「モンスターオンスTシャツ」という、その名の通り怪物級のTシャツを作り始めてます。
モンスター、怪獣、怪物、化け物、物の怪など、ファンタジックで恐ろしげなものを表現する言葉がいろいろあります。
東大阪繊維研究所では今、それらのイメージに当てはまるような恐るべきTシャツを作ろうとしています。
取り組みを始めて最初に出来上がったコットンの生地は超重量級で13.5オンスほどの重さになりました。
一般的にTシャツでは7オンス以上の生地がヘビーオンスといわれていますので、そこからすると2倍近い重さがあります。
これはもはやヘビーオンスという言葉で説明できる代物ではないと感じたので、私たち独自の階級をつけました。
それが「モンスターオンス」。
ヘビーオンスの上のそのまた上くらいの位置づけで考えてます。
じゃあヘビーオンスの一つ上は何なんだ?モンスターオンスとヘビーオンスの中間には何があるのか?と問われても、そこに該当する生地がまだ無いので呼び名は用意していません。
先にモンスター級の生地が出来上がってしまったんで、そこの階級名だけ先に決めました。
さてこのモンスターオンス、ただ分厚いだけのゲテモノではありません。
超長綿という上質なコットン100%の糸を使用しているので肌ざわりは柔らかです。
しかし引っ張ろうが雑巾みたいに絞ろうがビクともしませんし、ゼロトルク撚糸の技術で作っているのでもちろん洗濯しても歪んだり縮んだりしません。
その上で、
今回はモンスターと名乗るためのさらに過酷な試験を沢山行っています。
その最初が防炎性に関する試験。
防炎性というのは燃え広がりにくさのことです。
この生地が万が一火に当たってしまったときに、火が燃え広がってしまうと火傷の危険性が増します。
そうならないような機能を備えているかどうかを調べるために、一般財団法人ボーケン品質評価機構で試験をしてもらいました。
まずはその結果がこちら。
試験の詳しい内容についてはボーケンさんのサイトのリンクを張っておきますのでそちらをご参照ください。
今回私たちが取得した試験データは
参考評価区分:表面フラッシュなし
フラッシュ炎の到達時間
100mm到達せず
200mm到達せず
300mm到達せず
となっています。
フラッシュ炎の到達時間という項目は、生地表面に炎を当てたときに炎の当たった部分からそれぞれの距離にまで何秒間で炎が燃え広がるか、ということについての評価です。
100mm(つまり10cm)~300mm(30cm)まで3箇所で観測していますが、そもそも最初の10cmの時点ですでに炎が到達しなかったという結果になりました。
10cmのところに広がらなかったのでもちろん20cm、30cmのところにも炎は到達しません。
つまり、
この生地に炎があたっても燃え広がることは無いという試験データが取得できました。
一つの機能「防炎性」が証明されたということですね。
ちなみにこの生地ですが、防炎加工などの特殊な処理を一切行っておりません。
言ってしまえばただ編んで水洗いして乾かしただけの生地です。
もちろん編み方にノウハウはありますし、糸の作り方にも私たち独自の技術が加わっています。
けれども生地としてはただの無加工のコットン100%です。
ただひたすらしっかり頑丈な生地を作ろうとした結果、自然の成り行きでこの防炎性の機能が得られたということです。
シンプルな技術をきっちりと積み上げればちゃんとしたものが出来る。
何ごとにも基本が大事ということですね。
もともと私たちが欲しかったデータはバーベキューや鉄の切削工事などで飛ぶ火の粉が当たったときに生地に穴が開かないか?というものなのですが、それについてボーケンでは評価試験方法そのものがないということだったので、後日私たちの方で独自に試験して評価したいと思います。
そのやり方はシンプルで、生地の表面にガンガン火の粉を当てて燃えたり穴が開いたりしないか、ということを見たいと思います。
ボーケンさんではその後さらに別の色々な検査をしてもらっていて、そちらでもなかなか興味深いデータを取得できていますので、それも随時ご報告したいと思います。
私たちの生み出そうとしている「モンスターオンスTシャツ」がどのくらい怪物級に凄いものになるか、とても楽しみです。
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