見出し画像

【ゲームレビュー】ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界【ルーターシューター】

XBOX Series Xコントローラーを使用。クリア済み。


ルーターシューター系FPS作品の金字塔『ボダラン』シリーズの外伝作品。『タイニー・ティナ』のイカレタTRPGに参加して、イカしたクラスを選択し、ぶっとんだ武器を入手して、打倒『ドラゴン・ロード』を目指せ。

※本稿はPC(Steam)版『ワンダーランズ 』のプレイを基に執筆しています。また、本レビューは過去作との比較が多めになっています。

--------------------【良い点】--------------------

ストーリーとキャラクター、TRPG設定の利点

◆ 今作ではプレイヤー達はTRPGをプレイしているという設定であるため、過去作の様にシリアスな場面は一切なく、キャラクター達が好き放題にやっている事が印象的だった。

GMのティナは『私がルールだ!』と言わんばかりに様々な無茶ぶりをしてくる。

『ボダラン』シリーズのキャラクターは個性が強いため、今作の様な自由にキャラクター達がふるまえるシナリオが非常にマッチしている。過去作と比べても筆者的には最も『ボダラン』という作品を活かせたシナリオ展開であるように感じた。

特にサイドクエスト周りは本編よりもぶっとんだシナリオが多く、全てプレイしたくなるような内容になっている。

良い意味で先の展開が読めない場合もある。

また、今作の移動方法は少々過去作とは異なっている。オーバーワールドというTRPGの盤面の様なマップの上をキャラクターが移動し、各種ステージに入るという仕様になっているのだ。

オーバーワールドでは、TRPGのフィギュアの様な外見にデフォルメされた状態で移動する。

これによって過去作に合った“スカスカの疑似的なオープンワールドマップの煩わしい移動”が緩和され、アクションステージに直行する事が可能になった点は有難い。

ビルド

◆ ゲーム開始時点で近接型の『バー・ザーカー』やネクロマンサーの様な『グレイヴボーン』といった全部で六つのクラス(+DLCでの追加クラス)から一つを選択してプレイする事となる。

初期クラスは後から変更できないので、慎重に選ぼう。

前作にあたる『ボダラン3』とは違い、クラス毎にスキルツリーは一つのみになっており、一見するとスキルツリーの数が減ってしまったために、ビルド構成の選択肢が減ってしまったように感じられるかもしれないが、実はそうではない。

何故ならメインストーリーを進めて行くと二つ目のクラスを選択する事が可能になるからだ。それによって、上記したクラスから自由にクラスを組み合わせてビルドを組む事が可能なのだ。

様々な組み合わせを考える事はビルド作りの楽しさ、醍醐味と言えるだろう。

過去作から変更された仕様の一つとしては、クラスの特徴ともいえる『アクションスキル』は戦闘時に1つしか使用できない仕様になったが、代わりに装備品で『魔法』を装備する事ができ、それがもう一つのアクションスキル(と今作には無いグレネード)のように機能する。

魔法には仲間(コンパニオン)を召喚するものもある。

その他にも今作はTRPGをプレイしているという設定であるため、レベルアップ毎にライフやクリティカル率等が上昇するステータスに一点振る事もできる。

レベルアップ時にはポイントをステータスに振る事を忘れずに。

余談だが、二つ目のクラスは本編クリア後に変更可能になるので、色々と組み合わせを試してみると良いだろう。


また、これらの他にもキャラクターのレベルがカンストした後に解放される『伝説ランク』という機能がある。
こちらはエンドコンテンツの成長要素の一つで、通常のレベルの様に一定値の経験値が溜まると上昇していき、ステータスの上昇する専用のスキルツリーにポイントを振る事ができるようになる。

様々なビルドに対応したスキルがあるので、好みでポイントを振っていこう。

過去作をプレイ済みであれば『バッドアスランク』の代わりだと思えばいい。

戦闘

◆ 戦闘面では過去作をプレイ済みであれば、新規に追加された要素としては上記したアクションスキルの一枠とグレネードの代わりとなる『魔法』、それと近接武器が追加された点が大きい。

