
【保存版】プロの料理人が教える!刺身包丁(柳刃包丁)の選び方とおすすめランキング10選
プロの料理人にとって、刺身包丁は単なる道具ではなく、料理の質を左右する相棒です。美しい刺身を引くためには、包丁の素材や造り、扱いやすさにこだわる必要があります。
本記事では、プロの刺身包丁の選び方とともに、厳選したおすすめの刺身包丁10選をランキング形式でご紹介します。
堺の伝統ブランド(堺孝行、堺一文字光秀、堺菊守など)を中心に、實光刃物といったハイエンドモデルまで取り上げます。
それぞれの包丁について特徴や性能を解説し、切れ味・刃持ち・耐食性・研ぎやすさ・美しさの5項目を100点満点で評価。
さらにプロ料理人の視点からの主観的なレビューも添えています。刺身包丁選びの参考にしてみてください。
プロの刺身包丁の選び方
刺身包丁の種類と特徴
刺身包丁とは、主に刺身を作るための細長い包丁の総称です。代表的なものに柳刃包丁(柳刃)があります。
柳刃は細長く鋭い片刃が特徴で、一方向に引くようにして魚の身をスッと引き切ることができます。この形状により、柔らかい刺身の身を繊維を潰さずに一発で美しい断面に切り出すことが可能です。
また地域や用途によって、先端が丸みを帯びた先丸(切付)柳刃、先端が角張った蛸引包丁、フグの薄造り用のフグ引包丁などのバリエーションもあります。それぞれ形は異なりますが、長く薄い刃で刺身を引く機能に特化している点は共通しています。
プロ用の刺身包丁は基本的に片刃(片側だけに刃が付いた刃物)であることが多いです。片刃包丁は研ぎで鋭利な刃先を作りやすく、刺身の断面を美しく仕上げるのに適しています。
ただし左利きの場合は左利き用の特注が必要になるため注意しましょう(後述の両刃タイプも参考にしてください)。刃渡りは一般的に270mm~330mm程度の長めのものが使われます。
一度の引き切りで刺身を切り離せる長さがあると、表面に刃の跡が残らず綺麗に仕上がるためです。初心者や小ぶりな魚用には240mm程度を選ぶこともありますが、プロの現場では300mm前後の柳刃が主流です。
素材ごとの違い
刺身包丁の性能を大きく左右するのが鋼材(刃の素材)です。それぞれの鋼材には長所短所があり、料理スタイルやメンテナンス方針に合わせて選ぶことが重要です。
炭素鋼(カーボン鋼):
いわゆる「和包丁鋼」と呼ばれる鋼で、切れ味の鋭さではトップクラスです。炭素含有量が高く不純物が少ないため非常に鋭い刃先が付けられ、刺身をスッと切る感触は格別です。特に日立金属の白紙鋼・青紙鋼(俗に「白鋼」「青鋼」と呼ばれる鋼種)は和包丁で多用されます。白紙1号・2号は炭素鋼の中でも純度が高く研ぎやすい鋼で、青紙1号・2号は白紙にタングステンなどを加えて刃持ち(耐摩耗性)を向上させた鋼です。例えば青紙2号は切れ味と持続性のバランスが取れておりプロに人気です。一方で錆びやすい(耐食性が低い)のが最大の注意点です。炭素鋼の包丁は水気や塩分に触れたまま放置するとすぐに錆が出ますので、使うごとに洗浄と水分の拭き取りを徹底しなければなりません。手間はかかりますが、「切れ味重視なら鋼(炭素鋼)」というのが定説であり、プロの現場でも錆を押さえてでも炭素鋼を愛用する料理人は少なくありません。
銀紙3号(銀三鋼・銀紙三号):
