【ゲームレビュー】ブレイブリーデフォルトⅡ【RPG】
※XBOX Series Xコントローラーを使用。本記事はSteam(PC)版をプレイした感想をもとに執筆しています。
『オクトパストラベラー』の開発陣が贈る、古典的なJRPG作品。運命に導かれ出会った4人は、それぞれの使命と目的を果たすため共に旅に出る。
---------------------【良い点】--------------------
物語、BGM
◆ まず、タイトルに『2』と付くものの、前作からの続き物ではないので、今作から初めても問題はない。続き物だからとプレイを渋っている方は、心配せずに今作からプレイして欲しい。
物語は一部を除いて王道を行く展開で、逆に今時には珍しいものとなっている。癖が無いため、『初めてのJRPG』としても楽しめるだろう。
今作の特筆すべき点の一つとしてBGMが挙げられる。BGMは『Sound Horizon / Linked Horizon』の『Revo』氏が全曲作曲を担当されているようで、“らしい”曲からゲーム向けのモノまで様々な曲が用意されている。
そのシーンに合った曲が多く、どれも耳に残るような高品質のBGMを楽しむ事ができるだろう。
戦闘
◆ 基本的には戦闘自体は古典的なJPRGによく見られるターン制の戦闘を踏襲したものとなっている。通常攻撃をしたり、魔法や技を使用したりするアレだ。
だが、他の作品との違いとして『ブレイブリーデフォルトII』の最大の特徴ともいえる『ブレイブ』と『デフォルト』というシステムが戦闘には組み込まれている。
まずは『デフォルト』の説明をしよう。これは他の作品で言うところの『防御』にあたる行動も兼ねているが、その真価は『デフォルト』を行う事によってBP(ブレイブポイント)が貯める点にある。
BPは戦闘開始時点では基本的に0で始まり、一部の技や『ブレイブ』を使用する事によって、消費される特殊なポイントだ。
そして『ブレイブ』はBPを消費して行動を最大で3回分追加で行える機能になっている。つまり、1ターン内に最大で4回分の行動を行えるという事だ。
これによって通常のターン制戦闘にも色々と戦略、戦い方が出てくる。例えば、自身に魔法でバフを付与した後、そのまま攻撃する。あるいは味方を蘇生させた後に追加で全体回復魔法を使うといった具合だ。
この機能はザコ戦を素早く終わらせて、ゲームのテンポを速める事にも貢献している。実は『ブレイブ』はBPが0の状態でも『前借り』をする事が可能で、最初のターンから4回分行動を取る事が可能になっている。
これによって弱い敵であれば、最初のターンで連続で攻撃や全体化させた魔法を放つ事で戦闘を素早く終わらせる事も可能。
ただし、便利な機能である『前借り』にはリスクも伴う。BPが0の状態で3回分追加で行動を行うとBPが-3になってしまい、3ターン行動がとれなくなる。特に1回分の行動が重要となるボス戦では計画的に使った方が良いだろう。
ジョブシステム
◆ ゲームを進みて行く事によって様々な『ジョブ(職業)』を習得する事ができ、いつでも変更可能になっている。
各ジョブにはレベルが設定されており、レベルが上昇する事によって『アビリティ(技)』と『SPアビリティ(いわゆるパッシブアビリティ)』を習得する事ができる。
ジョブは『メイン』と『サブ』に分かれていて、『メイン』で使用しているジョブは経験値の入手以外にステータスや特性等といった各種特徴となる能力が発揮されるが、『サブ』として使用しているモノに関してはアビリティ(技)のみ使用する事が可能だ。
『タンク職+回復職』や『バッファー+デバッファー』等、様々な組み合わせを行う事が可能であるこのジョブシステムによって、プレイヤーに様々な選択肢を与える事で、上記した『ブレイブ』システム以外の点でも戦闘における戦略性を与える事に成功しているといえる。
また、習得した『SPアビリティ』は5つまで付け替えて『どのジョブ』を使用している時でも、専用のスロットに装備して効果を発揮する事ができる。気に入った『SPアビリティ』は早めに習得しておくと後々楽になるだろう。
装備品
◆ 今作の装備品には少々面白い仕様があり、重量が設定されているのだ。各キャラクター、使用しているジョブによって装備最大重量のステータスが用意されており、これを超過して装備すると戦闘中の行動速度(素早さ)が著しく低下する仕組みになっている。
最大重量自体はキャラクターレベルが上昇する事によって増えていく。この仕様によって序盤で『何らかの手段』によって強力な装備品を入手してしまっても、無双ができない点が面白い。
また、通常にプレイする場合でも、プレイヤーが装備品の取捨選択をする事になるので、この点でも良い仕組みと言える。
ボス戦
◆ 終盤はともかく、ザコ敵との戦闘は比較的簡単な作りになっており、サクサクとテンポよく撃破する事ができる。一方では、最も力が入れられているように感じたのは『ボス戦』だ。
