2月が終わって3月になったので、次は4月になる
二月が終わった。
つまり三月になったのだ。
時間は常に進んでいるので、明けない夜はないし止まない雨もない。
あと全米は泣かない。
2月が終わり、3月になった時に、たぶん多くの人はこう思うのではないだろうか。
「2月はあっという間だった」
確かに2月は28日間しかないので、他の月よりもすぐに終わる感じはする。
でも月の日数が二、三日少ないくらいで、本当に一ヶ月が終わるのが早く感じたりするのだろうか。
もしそうだとしたら、3月は2月よりも3日間も多いので、こう思うのではないか。
「3月は長いな」
思わない気がする。
「今年も1年があっという間だったね」という言葉が、年末になると超インフレ化しているこの国で、一つの月が二、三日多いくらいで「長いな」とか思ったりする訳がない。
「今年も1年あっという間」という文言は、だいぶ多くの人が気に入っているらしくて、後方の馬群を常に10馬身以上は離す先行逃げ切りタイプにもなると、年が明けたばかりの1月初めの時点で、すでにこんな発言をしたりもする。
「今年も1年なんてあっという間なんだろうなぁ」
先見性が強すぎる。
そんなこと言ったら、たぶん来年もあっという間に終わるし、再来年もあっという間だ。
そして10年なんてあっという間に過ぎるし、20年、30年もあっという間にすぎて、すぐに老人になるに決まっている。
そんな風にして老人になった方には、ぜひインタビューをしてみよう。
「どうですか。ここまで来るのはあっという間でしたか?」と尋ねてみるのが良いと思う。
きっとこう答えてくれるだろう。
「そうですね。あっという間と言えばあっという間だった気もするけど、長かったような気もしますね」
急に歯切れが悪くなる。
インタビューをした側からしても「ふ〜ん」という感想くらいしか出てこない。
友達と2人で飲みに行って、その友達が恋人のことを永遠と愚痴った挙句、最後には「でも、あいつにも良いとこはあるんだけどね」と締められた時くらいの「ふ〜ん」が出てくる。
そして、恋人を愚痴っていた彼は将来はその恋人とめでたく結婚をして、更に子供を授かることになるだろう。
どんなに愚痴っても最後には「でもアイツにも良いとこがあるんだけどね」という、ユニークでウイットに富んだ締め方をする素敵な夫婦なので、愛情いっぱいの家庭で育てられた子供はきっとスクスクと成長するはずだ。
そしてその成長した子供を見て、この素敵な夫婦はきっとこう言う。
「子供の成長って早いね」
「全力で走ると疲れるね」みたいな感じに言う。
「雨に当たると体が濡れるね」ともだいぶ通ずる部分がある。
つまり、1年はあっという間だし、子供はすぐ成長するけど、老人になってから振り返ってみると、「早かった気もするし、長かった気もする」ということだ。
つまりは、そういうことなのだ。
ご飯を食べないとお腹がすくね。
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