どちらもバリエーションや様々な能力を持っており、近接メインのビルドや魔法メインのビルドを組んで戦闘を行う事もできる。

近接武器にもしっかりとレジェンダリーがあるので、しっかりと厳選しよう。

その他の点では良い意味で過去作を踏襲した作りになっており、基本的には各武器を切り替えながらの爽快で派手な銃撃戦を楽しむ事ができる。巨大なボスとの戦闘や特殊な敵との戦闘も用意されている。

レジェンダリー装備、特に武器は『丸鋸を発射する』等の特徴的な射撃方法もあったりと、武器一つをとっても戦闘が変化する点も相変わらずの面白さになっている。

トレハン要素とエンドコンテンツ

◆ メインとなるトレハン要素は使用しているビルドの方向性にもよるが、相変わらず武器や装備品の能力が個性的であるため、かなり熱中できる仕組みになっている。

今作のエンドコンテンツにあたる『カオスチャンバー』というクリア後に解放されるコンテンツだが、わかる人には所謂『リフト(ウェーブ型のアリーナの様な)』系のコンテンツになっている。


『カオスチェンバー』には難易度が設定さており、クリアして行く毎に上の難易度が解放されていく仕組みだ。
クリア時には『カオスチェンバー』内で入手できる通貨を使用して指定した部位のアイテムをドロップしてくれる宝箱(のようなもの)を開ける事もできる。これで狙っている武器や装備品を集めると良いだろう。

一度クリアした難易度には何時でも変更する事が可能。

また、解放した難易度は本編にも適用する事ができ、難易度が高ければ高い程に敵のドロップ率アップや取得XPアップといった恩恵が得られる。

ステージでボス狩りをする時等に重宝する。

シンプルにひたすら敵を倒してアイテムを集めていくモードであるため、ルーター系作品に適したモードと言えるだろう。

--------------------【悪い点】--------------------

伝説ランク

◆ 過去作で特徴的だった初期からアクセス可能な独自の成長要素となるエンドコンテンツ『バッドアスランク』に比べて、今作に追加された『伝説ランク』はいまいち特徴に欠けるシステムになっている。

というのも『バッドアスランク』は“最初から解放されており”さらに“成長要素がアカウント内の全キャラクターに適用される”という仕様であったからだ。
これによって、プレイヤーは何時でも他のキャラクターをプレイする、試してみるモチベーションが保てるし、二人目や三人目のプレイであれば初期から少々強くなった状態でプレイする事ができる。


一方で『伝説ランク』は“レベルがカンスト後”かつ“そのキャラクター”にのみ適用される。
無いよりは確かにマシだし、おそらく、初期からキャラクターが強くなる事を防ぐための仕様だと思われるが、あまりにもお粗末なシステムになっている。

DLCとエンドコンテンツ不足

◆ 最初のシーズンパスで追加される各種エンドコンテンツがやけくそ気味に作られたような、粗末な出来になっている。
そのため、現状でプレイ可能なエンドコンテンツは実質『カオスチェンバー』のみになっており、クリア後は飽きやすい。

DLCのコンテンツは“特殊なカオスチェンバー”であるため、正直通常のモノだけで十分だ。

いくつか追加されるレジェンダリー装備を除けば、本レビュー執筆時点ではシーズンパスやDLCは購入する価値は無いと言っても過言ではない。

マンネリ

◆ 過去作と比べても、戦闘では何処かで見たような動きや行動パターンの敵が多く、殆どは所謂『リスキン(外見が変わっただけ)』になっている。

ファンタジーな外見にこそなっているが、登場する敵は過去作で見たような動きをしてくる。

そのため、過去作をプレイ済みの方であれば戦闘面で少々マンネリを感じるかもしれない。ようは新しさが無いのだ。

----------------------【総評】---------------------

『伝説ランク』や二人目以降のキャラクターの作成が難しい点を除けば、過去作の問題点の多くを解決して正当に進化させたシステムになっており、遊びやすい良作になっているように感じた。

過去作のファンでも、今作からプレイして見たいという方にもオススメの作品になっている。購入を検討されている方は、ストーリー面は良くも悪くも完全にコメディであるため、人を選ぶのでその点だけは注意して欲しい。


また本編やサイドクエストが面白いだけに、DLC周りが本レビュー執筆時点では内容の薄いモノばかりで、正直やっつけ感がある点が玉に瑕だ。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?