30代オタクの精神的な死 + 誰も知らないアダルトゲーム

 お久しぶりです。
前回の更新から時間が空きました。プライベートの件で恐縮ですが、4月から仕事が変わりまして、それで色々大変だったので更新出来ませんでした。

・30代オタクの精神的な死
 オタクだったらこういう時、「仕事が大変だけど○○(アニメキャラ・アイドル・公演等)のおかげで生きています。」って言いたくなる所じゃないですか。自分のここ2ヶ月半を振り返りますと、そういった事が全く無かったのが何だか意外でした。

 何となく勇気をもらえるタイプの作品が良いかなと思って、動画配信サイトで「天元突破グレンラガン」という17年前のすごく評価の高い熱血ロボットアニメを観てみたんです。でも、見てる途中でずっと主人公のカミナとシモンにあまり感情移入できなくて、5話で見るのをやめてしまったんです。もちろんグレンラガンが悪いというわけでは無く他のアニメでも全部同じで、観ていると「この物語が自分の人生に何の影響を与えるんだろう」と思えて虚しくなるんです。

 そうはいっても作業用動画が無いと寂しいので、私は配信されているテレビ番組を片っ端から再生してみる事にしました。すると、今の自分でも十分楽しく感じられる番組を発見できました。それは、皆さんご存じないかもしれないんですが、アイドルの村上信五とタレントのマツコ・デラックスによる「月曜から夜ふかし」というバラエティです。

 今の自分にとっては「月曜日のたわわ」よりも「月曜から夜ふかし」の方が100倍興味があります。「月曜から夜ふかし」しか楽しめない自分に気づいた時、自分の中のオタクマインドがゼロになった事、もはや一般人同然というか、もう一般人にもなりきれず勿論オタクでもない「無」の人間になった事に気づきました。

 ネットスラングで言う所の「無キャ」になってしまったんでしょうか?仕事で精一杯という面もあるんですが、もはや心が無になってしまったので自分にはこれ以上オタクの事が書けなくなってしまったのです。

 一応「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」は観ました。大変面白かったです。でも、昔の自分だったら長々と考察記事を書いたり「○○(特定のウマ娘)萌え!!」とか叫んだものですが、今の自分にはそういう心の力が枯れました。なのでここでギブアップします。アニメより、よりにもよって日テレのバラエティの方が面白いとかいう奴にオタクを語る資格は無いと自分でも感じます。こんな事言って数週間後にいけしゃあしゃあと新しい記事を書いていたら申し訳ないんですが、一旦ここで区切りをつけようと思います。 

・誰も知らないアダルトゲーム
 ここ2か月ほど、私はずっと仕事が辛いとか、最悪無職になって1年ぐらい寝てすごそうかなとか、マイナスの事ばかり考えていました。新作ゲームやマンガを買うとかコンサートに行くとかいう気に全然なれず、お金を使うのが怖くて積読や積みゲームを崩す生活をしていました。

 積みゲを崩す中、そういえば数年前に「魔法少女消耗戦線(metalogiq)」という成人向けゲームをやって、それのサブルートやアペンドディスクを放置していた事を思い出しました。嘘です。本当は積んでいる事をずっと重荷に感じていました。成人向けなのでリンクは貼りません。

 「魔法少女消耗戦線」がどういうゲームかというと、「魔法少女まどか☆マギカ」と「トップをねらえ!」を足して2で割ってアダルトゲーム化した物を想像してください。丁度そんな感じのストーリーです。"個人的"には"結構"面白いアダルトゲームでした。noteでPeetaro.さんが絶賛されていますし、アダルトゲーム紹介サイトでも褒める感想を見かけます。でも、別にヒットしたとか話題になったとかいう訳ではありません。ムーブメントみたいな物としては、全くの無風です。というか、アダルトゲーム業界全体が死に体です。アダルトゲームでムーブメントになった物って「対魔忍シリーズ」が最後でしょうか。(一応同人アダルトゲームという別の世界はありますが、それはまた後の機会に。)

 「いや、所詮マイナーエロゲーだから当たり前だろ」と言いたくなるでしょう。20年~25年前はそれが当たり前では無かったんですね。当時
はもちろんLeaf,Keyの葉鍵系の時代でしたが、アダルトゲーム自体がすごく熱気があった時代でして、オタク界でもインターネット界でも「エロゲー」にすごく存在感があったんですよ。葉鍵系の"感動"系ゲームだけでなく、「吸血殲鬼ヴェドゴニア」のような熱いバトル要素のあるゲーム、「沙耶の唄」「ゴア・スクリーミング・ショウ」のようなグロテスクでスプラッター作品として消費されてたゲーム、「戦国ランス」のように純粋にゲームとして面白いゲーム、「行殺♥新選組」のようなギャグゲーなど、エロゲーは黄金時代だったというか、黄金時代という言葉でもまだぬるいです。まどかマギカも、トップをねらえも、ていうか新海誠もFateも京アニもエロゲーな訳じゃないですか。

