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【2021年】夏の熱対策 簡易水冷ユニットの選び方

全国的に梅雨明けが発表されているこの頃。すでにエアコン無しではやってられませんね。お使いのPCの冷却性能は大丈夫ですか?今回は簡易水冷ユニット(CPU冷却)の選び方をご紹介します。夏本番に向けて見直してみてはどうでしょう。

結論

先に書いておきますが、
・簡易水冷ユニットは Asetek 製のもの 
ラジエーターサイズの大きいもの の方がよく冷える
・設置の仕方によっては冷却性能を発揮できない
です。
Asetek のWEBサイトにあるOEM製品の中からお使いのPCケースに収まるサイズで、ラジエーターが冷やせる位置で取り付けできるものを選べ です。

CPU冷却の仕組み

CPUの冷却方法としては主に空冷方式と水冷方式があります。

空冷クーラーの仕組み
ざっと説明すると、CPUからの発熱をヒートパイプからフィンに伝えてそこにファンからの風を当てることで熱をうばう仕組みで、ヒートパイプからフィンに熱を伝える速さ、フィンから放熱する速さがある点で限界をむかえます。フィンに冷たい風、高い風圧を当てればその分均衡点が下がり冷却力が上がります。
冷たい風を当てるというのは外気を下げると言うことなので、これは置いといて、冷却力を上げるなら 風圧を上げる = ファンの回転数を上げる ということになるので動作音が大きくなりますし、風圧をどれだけ上げてもフィンからの熱を空気に伝える速度には限界があるのでどこまでも冷えるわけではありません。

水冷の仕組み
こちらはCPUからの熱を水冷ヘッド部分で吸収します。水冷ヘッド内には液体が流れるようになっており、水冷ヘッドの金属から液体の方へ熱を伝え、その液体をラジエーターに通すことでそこで熱を外気に放出する形です。
液体は空気より熱容量が大きい(温めるためにより多くの熱が必要)ため温度上昇が緩やかです。最終的に空冷同様、金属フィンから空気へ熱を伝える速度がボトルネックとなるとなるわけですが、液体の緩やかな温度上昇とラジエーターサイズを大きくすることでの液量と放熱効率の確保で、空冷以上の冷却効果を得ることができます。
簡易水冷ユニットは水冷ヘッド部分に液体を循環させるポンプを内蔵しラジエーターとの配管・液体の充填を済ませた状態で販売されているものになるので、設置が簡単で液漏れの心配も少ない製品になります。

簡易水冷を選択する理由

最近のCPUは アイドル時は省電力 重いタスクは短時間で と言う感じの作りになっています。CPUに負荷がかかる処理は動作クロックを上げて短時間に処理が終わるよう動作するため、その際にガッと発熱します。またゲーム中など平均的に高負荷なワークロードが続く場合、電力制限の範囲内でCPUのコア温度が上昇しすぎない高い動作クロックを維持するように動作します。こうした動作から、突発的な温度上昇への対応と安定した放熱が求められる為、ミドルハイ以上のCPUには簡易水冷の方が向いていると言えます。

簡易水冷のメリットとデメリット、あとよくある誤解に関してまとめます。

簡易水冷のメリット

なんと言っても 空冷クーラーを超える冷却性能 です。
ただし、これはラジエーターのサイズによります。ラジエーターサイズが大きくなれば放熱する面積が大きくなるため冷却効率が高くよく冷えます。
ラジエーターサイズが 240mm以上 のものでないと空冷と変わらないです。

簡易水冷のデメリット

コスパは良くない
空冷クーラーに比べてコストパフォーマンスの面では良くはありません。
ラジエーターサイズが240mmより小さい製品を選ぶなら空冷の方が良いです。

故障リスクは空冷より高い
空冷クーラーの動作部品はファンだけですが、こちらは水冷ヘッド内のウォーターポンプもあります。また液体の配管部品もあるので。(めったに漏れたりはしませんが)私も簡易水冷ユニットの出始めから数台使用してきましたが、ウォーターポンプが異音を出したり、光らなくなったり、いろいろありました。(が、水漏れは経験ありません)ファンだけなら交換で済みますが、ポンプは交換できませんからね・・・
あと簡易水冷ユニットには寿命というか交換目安がありますので。。