ステンレス鋼の一種で、「銀紙鋼」とも呼ばれます。日立金属が開発したステンレス刃物鋼で、炭素鋼に匹敵する硬度と切れ味を持ちながら錆びにくいのが特長です。プロの和食職人でも銀三鋼を使う人は多く、「錆にくいのに手造りなので切れ味抜群!」と評価されています。実際、堺の老舗でもステンレス系でプロ向きといえば真っ先に銀三鋼が挙げられるほどで、實光刃物でも「ステンレスなら銀三がおすすめ」とされています。切れ味は炭素鋼(白紙鋼)に僅かに劣るとも言われますが、繊細な刺身包丁として十分な鋭さがあります。錆びにくい分お手入れは楽になりますが、まったく錆びないわけではないので使用後の汚れ落としと乾燥は怠らないようにしましょう。
VG10(V金10号):
岐阜県の武生特殊鋼が開発した高級ステンレス鋼で、近年多くの包丁メーカーが採用しています。炭素約1%、クロム15%にモリブデン・コバルトを含む合金で、硬度は炭素鋼並みに高く耐摩耗性(刃の持ち)にも優れています。ステンレス鋼の中では非常に鋭い刃が付くため、和包丁の世界では主に家庭向け包丁や牛刀などで人気ですが、プロ仕様の刺身包丁にもVG10を用いたものがあります。切れ味の鋭さと錆びにくさを両立した素材ですが、高硬度ゆえ研ぎにはやや技術を要し、砥石の減りも早い傾向があります。しかし総合的には「プロも愛用するほどの素晴らしい切れ味」を誇る鋼材であり、ダマスカス仕上げ(後述)との組み合わせで見た目の美しさも兼ね備えた製品が多いです。
粉末ハイス鋼(パウダーハイス鋼):
刃物鋼の中でも最先端と言える素材です。通常の鋼より微細な粒子を焼結して作る粉末冶金による特殊鋼で、金属組織が均一かつ高濃度の合金元素を含むため、従来の鋼材では両立が難しかった要素を高次元で実現しています。具体的には「高硬度による鋭い切れ味」「高い耐摩耗性による長切れ」「ステンレス並みの防錆性(不錆鋼)」という3点が揃った最高級の包丁鋼と言われます。代表的な粉末ハイス鋼に、R2/SG2(スーパーゴールド2号)やHAP40などがあり、近年は堺の職人にも積極的に取り入れられています。非常に硬く作られているため研ぎ直しの難易度は上がりますが、その刃持ちの良さは青紙以上で、忙しい現場でも長時間切れ味が落ちにくいメリットがあります。錆にも強いため、刺身包丁として理想的な素材の一つですが、価格が高価になりがちな点と、炭素鋼に比べて研ぎに時間がかかる点は考慮が必要です。
包丁の仕上げ(鏡面仕上げ、霞仕上げなど)
刺身包丁は見た目の仕上げ加工にもいくつか種類があります。仕上げの違いは美観だけでなく、食材の切り離れやお手入れのしやすさにも影響します。
鏡面仕上げ:
刃身の表面を磨き上げ、鏡のようにピカピカに反射するまで仕上げたものです。本霞(ほんがすみ)仕上げなどと比べてもさらに研磨工程に手間をかけた高級仕上げで、職人の熟練が必要です。メリットとして、表面が滑らかなため切った刺身の身離れが良く、錆も発生しにくい(汚れが付きにくい)という実用面があります。また何より見た目の美しさが抜群で、料理人にとって所有欲を満たしてくれる仕上がりです。堺の實光刃物でも「鏡面仕上げのデザインが綺麗」だとされるシリーズがあり、特に本焼包丁では鏡面に仕上げられた製品が数多く存在します。
霞仕上げ: 合せ包丁(
刃の部分が鋼、側面が軟鉄の複合構造の包丁)に見られる仕上げです。鋼部分と地金(軟鉄)部分を研ぎ分けることで、刃先付近が地金よりも光沢のある状態になり、霞がかったようなコントラストが生まれます。和包丁らしい上品な外観で、多くの刺身包丁がこの霞仕上げになっています。高度なものになると本霞(霞研ぎの高度なもの)と呼ばれ、研ぎの技術で美しい地肌模様を出している製品もあります。鏡面ほどピカピカではありませんが、その分食材が貼り付きにくい利点もあり、職人の中には霞仕上げのほうが実戦向きと考える人もいます。
ダマスカス仕上げ:
材料や製法による分類ですが、見た目の仕上げとしても語られます。異なる鋼材を何層にも重ねて鍛接し、独特の紋様(もんよう)を浮かび上がらせた包丁で、近年人気があります。例えば「33層ダマスカス」などと表記され、ステンレスの地金にVG10鋼を挟んだものなどが有名です。波紋のような独特の模様は非常に美しく、料理人がお客様の前で刺身を引く際にも映えるでしょう。性能面では模様自体は飾りですが、複合材ゆえに包丁が反りにくく強度が増すという利点もあります。ただしダマスカスは酸化によって模様が消えたりサビが入ったりすることもあるため、お手入れの際は中性洗剤で優しく洗い水分を拭き取る程度に留め、研磨剤入りのたわしなどは使わないように注意します。
ハンドル素材の違い
刺身包丁のハンドル(柄)も様々な種類があります。和包丁の柄は一般的に水に強い木材で作られ、付け根に角材(口輪)がはめ込まれています。素材や形状によって握り心地や見た目が変わります。
朴の木(ほおのき)柄:
最も一般的な和包丁の柄材です。朴の木は軽量で適度に柔らかく、水濡れや乾燥にも比較的強い特徴があります。安価で大量生産される和包丁には朴柄が付いていることが多く、扱いやすい反面、高級感や耐久性では他素材に劣ります。ただ朴柄は滑りにくく手になじみやすいため、毎日使う仕事包丁としては理にかなった選択肢です。
紫檀・黒檀などの硬木柄:
高級包丁には紫檀(したん)や黒檀(こくたん)といった硬い木材を使った柄が用いられます。非常に頑丈で磨けば美しい木目と光沢があり、高級感があります。重量が出るため包丁の重心が手元寄りになりコントロールしやすくなる利点もあります。特に黒檀八角柄+水牛角口輪の組み合わせは高級和包丁の定番で、鏡面仕上げの本焼包丁などによく付けられています。硬木柄は値段が上がりますが、耐久性が高く長年使ってもガタつきにくい点でもプロ向きです。
合成樹脂柄:
最近では衛生面を重視し、柄を丸ごと樹脂で作った包丁もあります。和包丁らしい風合いは損なわれますが、水につけ置きしても傷みにくく、食洗機対応のものもあります。プロの現場ではあまり主流ではありませんが、例えば柄尻まで一体成型された積層強化木柄(合成樹脂含浸させた木材)などは、見た目は木の風合いを持ちながら耐水性を高めています。さらにデザイン性を出したアクリルや樹脂製のカスタム柄も一部のハイエンド包丁で採用されており、實光刃物のターコイズ風八角柄のように個性的な色合いで高級感を演出している例もあります。
和包丁の柄の形状は主に八角形と丸形があります。八角柄は握った時に指に引っ掛かりがあり、滑りにくく方向感覚も掴みやすい利点があります。
一方、丸柄(または栗型柄)は手に馴染む形で、好みで選ばれます。重心や太さも各製品で異なるため、可能であれば実際に手に取ってみてフィットするものを選ぶとよいでしょう。
メンテナンスとお手入れのポイント
プロの刺身包丁を長持ちさせ、常にベストな切れ味を保つには、日々のメンテナンスが欠かせません。以下にお手入れの基本ポイントをまとめます。
使用後はすぐに洗って水気を拭き取る:
刺身包丁は使ったらすぐに中性洗剤ともぬるま湯で汚れを落とし、清潔な布巾で水滴を完全に拭き取ります。特に炭素鋼の包丁は濡れたまま放置すると数分で錆が浮くこともあります。刺身の酢〆や塩などが付着した状態も厳禁です。鏡面仕上げの包丁ほど指紋や水跡が目立つため、丁寧に拭き上げましょう。必要に応じて食用油を薄く塗っておくと錆止め効果があります。
専用の鞘やケースに保管する:
刺身包丁は刃が長く薄いので、保管時に刃こぼれしないよう木製のサヤ(鞘)に収めておくのがおすすめです。木製サヤは適度に湿度を調節し、刃を衝撃から守ってくれます。また刃先を何かにぶつけて欠けるのを防ぐ意味でも、使用後は必ずサヤに納めて収納しましょう。サヤがない場合は布巻きや刃先ガードを付け、引き出しの中で他の器具と直接触れないようにします。
定期的に研ぐ:
プロの現場では切れ味が落ちたまま使い続けることはありません。刺身包丁の場合、切れ味の鈍りは刺身の仕上がりに直結します。白紙や青紙鋼の和包丁なら、小まめに砥石で研ぎ直すことで常に鋭い刃先を維持できます。特に柳刃は刃先が薄いため、軽く研ぐだけでも切れ味が戻りやすいです。ステンレス系(銀三やVG10、粉末鋼)の場合も、プロであれば砥石で研げば元の切れ味が甦ります。ただし粉末ハイス鋼は非常に硬いため研ぐのに時間をかかります。砥石も仕上げ砥石(#3000~#8000程度)まで使い、鏡面や霞の仕上げを損なわないよう丁寧に研ぎ上げましょう。【※本焼や高級包丁の場合、研ぎに自信がなければ専門の研ぎ師に任せるのも一手です。】
本焼包丁の扱いに注意:
本焼(ほんやき)包丁とは、軟鉄との複合ではなく鋼材のみで鍛造・焼入れされた包丁で、極めて鋭い切れ味を誇りますがその分繊細です。特に刺身包丁の本焼は硬度が高く薄いため、硬い骨や冷凍ものを切ると刃こぼれや欠けの原因になります。本焼柳刃は刺身や薄造り専用と割り切り、他の用途には使わないようにしましょう。また、落としたりぶつけたりもしないよう十分注意が必要です。扱いは難しいですが、「料理人のあこがれ」と言われる至高の切れ味を味わえるのが本焼包丁です。
以上の点を守れば、高級な刺身包丁も何十年と愛用できます。特にプロの現場では毎日使う包丁ですから、道具を育てるくらいの気持ちで手入れをし、常に最高のコンディションを保ちましょう。「包丁が切れると料理の腕が上がる」とも言われます。研ぎ澄まされた刺身包丁で、最高の一皿を提供してください。
おすすめの刺身包丁ランキング(10選)
それでは、プロの料理人向けに厳選した刺身包丁をランキング形式で紹介します。今回は価格が3万円以上の高品質モデルを中心に、主に堺の名門ブランドからピックアップしました。また、上位には美しい鏡面仕上げの包丁を配置し、プロに人気の炭素鋼(白紙鋼・青紙鋼)のモデルを多めに選出しています。さらに錆に強い銀紙3号(銀三鋼)やVG10ステンレス鋼、先進的な粉末ハイス鋼を用いたモデルもバランスよく織り交ぜ、計10本を選びました。それぞれ特徴が異なりますので、自分のスタイルに合った一本を見つけてください。
※記載の点数は切れ味・刃持ち・耐食性・研ぎやすさ・美しさの5項目について、筆者の主観に基づき100点満点で評価したものです。
1. 堺孝行 青紙2号 本焼鏡面 柳刃包丁 300mm(黒檀柄)
特徴・性能
老舗ブランド堺孝行による最高級の柳刃包丁です。刃材には鋭い切れ味と粘り強さで定評のある青紙2号鋼を使用し、伝統工法で一本鍛造された本焼(ホンヤキ)包丁になります。高温で焼入れされた単一鋼素材の刃は非常に硬く、研ぎ上げればまるでカミソリのような究極の切れ味を実現します。表面は職人技によって鏡面仕上げが施され、映り込むほどピカピカに磨き上げられています。見惚れるほど美しいその姿は「日本刀にも匹敵する最高級の包丁」と称されるほどです。柄には高級木材の黒檀八角柄を採用し、水牛角の口輪をあしらった風格ある造り。刀身と柄のバランスも良く、長尺(300mm)の刀身ながら安定した握り心地です。青紙2号の本焼は切れ味と刃持ちが極めて高い次元で両立しており、プロの現場でも長時間シャープな切れ味が持続します。「合わせ包丁の最高峰」とも言われる逸品で、まさにプロ垂涎の一本でしょう。
