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【ゲームレビュー】God of War - ゴッド・オブ・ウォー PC版【3Dアクション】

XBOX Series Xコントローラーを使用。過去作プレイ済み。今作クリア済み。


伝説のアクションアドベンチャーがPCにやってきた。オリュンポスの神への凄惨な復讐の過去を捨て、北欧の地に辿り着いた主人公『クレイトス』。過酷な北欧神話の世界を舞台に、息子『アトレウス』と共に『クレイトス』の新たな物語が始まる。

※本稿はPC(Steam)版『God of War』のプレイを基に執筆しています。また、このレビューでは過去作に触れるため、過去作の物語やシステムに関する話題が含まれているのでご注意ください。

--------------------【良い点】--------------------

物語と登場人物

◆ まず初めに、今作の物語は過去のシリーズ作品群を知らないプレイヤーでも問題無くストーリーを楽しめる作りになっているが、実質的には『ゴッド・オブ・ウォー 4』である点に気を付けて欲しい。

さて、今作『ゴッド・オブ・ウォー』では北欧へとやってきた主人公『クレイトス』は妻を亡くしてしまう。彼女の遺言で遺灰を“最も高い山”で撒く事となり、息子の『アトレウス』と共に旅立つ所から物語は始まる。

クレイトスの妻、アトレウスの母である『フェイ』の死を悲しむ二人。

復讐を完遂するために“最も高い山”へと昇った『クレイトス』が、今度は故人を弔うために山へと登るというのは何とも皮肉が効いている。

クレイトスはどのように自分の過去と向き合うのだろうか。

物語は新規のプレイヤーにも分かり易いように、主人公の過去に触れる話題が物語を進めて行く毎に断片的に語られていく事になる。というのも、息子『アトレウス』は自分の父の過去について殆ど知らないので、彼に関連した展開で時たま語られていく形だ。

面白い点として、考え方によっては、新規のプレイヤーは『父の過去の事を何も知らぬ』息子である『アトレウス』と同じ視点に立って物語を楽しむ事ができ、過去作からプレイしているならば『父となった』『クレイトス』の視点に立てるという事にもなる。

筆者は過去作をプレイしているため、主人公である『クレイトス』の心境の変化に感じ入るものがあった。父親になったクレイトスは過去作を知っている人にとっては驚くような内面的な変化を起こしている。

自分が敵の注意を引き付けると言うアトレウスを不器用ながらも心配するクレイトス。

息子にどうやって接して良いのかわからず戸惑っていたり、ネタバレを防ぐために詳細は控えるが、息子に過去の自分の様になって欲しくないというような態度を取っており、不器用な父親そのモノの対応をしている。

主人公に関連した物語で言えば、他にも、物語序盤で『クレイトス』は過去の自分を彷彿とさせるような怒りに満ちた『謎の男』と出会う事になるが、こちらのやり取りもまた興味深い。

クレイトスと対等に戦う事の出来る力を持った『謎の男』。

そういった点から、復讐と怒りに満ちた、鎖の様に自身に絡みついた過去に向き合い、そして『決着』をつけ、過去の自分と決別し、今作は先へと進むための物語であるように感じられた。

くしくも次回作のサブタイトルが『ラグナロク』であるため、その進んだ先が終わりへと向かうのかは定かではないが。

”終わりの始まり”を予感させる瞳。

ネタバレを防ぐため上記のキャラクターたち以外には触れないでおくが、どのキャラクター達も魅力的で、独特なデザイン以外にも表情や動き等が真に迫っており、印象に残るキャラクター達が多い。

その魅力的なキャラクター達の登場する物語は迫力のあるシームレスなムービーで語られ、流石と言うべきか、ムービー中の演出的な表現は群を抜いて素晴らしい作りになっている。

シームレスなムービーは特に違和感が無く、ゲーム開始時点からムービーとプレイヤーが操作するゲームプレイ面全てが“ずっとワンカット”で流れる。こちらは映画の技法にあたる『長回し』を使用している。

