多発性骨軟骨腫症という病気について 〜病気の説明 編〜
これは、過去の自分に対する投稿なのかもしれない。
書きながらそう思えてきました(苦笑)
【きっかけ】
僕(父親)は突発性の多発性骨軟骨腫症という持病を持っています。
この病気は遺伝性での発生率の方が高い病気です。
そのため、3人の子供(中1、小5、小1。全て男児)に遺伝し、同じ持病を持っています。
最近、長男に「僕の病気って、結局どんな病気なの」的な質問を受けることが増えてきたので、中学生に分かりやすいようにまとめるかと思い、久しぶりにまともに検索するなかで、当事者の方々や親御さんの同じような声を多々拝見したので、個人的にまとめたのをついでにネットに載せておこうかなと思ったのがきっかけの一つです。
また、子供が成長するにつれ、保育園の先生や学校の先生や学童の先生、その他にも本人に関わる人が増えていく中で、毎回3人の子供の病気の説明をするのがめんどくさいので、アクセスしたらわかるページを作っておくと便利かなと思ったこともきっかけの一つです。
このページ見といてください的な(笑)
後、人間いつ死ぬかわからないので。
突然、事故等で死んじゃうこともあるわけで。
そういう場合に備えて、情報を残しておく必要があるなとも。
この3つがこの投稿を書くことにした、大きなきっかけです。
本題に入る前にちょっとだけ僕の説明を。
ちなみに僕は医者でも医療関係者でもありません。
その辺をふまえた上でごらんください。
【ちょっとだけ僕のこと】
はじまりは、3歳児検診の時だったと思います。
両肩甲骨にいくつも骨が出っ張ってるのが分かったのが初症状。
その後、様々な病院に行きましたが、痛みがなければほっといても大丈夫だから痛みがなければ来なくていいと言われ、痛みはないけど肘が曲がらないなと思い受診したら、なんでこんなになるまでほっといたんだと医者に怒られ、痛みがなければ来なくていいと言われたから受診しなかったし、気づいてすぐ受診したんだけどなと思ったり。
自治体とか広域の医療相談に相談しに行った時は、行政の検診の時に紹介された病院に受診してたら、医療相談の担当医になんでその病院に行ってるんだ、そこは脳外科系だから何考えてるの?とか言われ怒られたり、他にもいろいろありました。
その後、ある個人病院から大学病院に紹介され、中1(13歳)の時にある小児整形のお医者さんに出会い、それから20年以上同じお医者さんに診てもらっていました。その方は定年で退職されてしましましたが、長いこといろいろとお世話になりました。
ほんと、いいなと思うお医者さんに出会うのには苦労すると思います。
この病気自体が、小児期の成長に伴い病変が変化すること、それに伴い長いこと経過観察を続けなくてはいけないこと、また、幼児の時に見つかる事が多いことから、親御さんの年齢も若かったり、子育てに慣れてない時期ということもあり、親御さんとしても大変心配になるだろうなと思います。
病気に対する情報もネットで検索できるようになりましたが、少ない方ですし、疾患してからのその後がどうなるのか、特に自分が経験していない方は、イメージもつけにくいかなと思います。
僕が小学生から中学生の頃は、ネットもまだなかったので、情報も本当になく、大学病院の購買や図書館で、整形外科の医学書を立ち読みして、それでも少ない情報を手に入れていました。
購買のおばちゃんとかにしたら、松葉杖ついた小学生が医療書を立ち読みしてる光景が不思議に思ったらしく、よく声をかけられて、説明すると理解を示してくれて、好きなだけよんできやと言っていただいたり。
高校生の頃にはネット初期。パソコンを買い、一番最初に検索したのが病名でした。いまだに覚えていますが、当時のヒット件数は0。
その後、時折検索していくと少しづつですが、病気に対する情報や、当事者の方が書かれている病状など、ヒット数が増えていきました。
