「糸は作れます、福神漬けは作れません。」
はじめまして、東大阪繊維研究所です。
研究所と名乗っておりますが、Tシャツのブランドです。
ある日、「丈夫で着心地のいいTシャツを作るには糸から作りこむ必要がある!」と思い立った大阪府東大阪市の糸屋が始めたブランドです。
さて、早速ですがTシャツ作りのお話。
Tシャツを作るというのはどういうことか。
「生地を裁断して縫って作っているんでしょ」ということで間違いないです、あってます。
ではその生地はどうやって作られているのかといいますと、丸編み機という大きな編み機でジャーっと編んでます。
生地と書くといわゆる織り物をイメージされる人が多いかもしれませんが、世の中のTシャツ生地のほとんどが織り物ではなく編み物です。
編み物というと毛糸玉から少しずつ糸を抜き出して編み針でひと目ずつ編んでいくあの編み物を想像される人もいるかも知れません。
実はこれまたそれであっていて、Tシャツ用の生地を編んでいる機械の原理は手編みと同じで、大掛かりな機械を使ってはいますが針でひと目ひと目編んで大きな生地にしています。
洋服が好きで、素材や作り方に興味のある人ならここまではご存知かもしれません。
ではその編み物の生地を作るための糸はどうやって作られているかとなると、「そこまでは知りませんよ」という人がほとんどじゃないかなと思います。
簡単に言ってしまうと「ワタから糸を紡績し撚糸して染色する」ということになりますが、これを知っている人はほぼ間違いなく業界人でしょう。
単に洋服が好きファッションが好きという人にとって糸の作り方なんてそもそも不要な知識だと思いますし、「洋服やバッグなんかを自分で縫ったりしてますよ!」というような一歩踏み込んだファッション好きの人にとっても特に必要な知識ではないと思います。
けれども、私のNOTEではこの「普段それほど必要ではない知識」のところをあえて一生懸命書いていこうと思っています。
その知識が洋服の品質の違いを知るためにとても役に立つと考えているからです。
どんなトップスがどんなパンツと合うとか色のコーディネートのセオリーといったことについては、センスのある方々が沢山いて色んな情報を公開されています。
けれども、型崩れしにくい服にはどんな秘密があるのかとか、肌ざわりがよい素材はどんな方法で作られているのかというような品質の部分については、素材の専門家でないとご説明できないことが多いはずで、自分たちならそれを少しずつでもご紹介できるのではないかと思ったのがNOTEを始めた動機です。
そして、原材料となる糸をどう作ったら良いTシャツが出来るのかということを知ってもらうことで、Tシャツを着る満足をもっと感じてもらえるんじゃないかと思っています。
ところでタイトルの福神漬けについて、
Tシャツと同じように普段の生活に溶け込んでいるもので、よくよく考えたらどうやって作られているのか知らないなというものが私自身沢山あります。
その一つが福神漬け。
福神漬けを作って欲しいといわれてすぐに作り方を想像できる人はどのくらいいるでしょうか?ひょっとして皆さんご存知ですか?
私にはぜんぜん分かりません。
私自身、若いころにイタリアンレストランの厨房で見習いをしていたこともあり、今でも頻繁に料理をします。
もちろんカレーライスも自分で作りますが、福神漬けはスーパーで買うだけです。
けれど福神漬けにも当然いろんな作り方があって、世の中には想像を超える美味しい福神漬けなんてのもあるんじゃないかと思います。
もしも、たまたま入ったカレー屋さんで食べた福神漬けがめちゃくちゃ美味しかったら、それを目当てに通いはじめる人もいるかも知れませんし、美味しい福神漬けに出会ったことをきっかけに、自分でも家で作ってみよういう人もいるかも知れません。
そこまでの人でなくても、カレー屋さんで「この福神漬けはコレコレこういうレシピで手間隙かけて作っているんですよ」と教えてもらうことで、「あぁ、だからこんなに美味しかったのか」と納得して、またそのお店に食べに来たいなと思うようになるのではないでしょうか。(なりませんか?)
私にとっての福神漬けの作り方と同じように、普段気にしないようなものでも何かのきっかけで作り方や作り手のエピソードなんかを知ってみると意外と面白いのではないかなと思います。
私自身今回の記事を書くにあたって福神漬けを色々とネット検索してみたところ、作り方だけでなく成り立ちや名前の由来などいろいろと面白いエピソードに出会えました。
だからこそ、Tシャツの生地がどう作られていて、その元になる糸がどう作られているかということも知ると面白いんじゃないかなと。
私はめちゃくちゃ美味しい福神漬けどころか普通の福神漬けの作り方さえわからない人間ですが、丈夫で長持ちして着心地抜群のTシャツを作るための素材作りについて、毎日のように研究していてそれなりに知識もあるつもりです。
なので、そこが気になるし興味がありますよ!という人に響けばよいかなという思いで色んなことを書いていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。