実はこのゲーム開始画面からプレイヤーが倒される等で特殊なロードを挟まない限りは、ずっとノーカットでシームレスにゲーム画面は続いている。

最近と書くと語弊があるが、直近の有名な作品では戦争映画『1917(1917 命をかけた伝令)』で使用されている技法だ。

このシームレスなムービーとプレイの間には、過去作から引き続きプレイ面に移行する際に『QTE』が発生する場合もある。こちらも違和感なく、その場面に合った直感的な操作がプレイヤーに求められ、カメラが自然とこちらが注目するべき箇所に動く。

『ボタン連打で敵を殴る』という単純だが爽快感のあるシーン。

他の『QTE』が発生する作品で時たま見られるようなフラストレーションの溜まる場面は無く、むしろこういった場面ではインパクトのある攻撃シーンが多く、こちらでも爽快感を感じる事ができるだろう

余談ではあるが、『アトレウス』の登場によって物語の語り部、というよりも『お喋りな役』が追加されたことによって無口な『クレイトス』の代わりに色々と会話が発生するようになっている点も個人的には面白かった。

舞台と探索要素

◆ 北欧神話を題材とした世界が舞台となり、幻想的な森、過去に何かが起きたかをプレイヤーに想像させるような廃墟、険しい極寒の山道等々、広大な世界を楽しむ事が可能だ。

広大な世界を冒険する過程で、様々なロケーションを訪れる事となる。

各エリアのディティールやデザインは素晴らしく、流石AAA作品と言ったところだろうか。エリア毎のBGMも相変わらず雰囲気に合った、良質なサウンドを楽しむ事ができる。

基本的にはメインストーリーを進める上では一本道ではあるが、わき道にそれる事で任意で挑めるいくつかのパズルや探索要素、戦闘が発生するエリアを発見する事ができる。

強化アイテムを入手できる宝箱。エリア内に隠されたルーンを破壊する事によって開錠する事が可能。

物語がある程度進んでからは自由に探索でき、更に進めて行くと自在に『ファストトラベル』も可能となる。

探索する事によって資源や装備品などの思わぬアイテムを入手できる事もあるので、積極的に探索していこう。

上記したように、随所には過去作でも見られたようなパズル要素も健在で、戦闘一辺倒にならないような工夫がされている。

思わぬところに通路が。

今作のパズルでは息子『アトレウス』の助けを借りて解くものが、当然ではあるが、新しく追加された。

場面によって異なるが、ギミックとしてはクレイトスがアトレウスをちょっとした高い位置に投げたり、遠くにあるオブジェクトを弓で射ってもらったりなどだ。それ以外の場面でも彼は父に助言を与えたりする。

戦闘

◆ 戦闘に関して言えば、『プリンス・オブ・ペルシャ (特に Warrior Within)』や『DMC』シリーズの影響を受けて開発された過去作の戦闘システムから一新されている。ただし、『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズにおける本質的な“暴力的な爽快感”の演出は良い意味で相変わらずだ。

繰り返しになるが、TPS作品に近い三人称視点になった事によって戦闘の仕組み自体は大きく変わっている。メインで使用する武器も過去作で使用していた双剣『ブレイズオブカオス』『ブレイズオブアテナ』や『ブレイズオブエグザイル』の代わりに氷を操る力を持つ戦斧『リヴァイアサン』になっている。

過去作から一新された戦闘。

基本的な操作方法としては弱攻撃、強攻撃、盾での防御にパリィによるカウンター、ローリングによる回避等だ。

敵を倒してレイジゲージを溜めると『スパルタン・レイジ』を発動することもできる。『スパルタン・レイジ』は分かり易く言うと一時的に『クレイトス』が強化される“スーパー化”の様なモノだ。

