12年目の隠し事
「もう3時だよ?こんな時間まで何してるの」
眠りについた後、毎晩必ずトイレに目覚める私だが
台所の薄明かりの下でパソコンに向かう夫に気づいて声をかけた。
「いや、ちょっと仕事が忙しくて。」
私に気づいた途端、パソコンを閉じる夫。
「ふーん、人に言えない仕事でもしてるわけ」
私は口をとがらせながら心の中でそう言い放って
布団をガバッと頭のてっぺんまでかけて眠りについた。
5年前、突然そんな日々が始まったのだ。
それまでは、私たちはだいたい同じ時間に布団に入ってたし
仕事していてもパソコンを隠すようなことも無かったのに。
時にはスマホの画面を伏せることもあり
そのたびに私は
「そんなにやましいことがあるの?笑」と
からかうように言った。
夫はあまり表情豊かではないので
いつもと変わらず無。凪。涼しげ。
でも、こんなのおかしい。
いや、怪しいな。
結婚して12年もたったから?
まさか?
まさかよね?
「う わ き」
3文字の言葉がふと頭をよぎりながらも
詮索されるのが大嫌いな夫の性格を知っていたから
それ以上 首を突っ込むことはしなかった。
いや本当は
何か追求して
知りたくない事実を知ることになるのが
怖かっただけかもしれない。
まさかうちの夫に限って。
友達に相談してみようか
いや、でもそんな相談できるわけない。
変に噂になっても困るし
ほとぼりが覚めるまで放っとく?
そう思い悩んだ日の夜も、またコソコソ。
あーもう。
聞きたい。
でも聞きたくない。
私は 台所から聞こえるマウスのカチカチ音をBGMにしながら
スマホを片手に
「夫 隠し事」
「夫婦 倦怠期」
そんな言葉ばかり打ち込むようになっていた。
そしてある日
私は夫の行動の変化に気づいてしまった。
決して良い変化とは言えない。
むしろ、私にとっては最悪な変化だった。
それは、夫からのLINEだ。
恋人や夫婦間で
LINEの返信内容が突然変わったり
急に態度が優しくなり始めたら
その時は「それ」を疑った方がいいって
誰かに聞いた事があった。
ん??何このスタンプ。
こんな可愛いスタンプ使ったことあったっけ、、、?
夫はもともとめんどくさがりで
LINEで人と繋がりが増えるのは煩わしいからと
ガラケーからスマホに変えるまでも
何年も年数をあけた人だった。
そんな夫だから
LINEも基本は短文。
スタンプや絵文字もおおざっぱで
無料で使えるスタンプを
ポンと押すぐらいのやりとりしかしないのに
そんな夫が
急に可愛いスタンプを使い始めたのだ。
私が
「今日帰りにケチャップ買ってきてね」
とLINEしたら
それまでは 了解の「りょ」しか
返さなかった夫が
ハートが散りばめられた
可愛い猫のスタンプを使って返信してきた。
いやいやあなた。
確か子どもの頃から
私と同じ犬派だったよね?
犬スタンプならまだしも
夫が送ってきたのは
まんまる猫の可愛い〜スタンプだったのだ。
こんなの急に使うなんておかしくない?
不信感を持ちながらも
ここは慎重に
急にことを荒立てずに様子を見ようと
何も触れずにやり過ごした。
女の人って
こういう時 変な勘が働いたりする。
そして、賢い女性はこんな時
あえて何も言わない。
私ももう、昔の依存たっぷりの自分には戻りたくなかったから
賢い女の人がする態度を貫いて過ごした。
神様お願いです。
もし夫が本当に良からぬことをしているなら
賢い私に免じて
ことが大きくなる前に
元どおりの生活に戻してください。
私はそれまで耐えます。
良き妻を努めます。
そう願いながら過ごしていた。
でも、そんな願いも虚しく。
それから1ヶ月くらいした頃
また私は追い詰められた。
やっぱりおかしいよ。
夫とのLINEのやりとりと言っても
今日は何時に帰る?とか
帰りに買い物を頼むとか
そのぐらいだけど
夫からのLINEは
まるで浮かれているように見えた。
気持ちが浮ついているのか。
いつもより帰りが遅い夫に向かって
「今日も遅くなりそう?」と送ったら
こんな意味不明な返信が来たのだ。
「意味わかんない、帰り遅くなるって聞いてるんだけど!」
は??これもなに?
夫らしくない。
なぜこれをチョイスしたのか全く分からないスタンプ。
なんかこう、女の子らしいというか、可愛いというか・・・。
誰と使うためにこんなスタンプ取り寄せたわけ?
そう思いながら詳細画面にとんだ時に
私の中で
疑いが確信に変わり
こめかみにギュッとチカラが入った。
そして
怒りと同時に悲しみがこみあげてきた。
だって。
「ILoveYou」の文字があるスタンプをわざわざ買うなんて
私が確信したその浮気相手に使うためでしょう?と。
だって、私には送ってきたことなかったじゃん。
相合傘のやつもさ。なんなの?
