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#5 病院にて15歳の修行僧、誕生。[入院生活1日目]

僕には尊敬するブロガーさんがいる。彼は僕と同じ悪性リンパ腫を患っていて、入院中の自分のことを仏教の修行僧のようだと言っており、本当にその通りだと思った。

↑前回の記事↑

入院当日。

前の日にまとめた荷物と友達がくれたお守りを持って車でA病院まで車で1時間半。
病院に着いて入院受付で手続きを済ませた。
同意書のようなものに病気が発覚する前から飽きるほど書いてきた自分の氏名、住所、電話番号を書いた。
さあ、あとは自分がこれから闘病する部屋へ向かうだけ。ラスボスが待ち受けるダンジョンの階段を上がる気持ちでエレベーターに乗り、上がってゆく。

2階・・・3階・・・4階・・・

どんどん上がってゆく。

5階・・・6階。

ついた。
エレベーターから出て周りを見渡す限りほんとにご年配の方しかいない。
そしてだれかの点滴のポンプの電子音。聞き覚えがあった。というのも、自分は骨折で1日だけ入院した経験があって、手術の傷が痛いときに鳴っていた音だから、忘れるわけがなかった。
もちろん、病院はそういうところだと理解しているし、初めてこの病院に来たときから気づいていたけど、改めて自分がこの年齢でがんになったのは珍しいことだと気づかされた。
ナースセンターへ行き、手続きを済ませ、自分の部屋へ案内される。

🛗🚶‍♂️‍➡️🛏

エレベーターホールからおよそ100歩。自分の部屋に着いた。
4人部屋なのでほかの人が3人いて、みんなカーテンを閉めていたのでどんな人がいるのかわからなかった。
自分のスペースへ行くと、スペースの半分ほどをベッドが占めており、ベッドの隣にはテレビと冷蔵庫がある床頭台。
ベッドの上には中にビーズが詰まってるタイプの固い枕と、掛布団、そしてナースコール。
自分もこれからコイツをまた押すことになるのかと思うと、なんだかあんまり気分がよくなかった。
ナースさんに「確認してくるから一旦荷物整理して待っててね」といわれ、言われた通り荷物をロッカーに入れ、洗面セットを床頭台の棚の中にしまい、新品のティッシュ箱を開封し、これから滞在する準備が整った。
もうベッドに寝ころんでいいのかわからずに暇なのでとりあえずツムツムしながら待つこと約30分。担当してくれるナースさん(めっちゃ明るい)が来て、施設内の設備について説明してくれた。

🛌🛌🛌

浴室の使い方、ゴミをまとめるところ、面会の仕方など入院生活を送るうえで必要なことを雑談を交えながら教えてもらった。
やはりどこを歩いてもおじいちゃんしかいない。

おじいちゃん、おじいちゃん、おじいちゃん…

どうやら少なくとも6階に15歳の若造はひとりしかいないようだった。

🚶‍♂️‍➡️🧑‍🎓🚶‍♂️‍➡️

一通り説明が終わって、部屋に帰り午後3時までは自由となった。
3時まではとりあえず暇でしょうがないので院内のWi-Fiに接続し、インドア派の極みである僕はずっとツムツムとYouTubeとインスタを行ったり来たりして時間をつぶした。

「ッカァッッ!!!!(痰はいてる)」

「ンプゥ~……ブウッ(屁こいてる)」

もうキレッキレだった。そうとしか言いようがない。

もちろんのことながらご高齢の方はおならが我慢しにくいのも理解しているし、痰が絡まりやすいのもわかっている(実際にそういう人に会ったことがある)。しかし頻度が多いのと音がでかい。
屁に関しては15歳も顔負けのデカさだった(🙂←聞いててこういう顔になった)。

「この人としばらく朝昼晩同じ部屋なのか…」

失礼は承知ながらも軽く肩を落とした(おじいちゃん本当にごめんなさい)。

🤷‍♂️🙂🤯

午後3時になった。母との待ち合わせ場所に行き、ナースさんと合流して面会室というところへ向かった。そこにはこれから僕の治療を担当してくれる先生がいた。すっごいマッチョだった。上半身の筋肉のせいで服がパツパツだった。
先生、ナースさん、緩和ケア担当のナースさん、母、僕の5人でこれからのどういう治療を行うか説明を受けた。

