外資系の英語コミュニケーション術、これだけ知っておけばOKな3つの型
こんにちは、志村です。私は留学や海外在住の経験はありませんが、外資系企業のマネジメントのポジションで、曲がりなりにも本社のメンバーと英語によるコミュニケーションを行ってきました。そこで今回は、私が学んできた気付きやノウハウを皆さんに共有したいと思います。
1. 持つべきマインドセット
英語のスピーキングで重要なことは、なるべくシンプルな単語を使ってSVOの型を素早く作ることです。日本語の文章をそのまま英語にしようとすると複雑な英文になりがちなので、多少内容が省略されてもSVOの型になるように頭の中で文章を組み換えるのがコツです。説明が足りない場合は、短い文を1つ2つと追加していきます。
しかし、英語が苦手な人はあまりこれを意識しすぎるのはよくありません。私もそうなのですが、実は日本語を話しているとき文法はめちゃくちゃだったりします。例えば「おもしろいよ、この本、昨日買ったやつなんだけど」のように、口語では思いついた順に単語や意味のかたまり(チャンク)を発言しても相手に意味は伝わります。
英語でも日本語同様、SVOの型になっていなかったり、単数名詞の前に"a"をつけ忘れたり、過去のことを現在形で話したりしても、チャンクをつなげて話せば文脈から大体の意味は伝わります。
相手が理解できなかった場合は質問をしてくれるはずなので、「7割伝わればOK!」と開き直り、大きめの声で、そして自信がなくても自信があるフリをして堂々と話すのがもっとも相手に伝わりやすいと私は感じました。ごにょごにょ話すと余計に発音が聞き取れなくて伝わりにくいようです。
私が関わった中では、中国人/シンガポール人/インド人の英語は、発音/イントネーション/文法がアメリカ人のそれとは異なっていましたが(例えば中国人は "I was ate.." のように動詞を重ねていましたが、「何か食べたんだな」と意味はわかります)、みんな自信を持ってスラスラ話すので聞き手は最後まで静かに聞いていました。
アメリカ人がインド人の英語を理解できなくてよく質問をしていましたが、そのインド人からは後ろめたさを微塵も感じませんでした。しかしそれでよいのだと思います。
正確性を求めるとスピードが犠牲になります。目的は完璧な英語を話すことではなく自分の意見を相手に伝えることなので、スピーキングのときはスピード重視でリズムを保つことを意識するのがよいと思います。
私がこの考え方をできるようになってからは、細かいミスは気にせずにとにかくチャンク単位で話しきってしまうようにしています。例えば何かしたいことを伝えるときは、とりあえず "I'd like to.." と発言して、その0.5秒くらいの間に次に当てはめる動詞や目的語を考えます(ちなみにリスニングのときも、チャンク単位で理解しようとすると頭の中でイメージしやすいです)。
会話の中でうまく表現できなかったことは、あとで適切な言いまわしを調べて記憶することで、実践的な語彙力を増やしていくことができます。このようにして、私はスピーキング能力と語彙力を強化していく好循環に入れたように思います。
なお、メールなどで英文を書くときは時間をとれるので、Google翻訳やDeepLなどの翻訳ツールを活用して相手がなるべく理解しやすい文章にしてあげる配慮は必要かと思います。そのとき、まずは自分なりに英文を書いてみて、答え合わせ的に翻訳ツールを使う習慣をつけておくと、さらに英語力を向上していけるのでオススメです。
2. ハイコンテクストとローコンテクスト
言語の違いは文化の違いです。相手の文化的な特徴を理解したうえでコミュニケーションを行うことで、よりお互いのことを理解しあえるのではないでしょうか。
皆さんは"ハイコンテクスト"と"ローコンテクスト"についてご存知でしょうか?
