【ゲームレビュー】白き鋼鉄のX 2【2Dアクション】
XBOX Series Xコントローラーを使用。過去作プレイ済み。“最後まで”クリア済み。
『蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルト』シリーズのライバルキャラクター『アキュラ』が主人公のスタイリッシュな横スクロール2Dアクション外伝作品第二段。
今作の物語は、白き鋼鉄のX(イクス)こと『アキュラ』が、異世界へと飛ばされたところから始まる。
ストーリーは前作よりも他のシリーズの知識が無くともプレイ自体に支障が無いように調整されている。
ただし、今作のストーリーを楽しむ上では、前作や『インティ・クリエイツ』の作品を知っていると驚く演出がある。
--------------------【良い点】--------------------
ステージ構成とボス戦
◆ ステージ構成は相変わらずの『インティ・クリエイツ』作品と言った作りで、ステージ毎のテーマやギミックの違いがしっかりと出ている。
ステージの難易度自体は高めに設定されているが、後述する『ブレイクホイール』や『ブリッツダッシュ』を上手く使えるように地形は考えられており、プレイヤーが慣れれば慣れるほど爽快に攻略できる仕様になっている。
何かを目的、例えばスコアアタック、に繰り返しプレイする事によってステージが細部まで作り込まれている事に気づかされる場面が多く、こういった事を書くのもおかしいが“プロの作ったステージ構成”になっている。
ボス戦に関しても、攻略法にはいくつか回答があり、どれもこれも難しくも“理不尽”には感じられず、やり応えのある最高に挑戦的な戦闘を楽しむ事ができる。
余談だが、ボスのいくつかには一瞬の為だけに書き込まれたドット絵のコマもあり、視覚的にも大満足だった。
ブリッツダッシュとブレイクホイール
◆ 前作から仕様が少し変わってはいるものの、シリーズ最大の特徴と言っても良い『ブリッツダッシュ』の能力は健在だ。この能力が今作をハイスピードアクションたらしめている要素の要と言っても過言ではない。
『ブリッツダッシュ』は空中で様々な方向に向かって『ダッシュ』する事が可能な能力だが、それだけではなく『ダッシュ』状態で敵にヒットすると敵はロックオン状態になり、後述する追尾性能を持った武器が使用可能になる。
その他にも壁に向かって『ダッシュ』を行えば、壁を蹴って別方向へとそのままのスピードで連続ダッシュする事が可能だ。
また、今作から地上でダッシュを行うと『リコイルダッシュ』となり、盾持ちやバリア持ちの敵を無力化する事もできる。こちらは攻撃的な用途以外にも、いくつかのギミック、例えば大きなコンテナ等を動かす際にも使用できる。
さて、今作から『ブリッツダッシュ』以外にゲームシステムのもう一つの要となる近接攻撃『ブレイクホイール』が追加された。
近接攻撃である回転ノコギリ型の武器『ブレイクホイール』の追加によって敵を撃破、破壊する爽快感がより楽しめるようになったのだ。
敵を撃破した時の感覚的には、同開発陣の携わった作品では『ロックマン ゼロ』シリーズが近いだろうか。敵を斬り倒した際のエフェクトも似ている。
遠距離攻撃についても『ブレイクホイール』を間接的に使用する事となる。何故なら、前作で使用可能であった『ショット攻撃』と追尾能力を持った『フォトンレーザー』は使用できなくなったからだ。
そして、その代わりに敵をロックオンしている状態で『ブレイクホイール』の攻撃ボタンを長押しすると敵を追尾する『ロックオンホイール』が使用可能になった。
全体的なゲームプレイのコンセプトとしては『ブリッツダッシュ』と『ブレイクホイール』を主軸に置いた作りになっており、『ブリッツダッシュ』による“ハイスピードでの移動に伴う爽快感”、それに新しく追加された『ブレイクホイール』による“破壊の爽快感”が合わさり、前作よりも楽しみやすくなっている。
派手な演出
◆ 道中で一定条件を満たすと曲が流れたり、特定の攻撃時や敵の必殺技使用時、特定のタイミングでカットインが入るといった、派手な演出が特徴の一つである『蒼き雷霆ガンヴォルト』シリーズの流れを汲んでいる本シリーズでも、そういった盛り上がる演出が盛り沢山だ。
敵を素早く撃破していく事によって溜まるスコア『クードス』が1000以上になると、サポートメカである『RoRo』は『モードディーヴァ』に変身し、盛り上がる曲が流れ始めるという演出が入る。
また、演出面だけでは無く、RoRoがこのモードになると主人公『アキュラ』も『オーバードライヴ』状態になり、一時的に攻撃や移動能力が強化される。
この状態では空中で一度しか使用できなかった『ブリッツダッシュ』が強化され、無制限に使用可能になるため、前作を彷彿とさせるような、あるいはそれ以上のハイスピードの戦闘を楽しむ事ができるようになる。
ただし、この状態には制限時間があり、地上に降りる、敵や地形にぶつかるなどして制限時間を回復させなかった場合には解除されてしまうので注意が必要だ。
他にもスキル画面からはカッコいいカットインも導入される技、画面全体に当たり判定の発生する強力な必殺技『クロスシュトローム』を発動する事もできる。
こちらは使用後にはクールダウンが発生し、一定時間再使用が不可能になるので、ここぞというタイミングで使うようにすると良いだろう。
時間が止まったり、テンポを損なう要素でもある演出的な要素はアクション好きのプレイヤーからは嫌われる要素ではあるものの、ここぞという場面で導入されるカットインや曲の変化は盛り上がるし、今作はそういった“演出を重視した作り”と割り切ると良いだろう。
難易度
◆ 今作で爽快にプレイを行うには、ステージ内容の把握と少々アクションに慣れている必要がある。