ひどいよ。
私にはいつも素っ気ないやりとりしかしないくせに
その誰かとは
こんな可愛いスタンプでやりとりしてたんだ。
ひどすぎるよ…。
その日、私は覚悟を決めた。
今日、夫を試してみよう。
もし、かまをかけても
何も動じない態度をするようなら
その時はもう、問い詰めるんだ。
もういい。
マジで信じられん。
ずーっと何事もなくここまで来たから
信頼しすぎてしまってた私が悪かったんだ。
うちだけは。
うちの夫婦だけは
こんな事態起こるはずないと思ってたのに。。。
***
その夜、子どもが寝静まってから
私はついに夫に聞いた。
ひとこと目は さりげなく。
「ねぇ、最近LINEのスタンプ可愛いの使ってるね」
「え? あー、可愛くはないけど。」
「最近急に違うのばっかり使ってない?」
「そう?そんなつもりは無いけど」
うわ。いつもどおりの涼しげな顔してる。
これは黒。もう黒だ。
しかも、罪悪感も何も無いような顔してる。
もういいよ私。
もう爆発しちゃいなよ、私。
我慢の限界だった私は
LINEの画面を開いて
ガタガタ震える手で
夫に向かってスマホを叩きつけるように差し出しながら
びっくりするぐらい大きな声を出してしまった。
「LINEスタンプなんかわざわざダウンロードする人じゃなかったじゃん!!
なんの為にこんな可愛いスタンプ使ってるのよ!!
このスタンプで喜ぶ相手がいるんでしょ!!」
私のあまりの怒号に
ちょっとおののいた夫。
私が言い切った後、ほんの一瞬の間があった。
張り詰めた空気のなか
私はもう夫の顔を見るのも嫌になって
うつむきながら
一瞬のすきにいろいろ考えた。
そう言えば私の知り合いは彼氏の浮気が分かってそれでも大好きだからって許してたよな、そういえば友達は旦那さんの浮気で慰謝料もらって離婚してたよな、私ならどうする?謝られたらどうする?すぐに許せる?いや許せるわけない私は怒る絶対怒るまずは怒るだけ怒ってその後に問い詰める意地でも許さないマジ腹立つ許さん許さん絶対許さんさぁこいもう覚悟はできたからこれまで悩んだ分責める準備はできたよさぁどうぞ。
私は決心した後に
顔を上げて夫の口元を見た。
そしたらついに、夫が口を開いた。
「いや、あれな。実は、、、」
「俺が自分で作ったスタンプなんよ」
………はい?
「お前が言ってるのこれやろ?俺が自分で作ったスタンプ😎✨」
そう言って夫は
自分のスマホを取り出し私に見せてきた。
「いや〜、作るのは楽しかったけどさ
申請出してからOKでるまで時間かかったで」
種類考えるのは大変やった
えっと。。。
ねぇ。。。じゃあさ
植木鉢のスタンプももしかして。。。
「あーこれな。そうよ。第二弾☺️」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
※ここから先は、LINEスタンプ画像でお話を締めていきたいと思います😆✨
画質粗めですがごめんなさい。
***
無いわ〜マジ無いわ〜
あなたがこんなスタンプ作ってる間に
私は全米の人口分以上の涙流したわ!
もうね、この世の終わりだったよ
コソコソしてるの見つけた時
ショックでさ
心の花も しおれたよ
それは悪かった。ごめんな。
何してるか聞いた時
なんでひとこと言ってくれなかったのよ!
LINEスタンプ作ってるってさえ言ってくれたら
何も心配しなくてすんだのに
「いや、説明するのめんどくさかっただけ」
そりゃないでしょ〜!!!!💢
お前がそんな勘違いしてるとは思わなかったんよ💦
ごめんってば。
なんやねん そのふざけた謝り方は!
じゃあ仕方ない、逃げるわ
まぁまぁ、機嫌直して
水あげるからさ
まぁ、、勝手に勘違いしてた私も私だね。
そうそう、勝手な妄想で俺を疑うなんて
お主もそうとう
あ?なんだと??
なんだとぉおお
あっもう電池切れだからそろそろ終わりにしていい?
じゃあ最後のお願い
***
長々とすみませんでした😆🍀
これは、夫が5年前に作ったLINEスタンプのご紹介記事ですが
実際は いつの間にかこっそり出来上がっていたスタンプにびっくりして
ちょっと夫のセンスに驚いた話を
普通に紹介するんじゃつまらないから
フィクションでストーリーにしてみました🙂
でも実際に
はるか昔の私は妄想力がずば抜けていたので
こういう展開の可能性もなくはないなと
書きながら思いました(笑)
2種類とも
なかなか癒される可愛いスタンプだと思います☺️
良かったら使ってください☺️🍀
最後までお付き合いいただきありがとうございました😊✨
私の書く記事は多分、伝わる人が限られています。いじめ、機能不全家族、HSP、病気などの記事多めなので。それでも深くせまく伝えたくて書いています。サポートとても嬉しいです。感謝します。コメントも嬉しいです🍀