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鉄道オタク 何が楽しいのかわからない

 書き忘れていましたが、去年(2024年)私はオタク研究の一環として「乗り鉄」をしました。その理由は「アニメやアイドルライブを見るだけがオタクでは無いんじゃないか?他のジャンルについても体験しよう」と探究心を持ったからです。

・名松線
 去年、鉄道オタクを目指して真っ先に乗ったのは「JR名松線 三重県松坂市松阪駅~三重県津市美杉村伊勢奥津駅」でした。電車が2時間に1本しか来ない輸送密度208人/日のド田舎路線です。なぜ名松線かというと「鉄道オタクではない自分が鉄道オタクしか乗らないような路線に乗ったら楽しめるのか」を検証したかったからです。

 その結果は、うーん、楽しいような、楽しくないような、△って感じでした。行きは楽しかったんです。この路線は川沿いを走るんで景色が良くてとても気分が良かったです。乗り鉄よろしく車両の真ん前に立って見る風景は鉄橋からの眺望が最高で鉄道オタクでない自分でもはっきり楽しかったです。電車の旅って良いもんだなと思いました。
 ただし、ぶっちゃけ帰りは飽きました。特に日が落ちて外の風景が見れなくなってからは100パーセント退屈でした。私は気づきました。自分は鉄道や車輛が好きなんじゃなくて、ただ単に風景が好きなだけだという事に。
 名松線は自家用車で1時間で行ける距離が2時間かかるというとんでもない路線でした。路線としての実用性は極めて低いでしょう。家城駅より先は廃止すべきだと思います。

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去年、それ以外に乗ったのは以下の路線です。
②近鉄名古屋線
 愛知県名古屋駅~三重県伊勢市宇治山田駅
 これまでの人生で100回以上乗ったから何の印象もありません。おすすめ区間は弥富~桑名。

③近鉄大阪線
 大阪府難波駅~三重県松阪市伊勢中川駅
 急行だとロングシートで2時間ぐらいかかるし、榊原温泉~室生口大野辺りが各駅停車状態になるから本当に辛い。

④JR紀勢本線・関西本線
 三重県津市津駅~三重県亀山市亀山駅~京都府木津川市木津駅
 津~亀山は特筆すべき事なし。亀山駅は大きくガランとした駅で、「これがかつての鉄道の要衝か?」と思いました。関駅以降は川と崖に挟まれて進むような路線で「これがかつての東京大阪を結ぶ幹線か!?」と驚きました。なぜ名古屋と京阪奈を結ぶ路線がこんなに荒れ果てているのか?

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⑤JR草津線
 三重県伊賀市柘植駅~滋賀県草津市草津駅
 ド田舎路線かと思ったら、沿線は住宅街が立ち並ぶベッドタウンとなっていて驚きました。

⑥京阪石山阪本線
 滋賀県大津市膳所駅~滋賀県阪本比叡山口
 普通の電車かと思ったら電車と路面電車が自由自在に切り替わるような電車で驚きました。

鉄道むすめ 石山ともか

⑦叡山電鉄叡山本線およびケーブルカー
 京都府京都市八瀬比叡山口~出町柳駅
 ケーブルカーは眺めが良くて最高。叡山本線沿線はやっぱり京都らしい趣がありました。

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⑧近鉄南大阪線・橿原線
 奈良県橿原市大和八木駅~橿原神宮前駅~大阪府大阪阿部野橋駅
 大阪から三重県に行く場合、普通は絶対使わない「26000系」という電車に乗りました。車両としては古くて沿線も特に面白い物は無いですがやっぱり特急なんで楽しかったです。

⑨伊勢鉄道
 三重県津市津駅~三重県四日市市四日市駅
 地方のローカル線かと思いきや、全線が高架化されていて眺めが良かったです。まさにJR東海の癌とも言うべき路線だなと思いました。JR四日市駅も実にアレでした。

⑩近鉄湯の山線
 四日市駅~三重県菰野町湯の山温泉駅
 住宅地からの通勤需要だけでなく、湯の山温泉やアクアイグニスのような観光地を結ぶ魅力たっぷりの路線。

⑪東京臨海新交通臨海線
 東京都江東区東京ビッグサイト駅~港区新橋駅
 混んでてよく見れませんでしたが、レインボーブリッジの夜景が綺麗でした。

⑫都電荒川線
 東京都荒川区三ノ輪橋停留場~東京都北区王子駅
 東京にもこんな下町が、それも「浅草・こち亀・柴又」のようなコッテコテの下町ではなく平熱の下町があるなんて知らなくて、とても面白い路線でした。あらかわ遊園みたいな素朴な施設があって心休まるようなエリアだなと思いました。
 東京の人は「東京は都会的、地方は田舎的」だと思っているかもしれません。でも2024年現在、地方は既にモータリゼーションとファスト風土化が完了していて人情溢れる商店街みたいな物は絶滅しているんですよ。生活は全て巨大ショッピングモールで完結しています。商店街みたいなノスタルジックな物は東京・大阪にしか残っていないんですよ。