武器による攻撃やコンボ、これらは敵を撃破する事で入手できるXPを消費する事によって新しいモノをアンロックしていく事が可能だ。

クレイトスの戦斧『リヴァイアサン』のスキルツリー。

戦斧『リヴァイアサン』は過去にクレイトスの使用していた『ブレイズオブカオス』等とは異なり、敵に投げつけて攻撃する事もできる。

斧は投げた後にボタン一つで何時でも手元に戻ってくる。

『リヴァイアサン』は投げた後、手元に戻すことができ、何処か神話に語られる『トールのミョルニル』を彷彿とさせる仕様になっている。

また、ネタバレになるため詳細は伏せるが、物語を進めて行く事によって上記の『リヴァイアサン』とはプレイフィールの大分異なる武器を使用できるようになる。

手元に斧が無い場合には素手や盾を使って敵を殴る事ができるので、ご心配なく。

その他にも武器には『ルーン』を装備する事ができ、ルーンには『ノーマルルーン』と『ヘビールーン』の2種類があり、それぞれ装備する事によって固有の技『ルーンアタック』を使用する事ができる。

一番最初に入手できる『ヘルの指先』のノーマルルーン。

『ルーンアタック』は強力ではあるものの、使用後は『クールダウン』が発生し一定時間発動できなくなるので注意が必要だ。これらのルーンは武器メニューからXPを消費する事によって強化する事が可能。

戦闘中はアトレウスに命令を出して弓を射る事もできる。彼は積極的に戦闘に参加してくれるので、邪魔になるという事は無いだろう。また、彼の行動や技もXPを消費する事で強化する事が可能だ。

アトレウスのスキルツリー。

戦闘のフィーリングとしては過去作よりも一撃一撃に重みが感じられ、インパクトの瞬間によりカタルシスを得られる仕様になっているように感じられた。

もちろん、敵は大量に出現する事が多く、それらを薙ぎ倒していく楽しさもあり、これらの要素が元からあった“暴力的な”楽しさと相まって、より一層アクション的な面白さと爽快感を出すことに貢献している。特にボス戦は圧巻の迫力がある。

大迫力ボス戦。

こちらの攻撃だけでは無く、敵の攻撃も一撃一撃が重めに設定されている影響もあり、戦闘の難易度は『NORMAL』でも慣れるまでは挑戦的な難易度になっている。

『NORMAL』でも十分にやり応えあり。

難しいと感じたならいつでも設定画面から難易度を変更する事もできる。注意点としては最高難易度を選択した場合のみ変更が不可能になる事ぐらいだろうか。

こちらも余談ではあるが、今作は戦闘のシステムやその他の随所に『ソウルライク』作品の影響が感じられる。過去作でもそうだったように、この制作陣は他作品の要素を上手く昇華し、自身のタイトルに取り入れる術を心得ているのかもしれない。

RPG要素

◆ 新たに防具、柄頭、『呪力』などの装備品、レベルやステータスといったRPG的な要素が追加された。各装備品には『コモン』『レア』『レジェンド』『エピック』等のレア度があり、高レアリティの装備品程強力になる。

強さの目安となるレベル。

レベルの仕組みは一般的なRPG作品とは少々異なり、経験値を入手する事で上昇するのではなく、装備している各種装備品の平均値で決まる。敵にもレベルが設定されている事から、自分と敵の強さの目安になる程度だと考えればいい。

呪力孔が一つ空いた装備品。

防具には『スロット(今作での正式名称は呪力孔)』を持つ防具もあり、このスロットには『呪力』を装着する事ができる。

『呪力』はステータスを上昇させたり、パッシブスキルが発動する効果を持つモノもある。これらの効果は一部の固定の物を除き、ドロップした時にランダムになっており、いわゆる『ハクスラ(ディアブロライクの方)』のような仕組みになっている。

パッシブ効果の付いた呪力。

ただし、基本的には固定ドロップの『呪力』の方が強力なので、今作においては“煩わしい要素”となりえるトレハンを行う必要性は皆無に等しい。

『柄頭』は『呪力』以外で武器に装着する事ができる装備品であり、『呪力』と同様に単純に主人公のステータスを上昇させるモノから、パッシブスキルが発動するモノもある。

『護符』という装備品もあり、こちらはそれぞれに固有のスキルを持っており、プレイヤーが任意のタイミングで発動する事ができる。例えば、『~ボタンを押して発動し、HPを回復する』等といった具合だ。