前からだが、ここでもR-CHOP療法というキーワードが登場する。

R-CHOP療法とは…CHOP (チョップ) 療法は悪性リンパ腫の代表的な化学療法で、3種類の抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)に副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)を組み合わせた治療です。最近では、悪性リンパ腫のタイプのうちB細胞由来の腫瘍の場合、抗体薬であるリツキシマブを含んだ治療(R-CHOP療法)がよく行われます。これらの治療は、ほとんどの場合、通院で実施できるのが特徴です。

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/pharmacy/010/pamph/DLBCL/010/index.html より抜粋 

僕の悪性リンパ腫は「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫」という種類で、びまん性なので全身の病気と考える。
そのため切除はできず、点滴で血管を通して血液中に抗がん剤を投与するのが最も効果があると説明された。
抗がん剤治療には個人差はあるもののきつい副作用が伴う。
発熱、吐き気、かゆみ、蕁麻疹…etc.
「そういった副作用が起こるかもしれませんよ、了承してね。」という内容などの同意書をまたたくさん記入して、先生からそのほかの説明を受け、5人の会議は終了した。

😵🤢🫨

午後6時ごろ。飯の時間だ。
小学校のときの給食エプロンを強化したみたいな見た目の看護師さんたちがわざわざ部屋まで配膳してくれた。
意外なことにそこでも生年月日とフルネームを確認された(医療事故を防ぐため)。
その日のご飯は「親子丼」。
なんだか緊張しながら家から持ってきたスプーンですくう。
ゆっっくりと口へ運び、咀嚼する。

想像していた病院食とは異なり、ちゃんとおいしい親子丼だった。
そこそこおなかは減っていたのでしっかり完食して下膳した。

🍚🥚🍗

お風呂の時間になり、浴室へ向かった。この病棟には各階に浴室が2つついており、1つは極端に大きく、もう1つは極端に小さいというもの。大きいほうは点滴をしている患者さんが優先的に使えるというもので、点滴をしていない患者さんは小さいほうを使うようにしてねと促された。

このときは僕はまだ点滴をしていなかったので、小さいほうを使ったが、思っていたより狭かった。
浴室は人1人が入っただけでも結構狭く、最低限のスペースという感じだった。ただ、自分は昔習い事をやっていたときにそこについていたシャワー室がこんな感じだったので、なんだか懐かしく感じた。

🚿🕺😶‍🌫️

そうこうしているうちに消灯時間の午後10時になった。
ナースさんが部屋にきて部屋の一人一人に「電気消しますねー」と言って回り、全員に伝えた後、一気に電気を消された。

ここからが地獄の始まりだった。

さすがに部屋にいるおじいちゃんたちも電気が消えてから直ぐは寝ず、隣のおじいちゃんは痰をときどき吐いて、しばらくすると寝た。
すると今度は特大クソデカいびきをかき始めた。さらに周りの寝ているおじいちゃんたちもそれに共鳴されたのか、いびきをかき始め、特大クソデカいびきのコーラスが始まった。

そのコーラスはお客さんは一人しかいないというのに止まることを知らず、一晩中病室内に響き続けた。

全く、ほんとに闘病生活は修行そのものだった。

_____________________to be continued_______________

ほげおの戯言

今日、なんとなんと非常にありがたいことに、「ほげおの闘病記」開設以来はじめてチップをいただきました。まさかほんとにお金をいただけるとは思っていなかったので(しかもこんなすぐに)、通知が来た瞬間叫んで母を呼びました。
本当にありがとうございます。

今日、シャワーから上がってタオルで髪を拭いていたら結構な量の髪の毛が抜けました。時期的にもそろそろなので、「ついに来たか」という感じです。
結構ショックで落ち込みました。明日丸刈りにする予定です…。


最後までご覧いただきありがとうございました!

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