「-す/-さす」動詞で韓国語の自動詞・他動詞の変形が分かる!?
以前書いた以下の記事の中でも、
속다 / 속이다 騙される・騙す (속이다は他動詞)
보이다 / 보다 見える・見る (보이다は自動詞)
と見てみると、"-이"がつくことによる変化が、自動詞と他動詞の入れ替えと言う点からみると正反対になっていることがわかります。
本当は何かもっと法則があるような気がしていて調べていたところ、使動詞(사동사)と被動詞(피동사)というものがそれに当たりそうだったので、詳しく見ていこうと思います。
参考
https://namu.wiki/w/%ED%95%9C%EA%B5%AD%EC%96%B4%EC%9D%98%20%EB%8F%99%EC%82%AC#s-3.4
https://namu.wiki/w/%ED%94%BC%EC%82%AC%EB%8F%99%20%EC%A0%91%EC%82%AC
https://blog.naver.com/PostView.nhn?blogId=joemiri&logNo=100104038463
思ったより長くなったので、「フローチャート化」の部分で結論を書いています。
使動詞
使動詞というのは、文の主体が他のものへさせようとする動作を表す動詞。一般的には-이-, -히-, -리-, -기-, -구-, -우-, -으키-, -이우-, -이키-, -추-, -애-, -시키다の接尾辞が使われます。
「使役」の動詞などとも言われるものかと思います。
接尾辞による使動詞の作り方は以下の3つで考えることができます。
自動詞 + 接尾辞
속이다 - 騙す (속다 - 騙される)
묻히다 - 付ける (묻다 - 付く) ←「埋まる」で考えるとややこしい
돌리다 - 回す (돌다 - 回る)
숨기다 - 隠す (숨다 - 隠れる)
깨우다 - 覚ます (깨다 - 覚める)
내다 - 出す (나다 - 出る)
他動詞 + 接尾辞
보이다 - 見せる (보다 - 見る)
들리다 - 聞かせる (듣다 - 聞く)
맡기다 - 任せる (맡다 - 受け持つ)
지우다 - 負かす (지다 - 負ける)
떨구다 - 落とす (떨다 - 落とす)
形動詞 + 接尾辞
높이다 - 高める (높다 - 高い)
넓히다 - 広める (넓다 - 広い)
낮추다 - 下げる (낮다 - 低い)
맞추다 - 合わせる (맞다 - 合う)
自動詞・他動詞への変化
上記の使動詞化3パターンについて、自動詞・他動詞への変化という点で見ると次のようになります。
自動詞 → 他動詞
돌다 (が回る) → 돌리다 (を回す)
他動詞 → 他動詞
맡다 (を受け持つ) → 맡기다 (を任せる)
形容詞 → 他動詞
높다 (が高い) → 높이다 (を高める)
被動詞
被動詞というのは、他者の行動によりすることになった動作を表す動詞。一般的には-이-, -히-, -리-, -기-, -되다, -받다, -당하다の接尾辞が使われます。
この話は日本語話者に対しては、韓国語の受動態として説明されることが多いようです。
接尾辞による被動詞の作り方は、以下のパターンになります。
他動詞 + 接尾辞
쓰이다 - 書かれる (쓰다 - 書く)
묻히다 - 埋められる (묻다 - 埋める)
열리다 - 開く・開かれる (열다 - 開ける)
안기다 - 抱かれる (안다 - 抱く)
自動詞・他動詞への変化
「他動詞 + 接尾辞」の場合は、受け身の意味を持つことからも分かる通り、他動詞→自動詞のパターンになることが分かります。
쓰다 (を書く) → 쓰이다 (が書かれる)
묻다 (を埋める) → 묻히다 (が埋められる)
열다 (を開ける) → 열리다 (が開く)
안다 (を抱く) → 안기다 (が抱かれる)
使動詞と被動詞の区別について