日本はハイコンテクストな文化といわれています。基本的には単一民族・単一言語の国であり、同じような価値観の人が多いため、あまり多くを語らなくても相手に伝わりやすい土壌があります。行間を読んだり察することができるのは、日本人同士だからこそ実現できていることです。
それに対して英語圏のアメリカやイギリスは移民が多く、多民族・多言語の国であるため、ローコンテクストな文化といわれています。英語は世界中で様々な人たちが使うグローバル言語でもあり、そこには共通の価値観というものがほとんどないため、その分を言葉とロジックによって埋め合わせなければなりません。
英語でコミュニケーションをしているとき、「そんなに長々と詳細まで説明せずに端的に言ってくれればいいのに・・」と感じたことは正直けっこうあるのですが、これは相手の抽象化能力の問題というよりも文化の違いだということにあるとき気が付きました。
相手からしたら、私がどこまで話の前提条件を理解しているかわからないので、背景から丁寧に説明して理解してもらおうとする姿勢が当たり前なのです。この考え方の違いに気付いてからは、相手の説明は何も言わずに最後まで聞くようにしています。
そのような文化なので、英語の会議ではたとえ時間がないときでも話が終わるまでちゃんと聞く人が多い印象です。私がファシリテーターを務めるときは、会議の目的を達成するために、時間配分を考慮して割とドライに(?)仕方なく話を切らせてもらうこともあるのですが、他の会議では誰もそれをやらずに時間オーバーで結論までいかないことがけっこうあったりします。
自分が話すときに関しても、ローコンテクストであることは考慮しなければなりません。日本人同士だったら省略するような前提条件や細かい内容であっても、意識して丁寧に説明したほうがより伝わりやすいと思います。また、ローコンテクストの場合は、相手に何かやってほしいことがあったらきちんと言葉で説明しないと「察する」ことはしてくれないため注意が必要です。
3. 知っておくと便利な型
英語も日本語と同様に、あまりダイレクトな表現を使ったり相手を批判したりするのはよくないため、当然ながら伝え方には配慮したほうがよいです。そして、意見を伝えるときは相手に伝わりやすい型があるので、それぞれ以下にご紹介したいと思います。
3-1. アサーティブ
Assertiveというのは、Aggressive(攻撃的)とPassive(受動的)の中間の態度で、相手に配慮したうえでダイレクト過ぎない表現で自己主張をすることです。例えば相手の意見に対して自分の考えが異なる場合は、いきなり反論から入ると感情的にブロックされてしまって話が進まなくなる恐れがあるので、以下のようなステップで自分の意見を伝えるとよいです。
なお、前述のとおり英語では話を最後まで聞くのがマナーになっていますが、話についていけないときに "I'm sorry to interrupt, could you speak more slowly? " などのお願いをするために中断するのはまったく問題ありません。
3-2. Youを主語にしない
日本語でもビジネスシーンで「あなたは・・」という表現を使うと相手を責めているような印象を与えるのであまり使わないと思うのですが、それは英語でも同じです。
例えば相手が言ったことを確認したいとき、"You mean.." だと少しダイレクトで強い表現になってしまうので、 "Does this mean..?" という言い方にしたほうが失礼な印象を与えないため安全です。
あとは、同じことを伝えるにしても主語を"You"から"I"に変えるのが適切なケースも多いと思います。
3-3. 論理の3点セット
「英語は結論を先に述べる」とよくいわれますが、それはそのとおりだと思います。ローコンテクストの世界では、その結論/主張に説得力をもたせるロジックとデータが重要なため、以下の流れで説明をするのが王道になっています。
私が日本事業の責任者として本社に戦略変更などの提言をしたとき、慣れない頃は1と2はしっかり準備していたものの、根拠となるデータや具体例が足りずに主張が通らないことがたびたびありました。
しかしその後、主張を裏付けるデータや実際のお客様の声をエビデンスとして厚めに提示することで、格段に話が通りやすくなりました。ローコンテクストでは、この3点セットを意識して主張するのがとても有効だと身をもって体感した次第です。
最後に
いかがでしたでしょうか?英語はしょせん、コミュニケーションのツールです。間違えたら恥ずかしいと感じる必要はなく、ボディランゲージでも何でもよいので相手に思いが伝わればそれでよいと思います。
ご参考までにですが、私の英語力が実践レベルまで上達できたのは、外資系のスタートアップに転職して、海外の本社と毎日英語でやりとりしなければいけない環境に身を置いたことが一番の要因でした。コツコツ勉強を重ねることももちろん大切ですが、本気で英語力を高めたい方は、そういった環境に思い切って身を投じるのも手かもしれません。
本記事が皆さんのビジネス英語力の向上につながれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
おまけ
いま英語へのモチベーションが高まった方へ。私がもっとも好きな英語スピーチ(スティーブ・ジョブズ 伝説の卒業式スピーチ:字幕付き)をご紹介します。15分ほどありますが、大変聞き取りやすく、内容も素晴らしいのでよかったらお楽しみください(^^)
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