今は大きな病院でしたら、自分の病気を調べれる部署などがあるところも出てきていますが、当時はなかったので。
今なら自分の受診している病院にそういう機能の部署があればそこで調べるのも一つの手ですね。
今回、その当時参考にしていたサイトは多くがもうなくなっていたりしていたため、新たに検索してネットに転がってる情報をまとめてみました。
調べる中で、難病だとか、難病持ちのとか記載されている方が多かったですが、僕自身は小児慢性特定疾患に認められるより前から付き合っているからなのか、難病とかという認識はないんですよね。
まずは、難病と小児慢性特定疾患の情報
【小児慢性特定疾病情報センター】
多発性軟骨性外骨腫症 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
上の3つについては、文字をクリックでリンク先にとびます。
難病についてはこちら
難病情報センター
公益財団法人難病医学研究財団
難病情報センターはを運営している公益財団法人
治験情報なども載っています。
厚生労働科学研究成果データベース
厚生労働科学研究費補助金等で実施した研究の成果をデータベース化しインターネット上で閲覧、検索を行えるようにしたものです。
次に病気の説明に関するサイト
【多発性骨軟骨腫症の説明】
まずは、みなさまご存知、Wikipedia。
Wikipedia - 骨軟骨腫 -
GeneReviews 日本語版サイト
遺伝性疾患の症状や診断,遺伝学的検査(遺伝子検査など),
遺伝カウンセリングなどについて,専門家による解説が参照できる
医療スタッフ向けの遺伝性疾患情報サイト。
GENEReviews Japan -サイトの趣旨とご利用上の注意点について-
まずは、こちらを読んでから。
GeneReviews 日本語版サイトの『遺伝性多発性骨軟骨腫』ページ
メディカルノート | 骨軟骨腫について
厚生労働省難治性疾患克服研究(研究奨励分野)
整形外科疾患分野|遺伝性多発性外骨腫症(平成22年度)
整形外科疾患|遺伝性多発性外骨腫(平成24年度)
【ICD-10・ICD-11における分類】
【国際疾病分類(ICD)とは】
・ 世界保健機関 (WHO) が作成する国際的に統一した基準で定められた死因及び疾病の分類。
・ 死因や疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や、医療機関における診療記録の管理などに活用されています。
・ 正式名称は、疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)。
ICD-10 第17章:先天奇形、変形および染色体異常(Q78.6 多発性先天性外骨(腫)症)
ICD-11 による疾患分類 20:発達異常(H00122 多発性外骨腫症)
病名については
・多発性骨軟骨腫
・遺伝性多発性骨軟骨腫(HMO:Hereditary Multiple Osteochondromas)
・多発性外骨腫
・遺伝性多発性外骨腫症(HME:Hereditary Multiple Exostoses)
・多発性遺伝性外骨腫症(MHE:Multiple Hereditary Exostoses)
・多発性軟骨性外骨腫
基本的に多発性骨軟骨腫か多発性外骨腫。
それに先天性とか遺伝性とか家族性とかつく感じ。
キーワードとしては
病名以外には
・染色体異常
・先天異常疾患
・常染色体優性遺伝←クリックすると説明サイトにとびます。
・遺伝性がん(悪性腫瘍に変化する可能性があるため)
・遺伝カウンセリング
とかになるのかな。
診療科としては
・整形外科
・小児整形
・腫瘍(骨腫瘍)
・股関節系の整形
・呼吸器外科(肋骨にできた場合)
・遺伝系の科、産婦人科の科(遺伝の方の問題で)
・小児科
が多い気がします。
泌尿器科なんてのも見つけたけど、稀だろうなと思う。
歴史?
