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雨の日は傘を二個持て
出会いがほしい場合は自らが動かなければいけない。
待っていても向こうからやってくることは絶対にない。
そう、白馬の王子様はやって来ないのだ。
しかしいくら「いい男」を待っている女性だとしても、いざ実際に自分の目の前に「白馬の王子様」が現れたら、「お主はなぜ馬に」と思うか「馬糞がくせえ」という感想くらいしか抱かないだろう。
もちろんこれは比喩なので、現代社会版の場合は、アパレル会社の社長がプライベートジェットで現れ、君はもう友達じゃないけど友達よりも大事な人を横に乗せる。
ランチパックとヤクルトを常時摂取していて心身ともに美しい女性ならば、待っていてもバスキアを脇に抱えた一部上場企業の社長が現れて、宇宙に連れて行ってくれるけど、普通の人はそういかない。
自らPJ(プラベートジェット)に乗り込むくらい気持ちが必要になる。
まさにハイジャック。
同時多発的なヤツはもうこりごりなので、着地の方法はしっかり学ぼう。
もしも着地や操縦も苦手な人は、「乗り込む」よりも「届ける」くらいの気持ちで挑んだ方が良いかもしれない。
例えば、大事な人に「傘を届ける」くらいの気持ちが調度良いと思う。
もしも雨の日に、大事な人が忘れた傘を届けに出かければ、多分バス停で猫型のバスにも会えるし、道に迷った時には電線の上を走り、七国山病院にまで連れて行ってくれるはず。
そして自分が傘を忘れた時は、素敵な男子から「んっ!んっ!」と少し照れてた様子で傘を押し付けて渡され、今度は逆に自分が受け取る側になれる。
このように「誰かに届ける精神」を忘れなければ、たぶんいつかは「夢だけど夢じゃなかった」と言えるような素敵な出会いが自ずと訪れると思う。
ちなみに、幼い娘がお母さんの元にただ野菜を届ける為に多くの人を巻き込混んだのち、無事にハッピーエンドを迎えるこの有名な映画のキャッチコピーは「忘れ物を届きに来ました」である。
届けようじゃないか。
「王子を待つよりも傘を届けろ」と、この映画が教えてくれた。
傘を届けたことにより、物語が始まり、猫バスの代わりに白馬やPJが迎えにきてくれる日が来るかもしれない。
雨の日は傘を2個持って出かけよう。