需要に対する社会秩序の矛盾

この項では消費物を社会的役立ちを求めるものと個人的な意味を求めるものとに大別したうえで、これらが長期間か短期間か、会社か社会かで重要度が逆転することを説明する。

前者は純粋消費物と言われ、これだけを売る場合には21世紀で人々は3時間労働で十分であると予想された。
しかし、現代は後者を求めるようにもなってきており、そしてその割合が大きくなりつつある。この理由は時間の経過とともに解決可能な問題が増えていくため、純粋に必要で役立つものはある一定でそれ以上の機能がいらないと感じる状況が生まれるからだ。そのため更なる売り上げの確保のためには、単純に役に立つかだけでなく、買うことに意味があるかどうかが問われる。

よって前者から後者へのパラダイムシフトが必要とされる。

しかし、後者にお金を使うと役に立つものに対する価値や費用が相対的に下がっていき、また、後者の商品としての優位性から、後者を生み出そうとするとする人が増えると、社会に役立つものの供給が少なくなる。よって余剰が減り、人々はこれの奪い合いが始まる。

短期的に、または会社視点でみると意味のある商品を作ることが良いが、長期的または社会的にみると役に立つ商品を作る方がよい。この矛盾が社会問題を複雑にしているのだろう。

参考:
設計論 製品設計からシステムズイノベーションへ,藤田喜久雄,コロナ社 p116
仕事ができるとはどういうことか,楠木健,山口周,宝島社 p24

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