ちんちん電車

・乗っても乗ってもわからない
 こうして電車に乗りまくった上であえて正直に言います。電車の魅力がわかりません。新幹線とか特急は好きだし格好いいと思いますよ。速いし快適だから。あと、鉄道貨物基地なんかでたまに見るDE10みたいな機関車も渋くて格好いいとは思います。でもキハ11とか8810系みたいな何の変哲もない通勤電車に乗車したり写真を撮ったりするのは楽しさが全くわかりません。
 あとわからないのは音鉄ですね。去年電車に乗りまくった時は基本的にイヤホンで音楽を聞きながら乗っていました。理由は退屈だから、アナウンスとかレールの継ぎ目の音に興味が無いからです。

 楽しい路線もありましたが、正直南大阪線や湯の山線のような住宅地を通る路線は退屈です。自分にとって電車というのはただの箱にすぎない。特急の快適なシートで途中駅をどんどんスキップするスピード感が好きだ。きれいな景色を見たり、駅弁を食べて、観光地に行ったり旅館に泊まったり。あるいはケーブルカーや姨捨のスイッチバックのように珍しい鉄道・設備だったり、上諏訪駅のように「駅舎の中に足湯がある駅」みたいな面白い物を見たり。自分が鉄道旅行をするならそういう旅行をしたい。東京大回り乗車をもし私がやったとしても苦痛でしかないだろう。

 鉄道オタクって鉄道車両そのもの、線路や設備そのもの、鉄道という概念そのものが好きじゃないですか。自分はそこに越えられない一線を感じます。キハ11とキハ40の違いと魅力について熱弁されても困る……。鉄道写真も鉄道模型も別に欲しくない……。逆に共感できるのは宮脇俊三さんや横見浩彦さんのような「乗り鉄系・完乗乗りつぶし派」です。乗り鉄は限りなく普通の旅行好きに近いので自分のような非オタクにもわかりやすいです。でも自分は「土地」に興味があるけど、鉄は「鉄道と駅と線路のみが至上主義」なので、やっぱり自分は鉄の事を全く理解出来ていないでしょうね。鉄は電車の終点からバスで2キロの所に超面白い観光地があっても決して行かないでしょう。僕は行きます。そこに深い壁があるんでしょう。

・「わからない」という事
 去年電車に乗りまくって、やっぱ努力してオタクになる事って不可能なんだなってわかりました。電車の名前だの、ATSとATCの違いだの、バイモード車両だの、覚えたいという気力がかけらも湧かない。鉄道オタクなら今回私が乗った路線の駅名や写真の車両名もスラスラ言えるんでしょう。私には無理です。それは「アルゼンチンのサッカー選手」でも「STU48のメンバー」でも同じ事です。でも私はミリタリーが好きだから「BTR-80」や「YAK-141フリースタイル」みたいな兵器の名前はどんどん言えます。ガンダムのモビルスーツ(ロボット)の名前も、三国志の武将名も、「孔明」「リ・ガズィ」「甘寧」「ケンプファー」みたいにどんどん言えます。これって何なんでしょうね。ゲームで覚えたからつっても、自分はウイイレをやった事がありますが興味が無くて30分でやめた事がありますしねえ。

 改めて、なぜ鉄道オタクは鉄道が好きなのかよくわからないんですよ。他のオタクなら
アイドルやアニメキャラ→性的衝動
ゲーム→勝利への欲求
男にとってのスポーツ選手、自動車、城、戦国武将、兵器→強さ・富・暴力の象徴
コレクター系(切手・古銭など)→収集欲を満たす
SF・推理小説→他人から賢いと思われたい
 みたいにある程度理解はできるじゃないですか。

 でも鉄道は何が魅力がわかりません。新幹線ならわかります。でも通勤電車とか山の中をノロクサ走ってるローカル線とかはわかりません。線路・鉄道施設・路線・駅に興味を持つのもわかりません。自動車で例えるなら、まるで「インプレッサ」みたいな自動車そのものではなく国道・高速道路・道路標識・サービスエリア・道の駅みたいな道路そのもの執着するようなものです。一体何が鉄道オタクを突き動かすのか。その謎をもっと追及したい。

 鉄道オタクについてはさらに研究していきたいです。

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