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「やりたいことのイメージを工場さんと共有する」というのが難しい。ペルーコットンで作ったベーシックTシャツ。-3-

以前投稿した、

「まずは自分にとっての定番Tシャツを作りたい!」ペルーコットンで作ったベーシックTシャツ。-2-

の続きです。

前回はデザインのお話を書きました。

では生地の方は?といいますと、これもまた紆余曲折ありました。

Tシャツブランドを始めることは決めた。

さて、自分が着たいTシャツの生地とはどんなものか。

これは、それまで4年間生地を作ってきたこともあって具体的にイメージできていました。

欲しいのは厚手の生地、つまりヘヴィオンスといわれるもの。

けれども、よくあるヘヴィオンスTシャツみたいにゴワゴワしたものではなく、肌ざわりは柔らかい方がいい。

色はメランジトーンでいきたい。

ならば、

「トップ染めの超長綿をミドルゲージにかけてしっかり目を詰めて編めばいいはず!」

当社は糸屋さんなので早速これにピッタリな糸を作りました。

糸は抜群にいいものが出来た、

さぁ生地を作るぞ!

ということで、試作の編み立てに立ち会うため岐阜県のニットメーカーさんへ。

試作スタート。

最初に上がってきた生地を手にとってみる、

「薄いです。。。」

「じゃあもう少し目を詰めましょう」

2つ目のサンプルが編みあがる、

「まだ薄いです。」

このやり取りを何度か繰り返したけれど、なかなか理想の生地が出来上がらない。

そうこうするうちにニットメーカーの社長さんから

「こんなに目の詰まった生地だと着心地に問題ないですか?」

と心配の声が上がる。。。

ここでようやく大事なことに気がつきました。

「このニットメーカーさんが普段取り引きしているお客さんは主にミセスアパレルさんだ。。。」

ミセスアパレルの多くは「カットソーは薄くて繊細なものが良い」とする傾向にあります。

そのため、この工場でも目の詰まった厚手のコットン生地を作ることがほとんどなかったのです。

こちらがいくら「編み目を詰めてください!」とお願いしても、長年染み付いた経験にとらわれてどうしても編み目を緩めてしまう。

そもそも、丸編みの生地は編み立てたら整理加工という工程に持ち込み、洗いをかけて仕上げます。

この整理加工で生地は縮み編み目もぐっと詰まったものになります。

「整理加工したら生地は硬くなるから、目を少しゆるめて編んでおかないと、、、」

メーカーさんにはそういう思いもあって編み目を詰ることに抵抗があるようでした。

これは一度お互いの目線あわせをする必要があるなと感じたので、

「僕が欲しいのは10年着続けても型崩れしない丈夫な生地です。

それを作るためには編み目をとことん詰める必要があります。

今までのものづくりとは考え方が違うかもしれません。

けれども、だまされたと思って限界まで編み目を詰めてください。

それでも肌ざわりが損なわれないように糸を作ってあります。」

ということを時間をかけて伝えました。

ひとまず納得していただき試作再開。

ようやく理想に近い生地サンプルが出来上がってきました。

一般的な整理加工では生地を薬品処理して光沢を出したり風合いを柔らかくしたりする場合がけっこうあります。

けれども私たちの生地には薬品処理をしません。

ただ水洗いして乾かすだけで十分肌ざわりがよくなるよう糸を作っているからです。

そのため、編んだ生地をすぐに工場の手洗い場で水洗いして乾かせば、整理加工して仕上げたのと同じ風合いを確認できます。

ようやく上がってきた理想の生地についてニットメーカーさんはまだ懐疑的で、「こんなに詰めて編んだら仕上げたときに硬くならないですか?」とおっしゃる。

論より証拠、百聞は一見にしかず、その場で水洗いして生地を触ってもらいました。

「ありゃ、柔らかいですね。。。これならいいわ。」

「そうなんです、こういう生地を作りたかったんです。」

生地作りのチームが出来上がってきました。

次は縫製についてです。

その4へ続きます

東大阪繊維研究所 オンラインストア
https://hofi.shop/

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