そういう2000年代前半のエロゲー文化、全部消えました。
塵も残らなかった。

 結局、2000年代ってインターネットが世の中に普及し始めて、ものすごいアングラ文化やアマチュアクリエイターの作品、テキストサイトなどの面白い個人が爆発的に増えた時代だったんですよ。そうした雰囲気はスマホの普及以降インターネットがカネになるようになってから丹念にクリーンナップされて無かったことにされました。結局、自分はオタクじゃなくて当時のアングラ文化が好きだっただけじゃないか。それでネットに熱中してリアルをおろそかにした結果、中年になってから仕事や孤独に苦しみ、親の老いが不安になる。そうした自分をアニメやジャンプの漫画が救うことは無いし俺も面白いとも感じない。30代中盤になると性欲も衰えてエロゲーすら興味が湧かない。ただただ虚しさとかノスタルジーが残るだけ……。これが30代の元オタクの末路です。
 今の時代はオタクの交流の場が、リアルに移行したから、誰も知らんようなマイナー作品・忘れられた作品を掘る事はまさに時間の無駄だが、かといって「みんながジャンプの○○という作品の話をしているから○○を観よう」という態度で臨む作品鑑賞が楽しいわけがない。じゃあもう「月曜から夜ふかし」しか俺が楽しめる物は残って無いじゃん。という結論に達したのです
(別に夜ふかしの熱狂的ファンという意味では無く「相席食堂」とか「水曜日のダウンタウン」でも代用可)

 それで「魔法少女消耗戦線」の話なんですが、・・・・・・まあ別におすすめしません。アダルトゲームだしグロテスク表現があるというのもそうなんですが、そもそも根本的に今の人がやって楽しめるゲームではないと思うからです。昔はグロテスク描写があるエロゲーをプレイする事で自分のエキセントリックさを誇るような、そういうオタクムーブがあったんですよ。そういうの今通じるわけがないですからオススメしませんし、やるなら20年以上前の過去の有名作品をプレイする方が温故知新だと思います。まあ、アダルトゲームみたいな物自体、性欲を解消する目的以外では無理してやる必要は無いと言えば無いですが……。いまさら「戦国ランス」やっても何にもならないでしょ?

 でも、自分が楽しいと感じた作品を人に勧められないのって寂しいね。これを勧めたらあなたにとって迷惑だとわかりきってるから、敢えておすすめしないおすすめしないと書いているだけで。昔はこういう作品の周りにネットユーザーが集まって楽しんでいた。今はそういうコミュニティが無いから、SCP財団でも変な家でも今HOTな界隈に行けばいい。俺は「魔法少女消耗戦線」楽しかった。今からアペンドもやる。でもあなたの為を思ってあなたには勧めない。

↑過去の名作の例。ゴアスクリーミングショウのデンカレの主題歌。今は良質かつ洗練されたホラー作品が沢山あるんだから、無理して過去のグロテスクな作品はやらなくても良いと思いますよ


 「聖剣伝説3」とか「スーパーマリオRPG」がリメイクされた次は「ロマンシング・サガ2」だそうですね。もう、オタクはある程度年齢行くと永遠に古い作品をリピートするようになると思います。昔だって、昭和特撮のDVDボックスを買う60年代生まれのオタクがいた。当時若かった僕は、尊敬半分、この人は新しいカルチャーについていけないんだなという気持ちが半分だった。今は自分がその人と同じ。オタク文化への熱意は、ある年齢を過ぎた瞬間、未知の現在進行形のカルチャーへの熱意から幼児退行・自分の若かった時代の反芻に変貌する。

オタク文化には、そういう遅効性の毒が隠されていたのかもしれません。

 今10代・20代でアニメ大好き!オタクで幸せ!一生推し活したい!と思っている方にアドバイスをしたいと思います。
 世代の平均年収レベルの雇用とプライベートの友人関係や結婚相手を確保し、なおかつ首都圏に住むか例えアマチュアでもクリエイター側に回らないと、30代・40代になってからオタ活に飽きて「無」がやってくるよ。

<余談>
 しかし、不思議だ。自分は「トップをねらえ!」も「キルラキル」も大好きなのに、どうしてグレンラガンだけ申し訳ないけどつまらなく感じるんだろう。きっと、自分の心が老いて捻じ曲がったので、カミナやシモンのような人間を疎ましく感じるんだと思う。