韓国のフォークシンガー、イ・ランの2枚目のアルバム「神様ごっこ (신의 놀이)」の和訳をまとめました。
2016年のアルバムということで結構前の作品にはなりますが、歌詞と演奏の持つ雰囲気に興味を持ち、歌詞を和訳してみました(一部引用)。和訳部分のみを記載しています。
1枚目のアルバム「ヨンヨンスン (욘욘슨)」、3枚目のアルバム「オオカミが現れた (늑대가 나타났다)」の間に挟まれる形の作品であり、割と過渡期的な作風だったりします。1枚目の爽やかなフォーク的な曲と3枚目の神秘的な不思議な雰囲気の曲が混在していて、とっつきやすさと一聴しただけでは捉えられない緻密な雰囲気の両面があります。
(追記)
まずタイトルについて、直訳すると「神の遊び」みたいになると思うのですが、「神様ごっこ」とすることで的確に世界観が表されています。
1. 神様ごっこ (신의 놀이)
「神様」「英雄」「生贄」「聖杯」と物語的、神話的な雰囲気を前面に出している曲。抽象的な歌詞と三拍子の牧歌的な演奏。
2. 家族を探して (가족을 찾아서)
あえてコーラスで歌詞を少しだけ変えたり、小節ごとに歌詞が少しずつずれていく作りになっている面白い曲。割と日常的なことを歌っているように見える歌詞とこちらも三拍子のスローな演奏。
「ジュンイチ」というのはイ・ラン氏が飼っている猫の名前
3. 物語の中で (이야기속으로)
シンプルな弾き語りと私的かつ抽象的な歌詞
4. 悲しくて腹が立つ (슬프게 화가 난다)
このアルバムでは珍しくバックでずっとオルガンみたいな音が鳴っている。
5. 笑え、ユーモアに (웃어, 유머에)
歌詞を訳すような曲ではないですが… この曲のようなバラエティに富んだ作風が1枚目との違い
6. 東京の友達 (도쿄의 친구)
このアルバムの中で最も1枚目の作風に(特に歌詞が)近い曲だと思います。ただギターを弾くことはなくチェロの演奏と歌のみ
7. 普通の人 (평범한 사람)
日常に浮かぶ思いを比較的シンプルに書かれているような感じがする
8. 世界中の人々が私を憎みはじめた (세상 모든 사람들이 나를 미워하기 시작했다)
上の和訳は以下の映像からの引用です。
アルバムの中でも印象的な歌詞。時間が経っていくことの描写が素晴らしい
9. 私はなぜ知っているの (나는 왜 알아요)
ここで再び神の登場。神と私たちの対比
10. 良い知らせ、悪い知らせ (좋은 소식, 나쁜 소식)
以下のページからの引用になります。
カート・ヴォネガット「国のない男」という作品からの引用の歌詞のようです。
おわりに
歌詞の面で言うと「神様ごっこ」や「世界中の人々が私を憎みはじめた」「私はなぜ知っているの」のような寓話的で抽象的なものと、「家族を探して」「東京の友達」「普通の人」のような私的で日常的なものと二つの大きな側面が感じられるように思います。
p.s.
ジャケットがローラ・ニーロっぽい