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TALK19<鰻屋の鰻落とし>
先日、新しくできた鰻屋さんに父と母を連れて行きました。
うちの家は父も母も、そしてもう亡くなってしまいましたが祖母も祖父も一家代々、鰻が大好きなのです。
父は江戸っ子な上に食べることが大好きで、僕は小さい頃から蕎麦屋での蕎麦の食べ方や、居酒屋での酒の呑み方などを、父から英才教育(?)として教わってきたという話は、過去のコラムや僕の著書「今日もひとり酒」「新・居酒屋入門」等にも書いてきたので、詳しいファンの方なら知っているかと思います。
そんなわけで、父は鰻も当然大好物で、都内の老舗鰻屋はだいたい行き尽くしているんじゃないでしょうか。
一方母は、あまり外食や派手な食事に興味がなく、家でパンとチーズにオリーブオイルといったシンプルなものを食べるのが好きで、料理もできるだけ自然な素材で1から自分で作り、いわゆる出来合いのものはほとんど食べないという、ナチュラル思考な人です。
なので、母が自分から進んで外食をするということもないのですが、昔から鰻だけはとても好きでよく食べに行ってました。
母に「家族で焼き肉でも食べに行かない?」などと誘っても「私はいいわ・・」などと断られることが多いのですが(家族での焼き肉を断る母親も珍しいですが)、「鰻食べに行かない?」と誘うと「いいわね」と乗ってくれるので、うちでは自然と家族で鰻を食べに行くことが多かったのです。
先日、そんな父と母とランチしようとなり、新しくできた鰻屋さんを僕が予約して伺ったのです。
そのお店はここ数年ちょっと話題のお店で、鰻の値段が高騰しているこの時代に、あえて鰻の食文化を広めるべく、庶民的な価格で鰻料理を提供するという、銀座から始まった新しいチェーンのお店です。
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