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【ゲームレビュー】蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環【2Dアクション】

XBOX Series Xコントローラーを使用。今作、過去作、外伝作品共にクリア済み。

※本稿はPC(Steam)版『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環 - Azure Striker Gunvolt 3』のプレイを基に執筆しています。


ゲーム概要

◆ ドラマチックに物語が展開する『ライブノベル』システムを取り入れたハイスピード2Dアクション『蒼き雷霆ガンヴォルト Azure Striker Gunvolt』シリーズ第3弾。
新たな主人公『きりん』と、さらなる力を手に入れた『ガンヴォルト』を操作して、数多のステージを縦横無尽に駆け巡ろう。


まず、物語としては『爪(2)』の続編だが、前作から数十年の時が流れているため、過去作を知らなくとも物語を楽しむ上で支障はない。詳しくはネタバレになるので伏せるが、ある意味で、部分的に独立した物語になっている。

新たな主人公、戦巫女『きりん』。

ただし、主人公『ガンヴォルト』や物語の一部背景をしっかりと考察したりして楽しみたいのならば、過去作のプレイも推奨する。

物語で一つ気になった点は後付け設定と少々無理のある新規設定が登場するぐらいだろうか。作品を重ねていると、どうしてもそういった物語面での粗が出てしまう。

ちなみに物語を盛り上げてくれる『ライブノベル』システムは、オプションからオフにできる。アクションに集中したいプレイヤーは試してみよう。

アクションやゲームシステムは、お馴染みのステージクリア型のアクションプラットフォーマーになっている。シリーズの特徴であるクードス(スコア)周りやプレイ中に音楽が流れて盛り上げてくれる『ソングオブディーヴァ』等のシステムは健在だ

クードスが『1000』を超えると『ソング・オブ・ディーヴァ』が発動して、ヴォーカル付きの曲が流れだす。

もちろん、演出面では敵味方が必殺技を使用した際のカッコいいカットインも出てくる。

盛り上げてくれる必殺技の演出。

アクション面での変化と追加で、最も良かった点は新たな主人公である『きりん』のそれだ。

新たな主人公『きりん』

◆ 今作でメインで操作する事となるのはタイトル名でもある『ガンヴォルト』ではなく、新しい主人公『きりん』だ。

彼女は錫杖型の仕込み刀を使用した近接攻撃と、敵に防御力低下のデバフを付与する『護符』を使用した遠距離攻撃が基本的なアクションになっている。
ボスを撃破する事で上段への攻撃や高速落下攻撃といったような、使用可能な基本アクションは増えていき、戦闘面での自由度も増していく。

きりんの基本的なアクションは近接攻撃。爽快感のある“斬りぐあい”は開発元のお家芸ともいえる。

だが、『きりん』の使用できるアクションの真骨頂は『雷霆煉鎖(ライテイレンサ)』という高速移動と攻撃能力を兼ね備えた技にある。今作のキモとなるシステムだ。

『ライテイレンサ』は、敵に『護符』をヒットさせる事で、その敵のいる位置に『瞬間移動+攻撃』ができる技だ

護符を敵に当てる事で、その敵の元まで瞬時に移動しつつ攻撃もできる『ライテイレンサ』を発動できる。

慣れは必要だが、この能力を利用する事で、敵に『護符』を当て『ライテイレンサ』を瞬時に発動し、これを繰り返してステージ内の敵を撃破しながら高速に、爽快に移動できる

複数の敵に護符を当てて、まとめて切り刻む事も可能だ。演出的にも気持ちのいいアクションになっている。

余談だが、外伝作品『白き鋼鉄のX』シリーズに登場する技『ブリッツダッシュ』とは差別化がしっかりと図られている点も良かった。
『ブリッツダッシュ』は『ダッシュ』を当ててから『強力な遠距離攻撃』が発動でき、今作とは静と動のタイミング、必要なアクションが真逆になっている。

また、『ブリッツダッシュ』よりも『ライテイレンサ』発動時の移動の方が早いが、敵がいなくても発動できたり、壁や地面を利用した移動が行える『ブリッツダッシュ』独自の利点もある。

蒼き雷霆『ガンヴォルト』

◆ 『きりん』が敵を撃破したり、攻撃を行っていく事で溜まっていく特殊なゲージが100%を超えた状態で、一時的に『ガンヴォルト』に操作キャラを変更する事ができる

彼のアクションは過去作と同様に、『きりん』の近接攻撃の代わりに、敵を銃で撃ち、ロックオンした敵を自動追尾する遠距離攻撃で仕留める事が基本になっている。

ロックオン後に発動可能な自動追尾攻撃。過去作のそれよりもさらに強力になっている。

使用する為に条件こそあるが、『ガンヴォルト』は今作での所謂『救済措置』として機能しており、無限にジャンプができたり、素の攻撃力が異常に高い等、彼自身の性能は恐ろしく高い。終いには『ライテイレンサ』の“まねごと”まで行える。