メンテナンスが大変
これは空冷クーラーもそうですが、長年使っていると埃が付いてきます。簡易水冷ユニットのラジエーターは空冷クーラーに比べてフィンの目が細かく埃が溜まってしまうと掃除が大変です。

静音性に期待しすぎない
よくある誤解としては、簡易水冷は静か というものです。私も最初はそうでした。簡易水冷ユニットにはウォーターポンプ動作音、液体の流動音、ラジエーターを冷やすファンの動作音 と音源が多いです。前者2つは最初は気にならないと思いますが、経年劣化で異音が発生することはあります。ファンの動作音は取り付けの仕方や、回転数によりますが、空冷同様なので結局は動作音がします。

あと重要なのは、取り付け方法によっては思ったほどの冷却力を得られないとこがある という点です。ケース内のGPU等の排熱で温まった空気をラジエーターに当てても当然のことながら冷やせませんし、排気の流れができていないと熱が篭もるばかりです。
ケース前面に立てて置きフレッシュな外気を取り込める設置方法が私の経験上は良いかと思ってます。(この辺りはケースによる...)

簡易水冷ユニットの選び方

長々と書きましたが、じゃあ選ぶポイントはどこなんだと。
はい。それはまず Asetek 製の製品を選ぶこと です。
というのも、水冷ヘッドに関する特許を持っているのがこの Asetek と言う会社で、古くからある老舗です。
Asetekなんて知らんというのもそうなんです、日本では本家の製品はあまり売ってないですから。。でも大丈夫、有名どころの製品はこの Asetek の OEM商品 が多いです!
Asetek の WEBサイトからDIYパーツパートナーが確認できます。NZXTやFractal Design、Thermaltake の製品などは比較的入手しやすいですね。

次に、予算との兼ね合いもありますが、ご自身のPCケースに取付可能なサイズのラジエーターを備えた製品にします。ざっとですが、
Intel
Core i5 → 140mm以上 / 空冷でも良いレベル
Core i7 → 240mm以上、280mmがおすすめ
Core i9 → 280mm以上、360mmがおすすめ
Ryzen 3000シリーズ
Ryzen 5 → 240mm以上 / 空冷でも良いレベル
Ryzen 7 → 240mm以上、280mmがおすすめ
Ryzen 9 → 280mm以上、360mmがおすすめ
Ryzen 5000シリーズ
Ryzen 5  / Ryzen 7→ 240mm以上、280mmがおすすめ
Ryzen 9 → 280mm以上、360mmがおすすめ
といったところでしょうか。

あと、RGB LED付きかどうか、そうそう、制御ソフトに頼らなくても良いやつがいいです、、(ソフトが総じてクソなので・・・

おすすめの簡易水冷ユニット

個人的におすすめの製品を上げます。

Fractal Design Celsiusシリーズ
個人的に一番のおすすめがこちら。
専用ソフトを使用せず、自動制御モードとPWMでの手動制御モードが切り替えられます。PWMモードにしてマザーボード側のファンコンで設定できるのがジサカーには最高です。冷却性能・ファン性能も文句なしです。
光る / 少し光る / 光らない 3タイプに各サイズの展開も!若干お高めですが、間違いなくおすすめ!

NZXT KRAKEN X53/X63/X73
インフィニティーミラーが非常に美しい製品です。
専用ソフトの「NZXT CAM」から水温のモニタリングやポンプ制御が可能ですが、設定を本体に記憶させておけないため、ポンプやLEDの制御のためにはソフトを常駐させておく必要があるのが残念な点です。

Thermaltake Water 3.0 シリーズ
コスパ重視ならこいつ。Asetek以外の他社製品より安いこっちの方が冷えるz
静音性は微妙とのレビューが多いですね。

ASUS ROG ブランド / Gigabyte AORUSブランド
ブランドプレミアムな価格っすなぁ、ASUSのはポンプ等制御ソフトがいらないので良いかと。

あとはまぁ、日本でのブームの先駆けとなったCORSAIR製品はOEM先にCoolitも入ったようで、Asetek製の製品もまだあるようですが、よくわからないのでパスしました。全然悪くはないです。制御ソフトはダメですが。


毎年8月に入ると在庫が少なくなる傾向がありますので、検討されている方は早めの購入をおすすめします。


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