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タンスの肥やしになった「ポール・スミスのピンクチノパン」(Day4「今1番変えたいこと」)
いしかわゆきさん著『書く習慣』に書いてある「書く習慣1ヶ月チャレンジ」に挑戦します!今回はDAY4「今1番変えたいこと」について書きます。
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私が今1番変えたいものは「ファッション」である。
この5年くらいだろうか。洋服を本当に買わなくなった。
「洋服を買うくらいなら、本を買いたい」とつい思ってしまう。街に行っても、立ち寄るのは、洋服屋さんではなく本屋さん。洋服を買うのは、ヒートテックや下着類を買うために、ユニクロに行くときくらいだ。
けれどもさすがに、タンスにある洋服が、自分にすこし合わなくなってきた。
いま日常で着ているアウターなんて、15年前に買ったものだ。さすがに当時とは、体型も好みも、変わってきているのである。ユニクロしか普段いかない私も、ちょっとファッションを変えたくなってきたのだ。
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さてファッションの話。
私が洋服や髪型に意識を持ち始めたのは、大学生になってからだった。
高校まで制服でよかったのに、大学に入った途端、毎日私服で通学しないといけない__これは当時の私にとって、大・大・大問題であった。日経新聞の一面や文春砲なんかよりも、よほどの大問題だ。私は、いったい、何を着ればいいのだ。
恥ずかしながら高校時代の私は、ショッピングセンターのダイエーで母親が買ってきてくれた洋服しか、持っていなかった。洋服にとことん無頓着だったのである。5日間、異なるバリエーションを着こなす、センスも洋服も持ち合わせていない。毎日、私服を着る。「おぉ、神よ、なぜこんな仕打ちを……」と、私は天を恨んだ。天もたまったものではない。
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こんな私だから、ファッションについては、失敗談がいくつもある。
ある大学の一日。
私も、すこし色気づいたのか、ワックスで髪型を決めようと思ったことがある。
ただワックスをこれまで使ったこともなかった。父親に聞いたら、「これを使うといい」とワックスらしきものを渡された。おそるおそるそれを髪になじませてみたら、髪がカチコチになった。どうやらポマードだったらしい。ワックスデビューを飾るはずが、ポマードデビューとなってしまった。
どうセットすればいいか分からず、前髪オールバックで登校したら、友達から「それどうしたん!?」とゲラゲラ笑われた。恥ずかしくて昼休みに急いでトイレに駆け込み、鏡の前でカチコチの前髪をとかした。カチコチの髪の束が、おでこの生え際から、突っ立ったカカシのように、ピンっと一直線に散らばっていている。歯の折れたクシのようになった前髪の自分を、恨めしく眺めていたのを、今でも覚えている。
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パーマをかけようと思ったこともある。
「それならあの店がいい!」と、父親に、馴染みの床屋さん?を勧められた。
当時ドラマ「グッドラック」が流行っていた。
「ショートカットのキムタク」に憧れを抱き、一世一代の決心で「キムタクのような感じでお願いします」と伝えると、床屋のおばちゃんが「あぁね、はいはい、わかったわ」と二つ返事をよこす。本当に分かってもらえたのだろうか。
一抹の不安をよそに、UFOみたいな機械が頭をグルグルまわり、サランラップみたいなものを頭に巻かれる。「なんだ、これはっ!」とドキドキした。数時間、サランラップを頭からはがし、髪を乾かしたら、鏡の向こう側に、「ラモス瑠偉」みたいな髪型の私がいた。キムタクになるつもりが、ラモス瑠偉になってしまった。
「あわわ……」と慌てて床屋のおばちゃんの顔を見ると、おばちゃんは「どう、気に入った?」といわんばかりの自信満々の表情。一体どこで二人のコミュニケーションがすれ違ったのか、未だに私は分からない。私は、ブラジル人の子どもようなクルクルした髪を風になびかせながら「明日どんな顔(頭)をして学校に行こうか」と呆然として家路についた。この日以来、髪については、金輪際、父親に相談するのはやめようと決意した。
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ファッションとは難しい。デビューするときは、大抵失敗するものだ。
もう一つ、書いているうちに思い出した。
「ポール・スミスのピンクのチノパン」だ。
おしゃれに自信がなかった私は、当時、地味な色の服ばかりを着ていた。黒・グレー・紺色などだ。明るめの色は、なかなか着る勇気が湧かなかった。
けれども大学2年生の頃だろうか、ちょっと違う色の服を来たくなった。
そこで訪れたのが「ポール・スミス」だ。オシャレな友人が着こなしているのが、なんだかとてもキラキラして見えたのだ。路面店の前までいくと、ショーウィンドウを見ただけでも、あまりのハイセンスぶりに、ちょっと震え上がった。オレンジ、ピンク、水色……私とは正反対に位置する彩り達が、きらびやかに配色されている。
「えぇい、ままよ!!」
江戸時代の侍が討ち入りにはいるくらいの勢いで、店のドアをくぐった。
店内ではショーウィンドウのマネキンと同じくらいハイセンスなおじさんがいた。そのおじさんに勧められて買ったのが「ピンクのチノパン」である。オシャレおじさんさんから「春色で、ファッションのバリエーションが一気に広がりますよ~」とのせられた。その気になった。清水の舞台から飛び降りる気持ちで、ピンクのチノパンを買った。私は、これまでの地味色の世界から、踏み出したのである。
けれども、家に帰って気づいた。どうやら世界を踏み出しすぎてしまった。
何着もの洋服と合わせて履いてみたけれど、どうもなんか似合わない気がする。履いて出かける勇気が湧かない。「お店で着るとき」と「家で着るとき」って、洋服の輝き具合が、まったく違わないか??。あの「お店で試着したときの『おれやってやるぜ!」の勢い」はどこへ行ったのやら、いよいよそのポール・スミスのピンクのチノパンを履いて、外に出かけることはできなかった。ポール・スミスのピンクチノパンは、タンスの肥やしとなってしまった。
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さてかくいう私も、歳をとり、だいぶんそのような照れもなくなった。
明るい色も着てみたいなっと思うようになった。
時折、著者や起業家の方が開くセミナーに参加することもある。そこで出会う方々は、やっぱり華やかで、ファッションでご自身を表現されている感じがして、とても素敵だなと思う。きらびやかな格好はしなくてもいいのだけど、「あっこれ自分らしいな」と感じるような、自分色のあるオシャレは楽しみたいものである。
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さて以前のこと。
仲間のファッションスタイリストの方とお話したとき、「私にはどんな洋服が似合いますか?」と聞いたら「パーソナルカラーは夏!色は、紫陽花のブルーやパープル、ピンク。丸みのある柄やドットや花がら、ペイズリー柄の柄シャツなどにも挑戦してみてね!」とアドバイスをいただいた。
あの前髪カカシでラモス瑠偉になった私も、ついに紫陽花ピンクのペイズリー柄シャツを着るときが、来たのだ。そう考えると、感慨深いものがある。大学時代の私に「チッチッチッ、ピンクはこうやって着こなすんだぜ!!」と、胸をはって、見せに行きたいものだ。(ちなみにまだ柄シャツは買っていない)
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