ボス戦はハッキリとザコ戦との区別がされており、序盤からこちらを手加減なしに倒しにくるという、現代のRPGとしては珍しい部類になっている。
また、こちらもこのタイプの作品としては珍しく、人型の敵が多く登場する。そして、敵もプレイヤー側と同様に『ブレイブ』システムを活用して戦闘を行う点も面白い仕様だ。
もちろん、難易度曲線はしっかりと取られているため、戦略をしっかりと練れば倒せるようになっている。
上記した『ブレイブ』や『ジョブ』周りのシステムを上手く駆使して戦う事によって、緊張感のある戦闘を楽しむ事ができるだろう。
現代的な機能
◆ JRPG系作品の弱点とも言うべき点はテンポの悪さにある。戦闘や演出が長いため、中盤以降が“ダレやすい”のだ。『ブレイブ』システムといった前述したいくつかの部分で、開発陣がその点を補うべく努力している事が見て取れるかと思う。
それら以外にも、今作では特に“ダレ”が発生しやすい戦闘は1~4倍速にする事が可能という現代的な機能が搭載されている。
戦闘中の速度はボタン一つでいつでも変更可能であるため、ボス戦の時はゆっくり、ザコ戦の時には早く、といったふうに調整する事ができる点もありがたい。
戦闘に関しては、難易度も設定画面からいつでも変更可能。レベル上げや装備集めなどが億劫に感じられるのであれば、こちらを試しても良いかもしれない。
ただし、ゲームにインパクトを与える設定になっているので、『ゲーム本来の面白さ』を損なう可能性があり、こちらは変更する際には注意が必要だ。
他にも細かいところでは、今作はシンボルエンカウント性になっており、こちらのレベルが敵よりも高い場合は、ザコ敵がプレイヤーを避けるようになるため、テンポよく進む事ができる。
SPアビリティによって、現在訪れているマップ内に隠されている宝箱の残りの数をチェックする事ができ、これによって“無駄な探索”が減り、先へとどんどん進む事ができるだろう。こちらも地味に助かる仕様になっている。
やり込み要素
◆ 隠しボスとの戦闘は言わずもかな、各種やり込み要素が充実している。
いくつか紹介すると、『各ジョブのレベル上げ』『敵やアイテム図鑑の完成』『ミニゲームのやり込み』『敵から入手できるアイテムによるステータスの永続的強化』等々、クリア後も楽しめる作りになっている。
--------------------【悪い点】--------------------
キャラクターの動き
◆ キャラクターのデザインやグラフィック自体は特に問題無いが、戦闘とムービーシーン以外でのキャラクター達の動きがぎこちない。
特に終盤で少しだけ登場する一部の人型キャラクター達に関しては、動きとセリフが殆どあっていないように感じられるほどだ。
ロケーションとギミック
◆ ゲームの仕様上仕方のない部分ではあるが、町の総数やロケーションが少ない。
また、こちらは良く言えば、『テンポよく進めるダンジョン』とも取れるため、完全に悪い点と言うわけでもないが、ダンジョンや敵の出現するマップに関しても特殊なギミック等が殆ど無いため、形状の異なる同一のマップを探索しているかのような錯覚を覚えた。
強すぎるアビリティ
◆ 戦闘で使用可能なアビリティ(技)の一つが端的に言って『壊れ性能』になってしまっている。
おそらく、序盤を楽にするための措置として強力に設定されているのだと思われるが、終盤でもいくつかのSPアビリティやジョブ特性と組み合わせる事によって凶悪な性能を発揮させる事が可能だ。
別の項目で述べたように、今作は戦略的に立ち回る事自体が楽しい作品であり、他のアビリティにも十分に有用な効果、能力のモノがたくさん用意されている。
だが、このアビリティに気付いてしまうとこれを軸に戦略を練った方が楽で効率が良いため、それ以外を使用する必要性が完全になくなってしまう。
ジョブ、アビリティ、装備のセット
◆ ジョブを変更すると装備品の適性や装備可能な最大重量が変化する。もちろん、ジョブ毎の特性もあるため、『SPアビリティ』を付け替える場合もある。
特に終盤では頻繁にジョブを変更するため、それらの『セット』を保存できる機能が欲しかった。いちいち全て付け替えるのは手間が掛かってしまう。
----------------------【総評】----------------------
ストーリーは王道で癖があまりなく、戦略性が高く緊張感のある難易度調整が施されている戦闘システムは、古き良きJRPGを彷彿とさせる。
戦闘に関連した各種システム、『倍速モード』や『難易度の変更』等の作品を遊びやすくする現代的なシステムの導入によって、『ブレイブリーデフォルトII』は『進化を果たした古典的なJRPG』と言える出来に仕上がっている。
良くも悪くも癖のないJRPG作品に仕上がっているため、このジャンルが苦手でないのならばマストバイな作品だ。
プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。
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