【海外】
・多発性軟骨性外骨腫は1821年に初めて報告され、
1925年に遺伝性を確認された。
・遺伝性多発性外骨腫は1814年に初めて報告され、
1825年にさらに詳細に報告
【日本】
・多発性軟骨性外骨腫として大正15年の報告
というのがネットで調べて一番古い報告。
日本の場合、
旧優生保護法の初文(1948年・昭和23年7月13日)から多発性軟骨性外骨腫の名前で対象疾患として名前が上がっている。遺伝性疾患として。
なので、それ以前には遺伝性疾患として認識はされていた病気なんでしょうね。
旧優生保護法はこちらから。←Wikipediaのページにとびます。
旧優生保護法(1948年)成立当初の条文はこちらから
頻度
・グアムの小規模集団 100人中1人
・欧米集団におけるおよそ10万人中1人
・アメリカワシントン州における頻度は少なくとも5万人中1人
・白人では5万人に1人
などまちまち。
日本での詳細は不明。
発病・遺伝
・良性骨腫瘍としては骨軟骨腫は一番多い。
・単発性が約70%、多発性が約30%の割合で発生
・多発性は10%が新生突然変異による発症
・多発性は90%が常染色体優性遺伝
・多発性の患者の子供には50%の確率で遺伝する
・遺伝性多発性骨軟骨腫患者の40%が「低身長(shortened stature)」
病状
・良性骨腫瘍である外骨腫(骨軟骨腫)が普通の骨に沢山できる。
・出来た外骨腫(骨軟骨腫)により物理的な圧迫障害や成長障害がおこる。
・外骨腫(骨軟骨腫)を元とした2次的障害がおこる。
・2次的障害としては、骨の変形、変形性関節症、側弯症、低身長、
腕・足の長さが左右違ってきたり、関節の可動域制限、
腫瘍が末梢神経 を圧迫し、手足のしびれや麻痺症状をおこす、
早期の骨粗鬆症など。
・好発部位は大腿骨および下腿骨。
・上腕骨、前腕骨、肩甲骨、骨盤、肋骨、指骨、趾骨に多い。
・関節としては膝関節が最も多い。
・多くの例は、病気を有しているが症状がない。
・腫瘍ができるときは痛みはない。
・症状をあらわすものの多くは突起状(高く突き出ている)、
隆起状(高くもりあがっている)の骨の圧迫症状。
・腱付近に腫瘍ができると運動する度に腱が腫瘍で刺激され痛みがでる
・まれに血管が圧迫されて血流障害をきたすこともある。
悪性化
・軟骨肉腫がほとんど。
・骨肉腫や線維肉腫の報告もある。
・頻度は2~20%と報告ごとにまちまち。
・一般的には5%程度と考えられている。
治療方法
・基本的には経過観察。
・痛みや骨の変形、運動機能障害等の支障が出た場合は、
手術的治療が唯一の治療法。
簡単にまとめるとざっとこんなところでしょうか。
個人的に感じること・思うこと
・医学的には良性骨腫瘍の中で一番多い点、受診は大学病院のような大きな病院を定期受診されている患者さんが多い点などから、患者側が大きな病院に集まりやすいため、患者側が接するお医者さんにとっては珍しくない病気という感じなのではないかな。
・社会生活的には、僕は30年以上この病気と付き合っていますが、実際に同じ病気の人に、普段の社会生活の中でお会いしたことは一度もないですし、医療関係者以外の方でこの病気のことを知っている方にも会ったことがありません。
・人により腫瘍のできる箇所やできる量、でき方、手術の仕方なども違いがあるため、1人1人が結構ちがう状態になりやすいのかなと。
・軽度と重度の差も激しいのではと思います。気づかないぐらいの人もいるのではないかなと。
・家族性の遺伝なので、家族の中で同じ病気の方がいる場合は、病気の状態がイメージしやすいけど、突発性の方は周りに病気の状態が分かる方がいないと思いますし、情報という点でも少ないので、不安になることが多いのかなと思います。
・うちの場合は、父親(僕)が突発性で、子供3人が遺伝性です。
僕の発病した時は、それこそネットもなかったので、本当に情報がありませんでした。でも、遺伝性の子供達については、僕が20年以上お付き合いしている病院で、2歳ぐらいから、自分の担当医に診てもらう所から始まっています。
また、僕(親)もレントゲンや本人の身体の状態を見るとある程度、その後どうなりそうかとか、どういう手術を受けそうかとか、同じような手術であれば、どんなことが辛いかとか、痛みにどう対応するかなどを自分の経験からイメージでき状態が悪くなる前に対応できるので、僕(親)に比べるとはるかに、身体の状態もよいです。(変形とか関節の機能障害も少ない)
逆に、今まで経験していない相方さん(奥さん)は僕が大したことないとか、どうってこともないと思うようなことも心配したり、驚くことが多いです。でも、それが普通だと思います。僕にとっては子供達の病気は同じ病気なので2回目の経験ですが、相方さんは初めての経験なのですから。わからなくて当然。
私が学校の先生等に説明した際の書類はこちらから。
とりあえず、こんなとこでしょうか。
この他に
多発性骨軟骨腫症という病気について 〜病院 編〜
と
多発性骨軟骨腫症という病気について 〜当事者ブログ・HP 編〜
を
別でUPしてあります。