縦式Tips:ヘッダに本のタイトル、章タイトルを両方表示する
小説同人の執筆から入稿まで、iPadで全部やるぞ!のシリーズ
縦式の便利な使い方のご紹介
新潮文庫のように、文庫のヘッダー部分に
・ページ番号(ノンブル)
・本のタイトル
・章のタイトル
を表示したいので、これを実現する設定方法を書いていきます
まずは、お手本(新潮文庫)を見てみる
新潮文庫大好きマンです
新潮文庫と一口に言っても、本によってフォントの書体、フォントサイズ、行数、字数は千差万別です
自分が観測した範囲だと、書体だけでも
・リュウミンL
・リュウミンR
・秀英細明朝
・精興社書体
・イワタ明朝体オールド
とまあ多岐にわたる。きっと本文の内容から、もっとも適しているフォントを選んでるんじゃないかな? 絶対混植もあるし(一部の漢字・役物の混植があるのを確認済み)
そしてどの本を手に取っても、読みやすく、組版が実に美しい…
自分は、「本は読みやすい」のが望ましいと思っています
個人的なこだわりで、美しい組版にしたい、とも
なので、自分が最も美しく読みやすいと感じる、新潮文庫の組版を縦式で再現したい!
お手本はこちら
さて、この本のヘッダーは以下のような仕様となっています
・ページ番号(ノンブル)が表示
・偶数ページのヘッダーに「本のタイトル」が表示(中央揃え)
・奇数ページのヘッダーに「章のタイトル」が表示(中央揃え)
・本文とヘッダー部分の距離が4mm弱
これを、縦式で設定していきます
1. 事前準備
今回は、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」をサンプルとして使用します
縦式でヘッダに章タイトルを表示するには、各章に「見出し」の設定を行う必要があります
自分は、中見出しの設定にしてます
見出しの設定方法は、見出しにしたい行にカーソルを移動し、ハンバーガーメニューから「見出し」>「中見出し」を選択します
ショートカットの「cmd+2」でも同じく中見出しの設定が可能です
2. 本のタイトルを設定する
縦式で本のタイトル(偶数ページのヘッダに表示する文字列)の設定を行います
縦式の画面上部アイコン「テキスト設定」>「…」>「出力設定オプション」をタップ
ここで、偶数ページに本のタイトルを表示するための設定を行います
・ヘッダー、フッターにタイトルを表示→オンにする
・奇数ページのみ→オフにする
・見出しを優先→オンにする
・タイトル位置→上中央を選択
・タイトル→今回の本のタイトルである「セロ弾きのゴーシュ」に変更
上記設定が終わったら、「完了」>テキスト設定の「完了」をタップ
3. 章のタイトルを設定する
今度は、奇数ページに章のタイトルを表示するための設定をします
縦式の画面上部アイコン「出力設定」をタップ
ここで、奇数ページに章のタイトルを表示するための設定を行います
・ヘッダー、フッターに見出しを表示→オンにする
・奇数ページのみ→オンにする
・見出し位置→上中央を選択
・見出しの種類→「中見出し」を選択
また、図4の赤枠の真下の、
・ページ番号→オンにする
・ページ番号位置→上にする
こちらも忘れず設定してください
4. ヘッダー、フッターを設定する
次に、出力設定の「ヘッダー、フッター設定」をタップし、「ヘッダー、フッター設定」画面に遷移します
※図4の赤枠の真上に、「ヘッダー、フッター設定」があります
ここでは、ヘッダー(ページ番号<ノンブル>とタイトル)と、本文の上部にどれだけ幅を取るかの設定を行います
・縦方向の位置調整→4mmに設定
・横方向の位置調整→0mmに設定
・フォントサイズ調整→0.0ptに設定
・本文と同じフォントを使う→オンにする
上記の設定を行い、「<出力設定」をタップして出力設定画面に戻ります
5. PDF出力する
設定が終わったので、出力設定画面の「完了」をタップし、PDF出力を行います
※今回は、縦式の他の出力設定については解説省略します。文庫本らしく出力設定する方法についてはこちらをご参照ください
ご覧いただくとお分かりになるかと思いますが、新潮文庫っぽく
・偶数ページのヘッダーに「本のタイトル」が表示(中央揃え)
・奇数ページのヘッダーに「章のタイトル」が表示(中央揃え)
・本文とヘッダー部分の距離が4mm
になっています!
以上となります
他にも、設定次第で、集英社文庫(奇数ページにのみ、左寄せで章タイトルを表示)等も再現可能です
是非お試しください
縦式、いいアプリです。ありがとう作者さん!!
<どうでもいい余談:インデザいるかな?>
昔は、同人小説を作るにあたり、
・WordとMS明朝を使って文庫本作成
・InDesignと小塚明朝を使ってA5小説作成
・縦式とヒラギノ明朝を使ってA5小説作成
・縦式とリュウミンを使って文庫本作成
など、様々なツールを使い、いろんなパターンの小説を作ってきました
ぶっちゃけ同人歴20年越えです… 2000年代初頭には、コミックモール様で小説文庫本作ってました
で、それらの経験からすると、
●知識があるなら、Wordで同人小説を作るのはアリ(ただしフォントは、今はMS明朝より游明朝がよさそう)
●WordはPC買ったらデフォルトでついてくる場合もあって導入しやすいが、同人小説を作るという点で見ると、理不尽に苦労することも多い
●よっぽどのことがない限り、同人小説作成では、InDesignは過剰性能
プロ用のツールなだけあって「やれること」は多いが、あまりにも覚えるべきことが多い
Word、縦式と比べると、「同人小説を作るために」というピンポイントな目的に絞ったとしても、学習コストが高い
●縦式は、Wordほど困ることもなければ、InDesignほど学習コストが高くなく、バランスが良い
という結論に至りました
iPadで小説同人誌つくろうぜ!とお薦めしているのも、上記の経験を踏まえてのことです
前も別の記事で書きましたが、
・一つの原稿で複数のフォントを使い(混植)、小説を書きたい
・縦書きと横書きを自由に混在させたい
・あちこちにいっぱい挿絵入れたい
・漫画原稿と小説原稿を混在させたい
こういった本を作りたい場合は、InDesign一択だと思います
(面倒さはありますが、Adobe Illustratorでも可能)
ただ、そこまでのことはしない場合は、学習コストが最も低く、出力したPDFが安定して入稿可能クオリティな「縦式」がベストじゃないかな
あと前も言ったけど、Windowsなら一太郎がいい! 一太郎2025プラチナは、本文用にヒラギノW2、文游明朝 文麗かな、その他フォントが計20書体もついて、お値段47,300円とすごいお得です!自分も買おうかと思ってる
一太郎は読み上げ機能も校正機能もあって、同人小説にはマジオススメ