切れ味:100点
刃持ち:95点
耐食性:20点
研ぎやすさ:70点
美しさ:100点
料理人コメント:
「刃先が吸い付くように魚の身に入り、一刀でスッと引けます。刺身の断面が光るようで、まさに別格の切れ味。研ぎあげられた鏡面の美しさも相まって、手にすると身が引き締まる思いです。」
2. 堺一文字光秀 白紙1号 本焼鏡面 柳刃包丁 300mm
特徴・性能
堺一文字光秀は難波・道具屋筋に店を構える名店で、プロ仕様の包丁を数多く手掛けています。本焼柳刃のこちらのモデルは、最高純度の白紙1号鋼を鍛え上げた贅沢な一品。白紙1号は炭素鋼の中でも炭素含有量が非常に高く、不純物が極めて少ないため研ぎ上げた際の切れ味の鋭さはまさに絶品です。青紙系に比べ若干錆びやすく刃持ちは劣るものの、その切れ味の際立ち方は「包丁の最高峰」と称されるほどで、刺身包丁において究極を求める職人から熱い支持を得ています。刀身は両面とも鏡面鏡映に磨かれており、白銀に輝く様は工芸品のような美しさです。鏡面は刃文(はもん)もくっきり映し出し、白紙鋼特有の美しい刃文を鑑賞できるのも魅力。堺一文字光秀の熟練職人が一本一本丹念に焼入れを行っており、「料理人の憧れの本焼包丁」という言葉に違わぬ最高級品となっています。切れ味重視で刺身を極めたいプロにとって、まさに理想の相棒と言えるでしょう。
切れ味:100点
刃持ち:90点
耐食性:15点
研ぎやすさ:80点
美しさ:100点
料理人コメント:
「吸い付くような白紙一号の刃先は、僅かな力で身を断ち切り、繊維の一本一本まで艶やかに仕上げます。錆には気を遣いますが、それでも使いたいと心から思える切れ味。まさに一本握れば手放せない、職人冥利に尽きる包丁です。」
3. 堺實光 白紙2号 本霞(霞研) 柳刃包丁 270mm
特徴・性能
堺の實光刃物(じっこう)は明治33年創業の老舗で、プロ向け包丁の品揃えに定評があります。その實光が料理人に「迷ったらこれ!」と太鼓判を押すのが白紙2号の霞研柳刃包丁です。白紙2号鋼を使った合わせ包丁で、刃先は鋼、側面は軟鉄により構成されています。絶妙な焼入れと刃付けにより、白紙2号ならではのキレ味としなやかさが引き出されており、プロの現場でも扱いやすいと評判です。切れ味は白紙1号に次ぐ鋭さを持ちつつ、比較的研ぎやすく、刃が欠けにくいバランスの良い鋼材です。刀身表面は上品な霞仕上げが施され、鋼と地金のコントラストが美しく浮かび上がっています。見た目の渋さと実用性を兼ね備えた職人好みのデザインと言えるでしょう。270mmの刃渡りは取り回しがしやすく、小ぶりな魚から大きな魚の柵引きまで幅広く対応可能。實光刃物が最も料理人におすすめする一本というだけあり、そのオールマイティな性能は折り紙付きです。初めての一本にも、サブの現場用にも、自信を持って選べる柳刃包丁です。
切れ味:95点
刃持ち:85点
耐食性:20点
研ぎやすさ:90点
美しさ:85点
料理人コメント:
「白二鋼の安定感は抜群で、毎日のように研いで使っていますが期待を裏切りません。スッと引けば軽く身が切れ、扱いやすいので忙しい板場でも頼りになります。迷ったらコレ、と言われる理由に納得の万能選手です。」
4. 堺菊守 青紙1号 本霞 柳刃包丁 300mm
特徴・性能