『きりん』にできる事は大抵僕にもできるというトンデモ発言の後に発動できる『ライテイレンサ』もどき。ある意味では本家よりも強力になっている。

この『ガンヴォルト』にプレイヤーキャラクターを変更する機能中は、操作性自体が『きりん』に近い事から『救済措置』ではあるものの、多用していてもプレイヤースキルの向上にしっかりと貢献しているという点が過去作よりも良く出来ていて好印象だった。

ボス戦で敵を圧倒するだけではなく、落ち着いて敵の動きを観察する事にも役立つ。

また、ゲージの残量に関わらず、『きりん』のHPが0になると一定確率で『ガンヴォルト』が強力な『覚醒』状態で操作できるようになる。こちらは完全な壊れ性能になっているので、必見だ。

ステージ構成とボス戦

◆ 『きりん』の『ライテイレンサ』の使用を念頭に置かれて作られたステージの構成は流石の製作元と言わざるをえない
何らかのアクションを行うために必要となる場所に、必ずザコ敵やギミックが配置されており、まさに職人技になっている

ロックオンする事で『ライテイレンサ』を発動可能なギミック。

難しい足場移動や『ライテイレンサ』を組み合わせた移動が必要な場面では、『ガンヴォルト』の無限ジャンプを使用する事によって、簡単に攻略ができるようになっている。上手い救済措置だ

『ガンヴォルト』は無限にジャンプ/ダッシュを行う事ができるので、プラットフォーマー系作品になれていない方は、難しい地形では積極的に使っていこう。

今作のボス戦もまた『ライテイレンサ』を前提とした、特定のタイミングで使用する事によってのみ、避ける事のできる攻撃が追加されている。くどい様だが、難しいと感じたならば『ガンヴォルト』に任せればいいので、上手いバランス調整になっている。

最悪の場合でも『ガンヴォルト』を使えば、適当に操作をしているだけでも、ゴリ押しできてしまう。

また、特定条件を達成する事によって『ハード』や『ベリーハード』モードもアンロックされるので、腕に自信のある方はプレイして見ると良いだろう。『ノーマル』とはまた違った面白さがある。

イマージュパルス

◆ 今作で新しく追加されたシステムに『イマージュパルス』というモノがある。『イマージュパルス』自体は、ステージ内に隠された『イマージュジップ』というアイテムを入手する事で、ステージクリア時にランダムに手に入れる事ができる。

『イマージュパルス』は『ガンヴォルト』の過去の記憶から作られており、過去の人物の能力を再現した力になっている。

『イマージュパルス』にはスキル型とパッシブ型があり、使用後にクールダウンタイムが発生する形になっているが、スキル型は別作品で言うところの特殊武器の様な扱いになっている。パッシブ型は文字通りに常時発動型になるので、説明は割愛する。

クールダウンタイムはあるが、頻繁に使う事ができるので、積極的に使用すると良いだろう。

このスキル型の仕様自体は面白いのだが、ランダム入手になっているために、プレイヤー毎に感じる“プレイフィール”が変化するという、デメリットも同時に発生している点が残念ではある

--------------------【良い点】--------------------


+ 『ライテイレンサ』を利用したとっつき易いが奥の深い爽快な移動/戦闘システム。

+ 卓越したステージ作り/構成とボス戦、難易度による細かい変化。

+ プレイヤースキルの向上も図れるように作られた“上手い救済措置”

--------------------【悪い点】--------------------


- 作品を重ねたことによる、物語の無理な後付けと矛盾したいくつかの新規設定。

- 新システムであるイマージュパルス取得のランダム性による、プレイヤー間のプレイフィールの違い。

---------------------【総評】--------------------

新システム『イマージュパルス』によるプレイフィールの違いや、長く続く作品特有の問題点である物語の“後付け”や“矛盾”は確かに気になる。

だが、そんな些細なことがどうでも良くなるほどに、外伝作品も含めた歴代シリーズの中でも屈指のとっつき易さと同時に爽快感を兼ね備えた作品に仕上がっている。ある意味では集大成と言っても過言ではないだろう。


近代的なプラットフォーマー系作品に嫌悪を持っているのでもない限りは、プラットフォーマー好きはマストプレイな作品と言えるだろう。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:

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