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【考察用 エルデンリング史書】隻眼の少女メリナ
狭間の地において一つの真理がある。
それは「正義」など一切無いという判然とした事実だ。
褪せ人たちよ、お前たちはこの地において様々な迫害、差別、そして狂気を目の当たりにするだろう。
だが、それは個人の信念に則った行動の結果であり、お前たちもその複雑な内情とやらに踊らされ、殺し合いを続ける者の一人なのだと自覚せよ。
だからこそこうも言える……先々で出会う者の言説に決して振り回されるなと。
例えこちらに襲い掛かって来たとしても、その者は己の信念に従ってお前を殺そうとしているだけで、真の敵ではないのだ。
曇った眼を通してこの世界を見るな、それは最初に出会う人物で思い知らされることになる。
――『白面のヴァレー』。
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彼の風貌は白と灰色を基調とした衣服を全身に着用し、顔も微かに微笑んだ白面を付けているため、素顔はどのようになっているか窺い知ることができない。
そして会話の内容や、衣服に付着している血飛沫と思わしき斑点から、「怪しげな男」という印象が強く残ると思われる。
…おお、貴方は…褪せ人ですね
そして、エルデンリングを求め、この狭間の地にやってきた
分かりますよ、そうでしょうとも
ですが、悲しいかな。貴方は「巫女無し」です
導きも知らず、ルーンの力を得ることもできず、円卓に招かれることもない
…ただ、名も無く死んでゆくでしょう
…ただ、たとえ貴方が「巫女無し」でも、ひとつだけ希望があります
この私、ヴァレーに出会えたことです
祝福を、ご存じですか?貴方たち褪せ人に休息を与える、黄金の灯を
その灯から光の筋が生じ、ある方向を示すことがあります
それこそが、祝福の導き。褪せ人が、進むべき道なのです
…ええ、そうですとも。導きが教えてくれるのです
褪せ人が、どこに向かうべきなのか
…あるいはどこで、死ぬべきなのか
…きっと、導きは指し示すと思いますよ
あの断崖の城、ストームヴィルを
あれは、老醜のデミゴッド、接ぎ木のゴドリックの居城ですから
…向かってください、貴方
導きの指し示す先、あの断崖の城、ストームヴィルに
たとえ巫女無しでも、エルデンリングを求めるのならば
ヴァレーは「ストームヴィル城を目指せ」と褪せ人に助言するが、今の段階で城に向かえば袋叩きに遭うだろう。
それに気が付くのは、ストームヴィル城の手前にある『関門前の廃墟』で屈強な騎士や兵士たちが守りを固めており、また門を通れば巨大なトロルが姿を現すからだ。
おそらく褪せ人たちは途方に暮れるだろうが、この関門前にある祝福で休息すると転機が訪れる。
――謎の少女『メリナ』との出会いである。
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彼女は実体を持たず霊体として現れ、被っていたフードを取ると左目が閉じられており、その上眼瞼には刺青のような紋様が描かれている。
そして髪の色は赤く美しい顔立ちをしており、この地に住む者には珍しく、理路整然とした話し方で落ち着いた女性という印象が強い。
はじめまして
霧の彼方から来た人よ
私はメリナ
…貴方と、取引がしたいの
…貴方は、指の巫女様を知っている?
二本指に仕え、褪せ人を助け、導く存在…
けれど今、貴方には巫女様がいない
…私は、その代わりができる
私は、ルーンを貴方の力にすることができる
エルデンリングを求めるのなら、きっとそれは、貴方の役に立つ
…だから、私を連れていってほしい
あの黄金樹の麓に
「取引する」と答える
…取引成立、ですね
では、ルーンを力にするときは、祝福で私を呼び出してほしい
…ああ、それと
この指輪も渡しておく
『霊馬の指笛』を手渡される
遠い距離を駆けるときは、それを使ってみるといい
トレントという名の、駿馬の霊を呼ぶことができる
…トレントは自ら貴方を選んだ
大切に、してあげてほしい
「断る」と答える
…分かった。信じられないのも無理はないから
でもきっと、貴方には取引が必要になる
そのときは、祝福で私を呼び出してほしい
……こうしてメリナは褪せ人の巫女となった。
普段は姿を見せないため勘違いしている者も多いだろうが、彼女は「ルーンを力にするときは、祝福で私を呼び出してほしい」と話しているため、常に褪せ人と寄り添って狭間の地を旅していると思って良いだろう。
そして『霊馬トレント』も呼び出せるようになり、この大地を駆ける貴重な足が手に入ったのだ。
<参考資料>