「-이-, -히-, -리-, -기-」という接尾辞は使動詞と被動詞の両方に共通のものであることが分かりました。「-우-, -으키-, -이우-, -이키-, -추-, -애-」のような接尾辞が使動詞特有のものになります。
実は同じ単語から使動詞と被動詞の両方になることがあり、それらは意味が異なっています。
接尾辞が違う場合
먹이다 (食べさせる - 使動詞) / 먹히다 (食べられる - 被動詞)
接尾辞が同じ場合
날리다 (飛ばす- 使動詞 / 飛ばされる - 被動詞)
보이다 (見せる - 使動詞 / 見られる - 被動詞)
自動詞と他動詞の区別について
ある動詞について、どちらが自動詞でどちらが他動詞か分からなくなった時に、それを特定する手段を考えてみます。例えば쓰다と쓰이다が対であることは分かっているときに、自動詞と他動詞がそれぞれどちらなのかを当てる方法です。
まとめると、以下のパターンのうちどれかということになります。
接尾辞がついて自動詞になる
元の単語が他動詞
① 被動詞のほぼ全部
接尾辞がついて他動詞になる
② 元の単語が自動詞
使動詞の一部:돌다 (が回る) → 돌리다 (を回す)
③ 元の単語が他動詞
使動詞の一部:맡다 (を受け持つ) → 맡기다 (を任せる)
④ 元の単語が形容詞
使動詞の一部:높다 (が高い) → 높이다 (を高める)
ここからは完全に個人的な推測の仮説となります(ので反例が出てくるかもしれません)。
まず④は形容詞が元となっていることが分かれば特定が可能です。
また③のパターンについては、「Aが服を着る」→「BがAに服を着せる」のように、直接的か間接的かの関係の違いであり、どちらにせよ「Aが服を着る」というような他動詞の関係にあることが分かれば、特定ができそうです。
あとは①と②、つまり2つのペアの変化が、被動詞による変化(=受け身)か使動詞による変化(=使役)であるかを特定できれば良いことになります。
能動態-受動態の関係にある場合:受動態の方の意味を持つ動詞は被動詞となるため、接尾辞を持った自動詞になります。接尾辞がつく前の動詞が能動態で他動詞。
例:쓰다「書く」(他動詞)→ 쓰이다「書かれる」(自動詞)
能動態-受動態の関係であることを確かめるには、必ず能動態の動詞が実行される必要があるという条件で考えればいいのかなと思っています。例えば「書く・書かれる、置く・置かれる、捕まえる・捕まる」などは、AがBを能動的に〇〇することで、Bが〇〇するという関係であれば、受け身の受動態だと考えて良さそうです。
使役の関係にある場合:使役の方の意味を持つ同士は使動詞となるため、接尾辞を持った他動詞になります。接尾辞がつく前の動詞が自動詞。
例:돌다 「回る」(自動詞) → 돌리다 「回す」(他動詞)
このパターンをある程度特定する一つの方法として、日本語が「〇〇す」もしくは「〇〇せる」という形にできる動詞であるということが考えられます。以下の動詞は全て日本語では「〇〇す」「〇〇せる」の形にでき、韓国語では接尾辞がつくことで使役の他動詞に変化します。
フローチャート化
以上をまとめると次のようになります。
接尾辞がついたとき、
Q. 元の単語が形容詞?
→ YES: 他動詞(例:높이다)
↓ NO
Q. 「を〇〇する」⇒「を〇〇させる」という直接⇒間接の変化
→ YES: 他動詞(例:맡기다)
↓ NO
Q. 「〇〇す」もしくは「〇〇せる」という使役の関係
→ YES: 他動詞(例:말리다)
↓ NO
Q. 能動態-受動態の関係
→ YES: 自動詞(例:쓰이다)
おわりに
結構長くなってしまったのですが、たどり着いた結論としては「〇〇す」「〇〇せる」という形になれば接尾辞がついて他動詞だということさえ覚えていれば、迷った時に2分の1の確率を少し上げることができるのかもしれません。
(もしかしてこういうのって文法書とかに書いてあるんですかね…)
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