やがて春になる
冬に舞う雪は
降り頻る花のようで
あなたのようだと思いました
雪が降るといつも
翌日は少し気温が上がり
雲の向こうは あったかい春なのかな、なんて
考えます
ついこの間
私の住むところにも この冬初めての雪が降り
翌日は少しだけ暖かく
ほんのりと
春を感じました
やっぱり あなたみたいです
まだまだ寒い時期に生まれたあなたは
なんだか冬の印象があるけれど
春のような
印象もあるのです
あたたかくて
朗らかで
でも
まだ融けきっていない雪があったりして
春が立ち
そして雨で水づく時
あなたはこの世に生を受けました
そう考えると
必然なのかもしれません
あなたからは
冬が内包する 春を感じる
包み込むような、
そうしてみると
大気のようでも ある気がします
大気にとって私はなんでしょう
流星未満、でしょうか
星屑にも満たない
あなたにとっては気づくことすらない 小さな存在
そんな小さな存在でも
周りは真っ暗で
何も見えなくて
あとは堕ちるだけなのかも
そう思っていたら
あなたに出会って
小さな、花あかりにも満たない光を纏って
あなたの中に あなたの受容に
落ちていく
甘色に落ちる
そうして
落ちることは 悪いことではないと
知ったのです
でもやっぱり確かに落ちていて
相変わらず
周りを強く強く照らすほどの光には
到底なれなくて
それなのに
堕ちているのではなく
実はまだ誰も見たことのない世界を飛翔しているのかも
そういう気分にしてくれるのが あなたです
さっきまで落ちていると言ったのに
今度は飛んでいると言うなんて
なんだか
おかしいですね
でも
私が飛びたいと思ったように
あなただって
落ちたくなる時があるでしょう
ずっと飛ぶのは疲れてしまうから
たまには落ちたって
私は変わらず あなたが大好きです
もしかしたら
私があなたを大気のようだと思うのは
あなたが誰よりも高く跳んでいて
高い高いところにいるからなのかもしれません
心は宇宙を飛んでいても
相変わらず私は 地球の片隅にいて
そんな私から見えるあなたは
やっぱり高いところにいるのです
あなたは飛んでいる姿がよく似合う
だから一緒に跳べると 飛びたいと
思えるのだと思います
同時に
大気は私が今、いる
この場所にも あります
とてもとても近くに 隣に います
遠くて遠くて とても遠いけど
すごく近くて
ないと 死んでしまう
私にとってのあなたが
とても好きです
あなたに似合う空の時間は いつだろうと
考えたことがあります
あなたが共有してくれた記憶の
斜陽と夜陰の混ざりあったような
それでいて
宵と暁の狭間にも見える
そんな色を
初めて見た時
もしかしたら、こういう人かもしれない
そう思いました
移り変わる様も 様までが 美しいと確信する
この先
あなたがどんなに色を変えようと
きっと私は
あなたのことが ずっと 大好きです
あなたの写真集にも
そんな
今まさに移りゆく空を背負った あなたがいました
あれは夕時でしょうか
燃えるような夕日とは よく言ったものですが
夕日にとどまらず
全てを焼き尽くすような 炎の中に身を置いた
そんなあなたもいましたね
あなたが希望となった日
雪を融かそうと
人々を優しく包もうと
必死にあたためた燠火は
いつの日か
みなを照らす火影となり
やがて
何にも負けることのない火炎となったことを
記憶しています
あなたが燃え上がる様を
遠くから見つめて
近くに感じて
一年が経ちました
お誕生日 おめでとうございます
来年の 今日も
再来年の 今日も
いつまででも
やがて春になる日
その日もまた お祝いさせてください
春を抱えたあなたが
私は大好きです
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