社内のオペレーションやドキュメントの場所、人に詳しいか」
が仕事のパフォーマンスに影響します。トラブルシューティングの際は社内のツールを使ってサービスの状況を確認するわけですが、この社内独自ツールが様々あり、このツールを使いこなす事がメインとなります。ツールは独自のものですので、この使い方をマスターしたところで他社では通用しないスキルです。また、ツールがグラフなどを整形して出してくれるため、グラフを見るだけで状況を把握する事ができます。本来であれば、プロセスやメモリの状況、I/O など細かな内容を把握した上でグラフの様なもので俯瞰してみたりするものですが、最初からツールによって綺麗なグラフで結論だけ表示されるため、その下のテクノロジーについて知見がなくても回答ができてしまったりするのです。結果、あまりテクノロジーを知る機会が少ないという状況ではありました。もちろん、調べようと思えば調べることもできる場合があるのですが、日々大量のお問合せがあり、それら問い合わせを捌くことに忙殺されて細かなテクノロジーを勉強するといった時間や余裕はありません。
また、「チームで解決する」というカルチャーから個人のスキルではなく、全員のスキルで解決まで持っていくので、極端に言うと、全くテクニカルスキルがなくても「誰に聞けば答え/解決策を出してくれるか」を知っていれば人に聞くだけで仕事が完結できる環境でもあります。
テクニカルスキル以外の面では、様々なキャリアの中途採用の方々がいるので、色んな仕事の仕方やキャリア、価値観を学ぶといったことが可能です。また、希望すれば社内異動も可能なのでテクサポから SE やアーキテクト、TAM になったり、海外のリージョンへ転籍といったことも可能です。これは大きな外資 IT だからこそと言う面もあるかもしれません。大きな外資 IT だと本国へのキャリアパスが若干あったりします。ただ、テクサポから本国のソフトウェアエンジニアというのは狭き門であることは変わりありません。
僕の価値観
これまでのところから、何となく僕の価値観が見え隠れしているとは思うのですが、基本的に僕は「技術は好きだけど、ほどほどにしか働きたくない」というなんとも都合のいい価値観を持った人間です。なので、ワークライフバランスは凄く大事なんです。
おちんぎんいっぱいほしい🥰
けどあまり働きたくない
でも技術的なことして知的好奇心は満たしたい
こんな感じで、正直な話、基本怠け者の楽して稼ぎたいマインドセットなのです。これには訳があって、どんなに好きなことでも忙しさで忙殺されると好きじゃなくなりますし、仕事していて「楽しいなぁ」と思える程度の忙しさでのらりくらりと働いていたいと言う思いがあるのです。それに僕は仕事が全てじゃないと思っていて、やっぱり家族との時間がすごく大事で、家族の思い出や時間って金じゃ買えませんから、そこらへんのバランス考えてそれなりにお賃金いただいて、いっぱい休暇もらいたいわけですよ。
厳しい皆さんは「厳しいこと言うけど、世の中そんな甘くない。でも良い方法がある。詳細はプロフのリンクから」と仰るかもしれませんが、これは僕の価値観なのでしょうがないじゃぁないですか。
価値観と会社とのギャップ
そんなこんなで、シフト制で常に忙しさで忙殺されていて、かつ常に成長し続けてそれをトレースされて、、、といった目まぐるしい日々を送っていましたが、どうもこの働き方が僕の価値観と合わない。
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って僕の心の中の女将が言うわけですよ。めっちゃ忙しいやん、弊社?ってなるわけですよ。
それにコロナ禍でただでさえ幼稚園や学校のイベントが縮小されていて、そういったイベントが土日祝日に開催されるんですが、僕はそういう日に働かなければならんわけですよね。いやいやちょっと待ってくださいよと。子供のイベント全然参加できないじゃないですかと。会社としてワークライフバランス先進企業を標榜しててませんでしたっけ、弊社?全然バランス取れなくないですかね?
何故辞めるのか
ワークライフバランス取れないから
もうね、これに尽きる。
ただ、転職活動をしていたわけではなく「あぁ、忙しいし、もうちょっと楽に働ける会社ないかなぁ」と心の中で思うだけで特にもアクションは起こしていなかった。そんな忙殺された日々を過ごしていた時に知人から
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って言われたので
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と二つ返事で転職することになりました。
どんなにデカい企業で素晴らしい機会と同僚に恵まれても子供と一緒の日に休めないんじゃ嫌だし、忙しすぎだし、そもそも休み少なすぎ!
次の会社は?
次も同じく米系外資 IT でクラウドのサービスを展開している会社でのテクサポとなります。こちらもそこそこ日本法人の歴史が長く大きな企業となります。なので、外資っぽいカルチャーなのか、外資風日系カルチャーなのかは入ってみるまでは分かりません。ただ、
おちんぎんふえる🥰
そこそこ忙しい
土日祝祭日休み(一部当番での出勤はある)
有給は勤続年数に関係なく最初からMAX付く
ということで若干待遇が改善されるっぽいので良いかなと。僕の要求する給与の額が額なので、若干の忙しさは致し方ないとは思っています。面接してくれたマネージャーもテックリードの方々も物腰が柔らかく良い感じの人たちだったので、カルチャー的には馴染めそうです。あとは働いてみてからのお楽しみですね。