堺菊守(さかいきくもり)は昭和元年創業の川村刃物製作所が展開するブランドで、プロ向けの高級包丁を手掛けています。こちらは青紙1号鋼を使用した霞仕上げの柳刃包丁。青紙1号は青紙鋼の中でも最高級の鋼材で、炭素量が多くタングステンなどの添加により白紙鋼を上回る高い硬度と耐摩耗性を実現しています。白紙系に比べて研ぎは難しい反面、一度刃を付ければ長切れしやすく、プロが求める「切れ味の持続」に優れた素材です。刃渡り300mmの長尺柳刃は、大きな柵からでも一気に引き切れるため、美しい刺身を作るのに最適。霞研ぎの地肌も丁寧で、見るからに職人技を感じる仕上がりです。青紙1号の鋼は粘りも強く、繊細な刃先ながら多少荒っぽい扱いにも耐える懐の深さがあります。堺菊守の包丁は「長切れする伝統の切れ味」が特徴で、この柳刃も例に漏れず切れ味と刃持ちのバランスが素晴らしいです。刺身の枚数が多い現場や、切れ味が長く続いて欲しい宴会仕事などで頼れる一本となるでしょう。
切れ味:90点
刃持ち:90点
耐食性:20点
研ぎやすさ:65点
美しさ:80点
料理人コメント:
「青一鋼の包丁は初めて使いましたが、その切れ味が長続きすることに驚きました。夕方まで刺身を引き続けても切れ味が鈍らず、研ぎ直しの手間が減って助かります。やや研ぎは難しいですが、一度研ぎ上げれば鬼に金棒。大トロの筋もスッと断ち切れる頼もしさです。」
5. 堺孝行 VG10ダマスカス 柳刃包丁 270mm
特徴・性能
プロ向け和包丁にも定評のある堺孝行ブランドから、ステンレス系で人気のVG10鋼を用いたダマスカス柳刃です。芯材にVG10(V金10号)を据え、側材にステンレスを幾重にも重ねた多層鋼ダマスカス構造になっています。VG10は最上位クラスのステンレス鋼で、適切な熱処理により炭素鋼に迫る硬度(HRC60前後)と鋭い切れ味を発揮し、さらに耐摩耗性にも優れる鋼材です。その芯材を包むように幾層ものステンレスを鍛接することで、表面に美しいダマスカス模様が浮かび上がっています。一本として同じ模様がない幻想的な紋様は所有欲を満たしてくれるでしょう。ステンレス材主体のため錆びに強くお手入れが比較的容易なのもプロには嬉しいポイントです。切れ味は和包丁伝統の鋼に迫る鋭さで、実際「プロも愛用するほどの素晴らしい切れ味」を誇ります。270mmの長さは小回りが利き、刺身包丁初心者や和包丁の研ぎに不慣れな方にも扱いやすいサイズです。和の風情と機能性を兼ね備えた一本で、忙しい現場でも気兼ねなく使える頼れる相棒となるでしょう。
切れ味:90点
刃持ち:80点
耐食性:90点
研ぎやすさ:70点
美しさ:85点
料理人コメント:
「ステンレスとは思えない切れ味で、しかも錆をあまり気にしなくて良いので実用的です。ダマスカス模様が美しく、お客様の前で作業していても様になりますね。研ぎ減りしても模様が出るので、使い込む楽しみもあります。和包丁入門としても安心して使える一本です。」
6. 堺一文字光秀 銀三鋼 柳刃包丁 270mm
特徴・性能
堺一文字光秀から、錆に強い**銀紙三号鋼(銀三鋼)**を使った柳刃包丁です。銀三鋼はステンレス系の高級鋼材で、和包丁の世界では「ステンレスなら銀三」と言われるほど定番の素材です。この包丁でも銀三鋼を本刃材に用いることで、炭素鋼に匹敵する鋭い切れ味とステンレスの扱いやすさを両立させています。銀三は職人の手鍛造との相性も良く、堺一文字光秀のような熟練工による刃付けで切れ味は抜群に仕上がっています。錆びにくいので、水仕事が多い現場や刺身以外にも多少湿気のある食材を切る場面でも安心感があります。刀身は霞研磨でしっとりと仕上げられ、銀三鋼の地金が淡く光る上品な外観です。刃渡り270mmはどんな厨房でも扱いやすく、柳刃2本目以降のセカンド包丁としても重宝するサイズです。錆びにくいのに切れ味抜群という銀三鋼のメリットを最大限に活かした一本で、メンテナンス重視のプロにとって心強い相棒となるでしょう。和包丁の切れ味を保ちつつ日常使いしやすい良品です。