特にステージ内容に関しては、筆者の所感で申し訳ないが、いくつかは前作よりも難易度が高めになっているように感じられた。
だが、クリアするだけが目的であれば、様々な救済措置となるシステムが追加されているので心配はいらない。
まず、前作の初心者救済措置だった敵の攻撃を無効化する『カゲロウ』が廃止された代わりに、HP回復スキル『ヒーリング』が追加された。こちらは使用する際にクールダウンや何かのコストが発生する事は無いので、必要になったら“いつでも何度でも”使用可能だ。
ただし、前作の『カゲロウ』がそうであったように、『ヒーリング』を使用すると今作のスコアにあたる『クードス』が清算されるため、高スコアを目指すのであれば気を付けよう。
また、物語を進めて『ハイパーガード』と呼ばれる能力を入手すれば、地上で移動や攻撃を行っていない状態であれば敵の攻撃を殆ど受け付けなくなる。こちらと『ヒーリング』を合わせればアクションが苦手でも今作を進めて行く事ができるだろう。
それ以外では過去作から引き続き『アキュラ』にはレベルの概念があり、敵を撃破していく事でレベルが上昇し『HP』の最大値が上がっていく。
今作では特定の行動、例えば『ヒーリング』を使用する、あるいは『チェックポイントを通過する』等を行わなければスコアである『クードス』は清算されないため、『HP』が上昇すれば単純にスコア面でも少し“ゴリ押し”が可能になる。
これらの他にも道中で入手できる通貨を使用してプレイヤーに様々な恩恵をもたらす能力を解放していくことができる。こちらの能力は解放後はいつでもオン/オフ可能なので、気になった能力はどんどん開放していこう。
EXウェポン
◆ ボスを撃破する事によって、他の作品で言うところの『特殊武器』である『EXウェポン』を入手する事ができる。
これらの武器の性能は良く練られており、それぞれが特定のボスの弱点になっているだけでは無く、ステージの攻略という面でも助かるような機能も持っている。プレイ中に色々な場面で試してみると良いだろう。
オプション設定
◆ 今作のオプション設定は非常に良く出来ており、設定画面からは分かり易い『マニュアル』まで確認する事ができる。
筆者が特に驚いたのはオプション画面に『BGM』『SE』『ボイス』を変更する設定があった事だ。
そう、サウンド設定をさせてくれない事で有名なあの『インティ・クリエイツ』の作品でサウンド設定ができるのだ。
この設定項目を確認した時、筆者が他社の作品を間違えて購入して起動してしまったのではないかと疑った。今でも疑っている。
--------------------【悪い点】--------------------
遠距離攻撃
◆ 今作のコンセプト上仕方の無い事ではあるが、敵をロックオンしていない状態では遠距離から通常攻撃を行う事ができなくなった。
ブリッツダッシュの性能低下
◆ こちらもやはりコンセプト上仕方の無い事ではあるが、新要素である『ブレイクホイール』をプレイヤーが使用するように誘導するため、『ブリッツダッシュ』の性能が低下した。
というのも前作ではゲージを消費して行っていた『ブリッツダッシュ』だが、今作からは仕様が変わり、空中では一度しか使用できないのだ。
その影響によって、前作よりも通常状態でのゲームの移動によるスピード感は少し損なわれている。
ただし、ゲームに慣れればオーバードライブを常に発動した状態にする事もできるため、この問題は解消される。言い方を変えればより“玄人向け”な仕様になってしまっているわけだ。
ロックオン
◆ 『ブリッツダッシュ』を敵に当てる事で敵がロックオンされ、遠距離攻撃が可能になる事は前述したが、実はこの仕様に少々問題がある。
ロックオン中は近接攻撃ができなくなるのだ。近接と遠距離攻撃で使用するボタン自体が同じものなのだが、ロックオン中は自動的に遠距離攻撃が出てしまう。
可能であれば、ロックオン中でも近接攻撃を行えるようにした方がゲームのコンセプト的にもあっているので、何故このような仕様になったのか謎だ。
マルチエンディング
◆ 特定条件を達成する事で通常とは別のエンディングを見る事ができるのだが、“一つ”だけ難易度設定が常軌を逸している。
ストーリーを楽しみたいのであれば、是が非でも観たい方もいるだろうが、正直に書くならば、その条件は今まで筆者がプレイした“理不尽ではない難易度調整のされた作品”でも一二を争うほど高かった。
ネタバレになるので、詳細は書けないが、参考までに筆者は本編をゆっくりとプレイして4~5時間程でクリアまで攻略できたが、別エンディングを達成するために追加で10時間程プレイした。
今作の物語の全てを楽しみたいのであれば、覚悟が必要だ。
----------------------【総評】---------------------
新しいアクションの追加とそれを中心にしたゲームプレイによって、前作から若干方向性の異なる印象はあるものの、相変わらずのハイスピードなゲームテンポと爽快感のある上質の2Dアクションを体験できる作品。
前作が好きであったのなら間違いなく楽しめるし、前作をプレイしていなくとも、ストーリー的にも今作から入っても問題無く理解できるので、気になったのならプレイして見よう。
製作陣が正気を失ったかのようなエンディングの条件だけが玉に瑕だ。
プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。
他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:
『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:
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