切れ味:88点
刃持ち:80点
耐食性:85点
研ぎやすさ:80点
美しさ:75点
料理人コメント:
「炭素鋼の切れ味も捨てがたいですが、銀三はお手入れが楽で現場向きですね。忙しい時にうっかり濡れたままでも錆びにくいのでヒヤヒヤしません。それでいて切れ味は手打ちの堺包丁らしく鋭い。刺身包丁は使いたいけど錆が怖い…という方にはまさに理想の一本だと思います。」
7. 堺孝行 R2/SG2 粉末ハイス鋼 ダマスカス柳刃 300mm
特徴・性能
こちらは堺孝行の新世代モデルで、今注目の粉末ハイス鋼を使用した柳刃包丁です。芯材に採用されたのは高度な粉末冶金技術で作られたR2鋼(SG2鋼)。非常に微細な粒子組織を持ち、通常の鋼では得られない高硬度(HRC63前後)と高い耐摩耗性を備えています。そのため切れ味の持続性が抜群で、長時間の刺身引きでも刃先の鋭さが衰えにくいのが最大の特長です。さらにステンレス系の合金なので錆にも強く、「切れ味・長切れ・錆びにくさ」を高次元で実現した包丁となっています。刀身は多層鋼で挟み込んだダマスカス仕上げになっており、粉末鋼の芯を守りつつ美しい模様を表現。シャープな地模様と相まって先進的なルックスが目を引きます。300mmのロングサイズでもR2鋼は粘り強さも兼ね備えており、しなやかにしなる感覚があります。研ぎ下ろす際は硬さゆえに時間を要しますが、その刃は一度付けば驚くほど長持ちします。プロの現場でも「まるでずっと刃が持続する」と評判の粉末鋼包丁。最先端素材の力を実感できる一品で、最新の技術に興味がある料理人にぜひ試していただきたい逸品です。
切れ味:92点
刃持ち:95点
耐食性:95点
研ぎやすさ:60点
美しさ:90点
料理人コメント:
「最初に研いで刃を付けた時、その硬さに驚きましたが、一度鋭くしてしまえば本当に刃が長持ちします。朝仕込んだ切れ味が夜まで落ちない感覚で、研ぎ直しの回数が減りました。錆もほとんど気にしなくていいので、扱いがかなり楽ですね。最新素材の頼もしさを痛感しています。」
8. 堺實光 SRS13 粉末ハイス鋼 柳刃包丁 300mm(ターコイズ風八角柄)
特徴・性能
實光刃物が誇るハイエンドモデルの一つで、粉末ハイス鋼SRS13を採用した柳刃包丁です。SRS13は高性能な粉末冶金鋼で、SG2系統の鋼材に匹敵する特性を持ちます。高硬度かつステンレスのため、鋭い切れ味が長く持続し錆にも強いという理想的な刃物鋼です。この包丁ではそのSRS13を本焼同様に単一鋼材で鍛造しており、極めて密度の高い刃が実現されています。切れ味・刃持ちは當店(實光)製品中でもトップクラスで、その性能ゆえに価格も10万円を超える超高級モデルとなっています。外観にもこだわりが光り、柄にはターコイズ風の合成素材を用いた八角柄を装着。青緑色の柄は和包丁には珍しく、一目で特別な一本と分かる存在感です。鏡面に近い丁寧な研磨仕上げも相まって、高級感と個性を併せ持つデザインに仕上がっています。性能面では、SRS13のポテンシャルにより大量の刺身を引いても刃先の劣化が極めて少なく、まさに鬼に金棒。錆びの心配もほぼ無用なので、忙しい板場でもストレスフリーで使えます。プロ中のプロに届けたい、最高峰の技術が詰まった一本です。
切れ味:95点
刃持ち:100点
耐食性:90点
研ぎやすさ:60点
美しさ:90点
料理人コメント:
「一日中刺身を引いて検証しましたが、刃先の持ちが桁違いです。夕方になっても朝一番のキレが続いているようで、正直驚きました。研ぐ頻度が減る分、他の仕事に集中できて助かります。柄の華やかさも相まって、使うたびに気分が上がる逸品です。」
9. 堺實光 青紙2号ダマスカス 両刃刺身包丁 270mm
特徴・性能
通常、刺身包丁といえば片刃の柳刃ですが、こちらは珍しい両刃の刺身包丁です。實光刃物が手掛けるオリジナルモデルで、洋包丁の筋引包丁に近い感覚で使えるよう設計されています。芯材には切れ味鋭い青紙2号鋼を使用し、側面をステンレス多層鋼で挟んだダマスカス仕様。ダマスカス模様が全面に施されており、見た目にもクールでカッコいいデザインです。両刃であるため左右対称に刃が付いており、左利きの方でもそのまま使用可能というメリットがあります。片刃の柳刃と比べると刃厚がやや厚めですが、その分しっかりとした安定感があり、刺身だけでなくローストビーフのスライスなど幅広い用途に使える汎用性も魅力です。青紙2号鋼の切れ味とダマスカスの美観を両立しつつ、洋包丁感覚の取り回しやすさを備えたユニークな一本と言えるでしょう。左利きの料理人や、片刃の扱いに自信がない方でも刺身包丁の切れ味を体感できるモデルとして人気です。
切れ味:90点
刃持ち:85点
耐食性:80点
研ぎやすさ:75点
美しさ:88点
料理人コメント:
「柳刃の片刃に慣れていない若手に持たせていますが、両刃なので戸惑うことなく刺身が引けています。切れ味はさすが青二鋼で申し分なく、左利きのスタッフとも共用できるので重宝しています。ダマスカス模様が厨房映えするので、モチベーションも上がるようです。」
10. 堺菊守 極上 白紙2号 柳刃包丁 270mm
特徴・性能
最後は堺菊守の職人技が光る極上白紙2号の柳刃包丁です。堺菊守は高級ブランドながら、実用面も考慮した包丁作りに定評があり、この白紙2号柳刃は同社のエントリー向け高級モデルと言える位置付けです。鋼材には信頼の白紙2号を使用し、刃先の鋭さと研ぎやすさのバランスが優秀。一本一本丁寧に本刃付け(刃の最終仕上げ研ぎ)が施されており、購入後すぐに現場投入できる切れ味になっています。極上仕上げと銘打たれている通り、地金の研磨や刃先の裏スキも美しく処理されており、中級者以上の目にも十分耐えうるクオリティです。長さ270mmは小柄な料理人や狭い厨房でも扱いやすく、細かな作業や薄造りにも向いています。白二鋼ゆえ錆びには注意が必要ですが、その点を踏まえてもプロに人気の鋼材であり、「迷ったら白二」と薦められるほど扱いやすい鋼です。堺菊守の確かな造りによる安心感があり、毎日の相棒として長く使える一本。研ぎながら自分色に育て上げていく楽しみも味わえる、プロ志向の柳刃包丁です。
切れ味:93点
刃持ち:80点
耐食性:20点
研ぎやすさ:90点
美しさ:80点
料理人コメント:
「白二鋼は研ぎやすく、ちょっとした刃こぼれも自分で直せるので安心です。この包丁も何度か研いでいますが、自分の手になじんでいく感じがありますね。最初から切れ味も良く、270mmは扱いやすいので、新人にもおすすめできる一本です。堺菊守の品質の良さを毎日実感しています。」
以上、プロの料理人におすすめできる刺身包丁10選をご紹介しました。刺身包丁は一度手にするとその切れ味や仕上がりに感動するものばかりですが、高級な一本ほど日々の手入れや研ぎが肝心です。ぜひお気に入りの一本を見つけ、大切に育てながら末永く愛用してください。研ぎ澄まされた包丁で引いた刺身は、きっと料理人自身の技術と相まって最高の一皿となることでしょう。プロの道具を味方につけて、さらに腕を磨いていってください。