体力を回復する効果を持った護符。この他にも有用な効果を持った護符が色々と登場する。

装備品は道中に登場する商人(鍛冶師)兄弟の店で、お金や資源を消費して作成したり強化する事が可能になっている。店に並んでいる品は物語の進行と共に増えていく。

通貨である『銀の欠片』の他に素材が必要になる場合もある。

また、装備品を変更する事によって主人公の外見にも装備がしっかりと反映される。

『リヴァイアサン』もアップグレードを行う事によって外見が変化していく。

やり込み要素

◆ 隠しエリアとマップ、隠しボス、サブクエスト、収集物等の様々なやり込み要素がある。

探索する事で発見できる『次元のはざま』。単純にアイテムが入手できるものもあれば、強力な敵との戦闘が発生する場合もある。

また、本編クリア後には装備品を引き継いで『ニューゲーム+』を楽しむ事もできる。こちらはただ単に最初からプレイできるだけでは無く、敵の行動パターンの変化や新規にこちらでしか入手できない装備品などが追加されるのでプレイする価値はあるだろう。

--------------------【悪い点】--------------------

テンポを悪くする要素

◆ まず今作のジャンルは“アクションアドベンチャー”だ。前述したように、このタイプの作品ではアクション一辺倒にならないような工夫としてパズル要素を入れる事が良くある。そして今作も例外ではない。

だが、『ゴッド・オブ・ウォー』ではいくつかの場面において少しばかりその要素が裏目に出ており、激しい戦闘を行った後のパズル要素は緩急をつけるというよりも、ゲーム進行のテンポを悪くしてしまっているのだ。

基本的には面白いパズルばかりだが、一部はパズルが登場するタイミングに問題があるように感じられる。

もう一つのテンポを悪くする要素は、と言っても少し気になる程度ではあるが、別項目で述べた『常にシームレスなムービーとゲームプレイ』に関してだ。

いわゆる『ファストトラベル』を行う際には『ファストトラベル用の扉に入る→回廊を歩く(この時にエリアのロードをしていると思われる)→扉から目的地へ出る』という流れがあり、単純に『目的地に飛ぶ』という行為がワンテンポ遅れてしまうのだ

『ファストトラベル』時に歩く事となる回廊。

この仕様が『少し気になる程度』であるのには理由があり、流石の作りと言うべきか、回廊を歩いている時に主人公とアトレウスが何かしらの会話を行うので違和感を覚える事は無い。その他の『長距離を移動するシーン』でも似たような技法が用いられている。

舟で移動する際にも親子の会話を聞くことができる。

武器の少なさ

あくまで過去作と比べてになるが、使用可能な武器が極端に少ない。ただし、戦闘内容自体はその分洗練されている点も記載させていただく。

リニューアルされたシステム

◆ こちらは悪い点と言うわけでは無いが、シリーズ過去作をプレイした事のある方向けに2つほど注意点として。

まず初めに、多くの項目で述べたように今作は過去の作品から戦闘システムが完全に変更されている。

いくつかの名残はあるものの、特に戦闘のテンポに関しては過去作の様なハイスピードな戦闘よりも、一撃の重さがしっかりと出ている戦いが多い。それでもスピード感はあるのだが。

戦闘以外では『息子』の登場によって主人公である『クレイトス』が“らしくない言動”が目立つようになった。こちらも前述したように物語的にこうなった理由はある。

これらの点は過去作をプレイした事があるプレイヤー程、違和感として出てくる可能性がある。そのため、今作が“合わない”可能性もあるので購入を検討している場合は注意して欲しい。

Steam入力

いつものSteam側のコントローラー入力が悪戯してしまっている。すぐにアップデートによって対処されると思うが、現在の対処方法としては下記を参照して欲しい。

プレイされている方でコントローラー周りに問題が発生している方は

『Steamライブラリ内の「God of War」を右クリック → プロパティ → コントローラー内の「Steam入力を無効化」を選択』

これで直るはずだ。

いつものSteam側のコントローラー関連の問題。『Steam入力を無効にする』を選択すれば問題無くプレイできるので、是非とも試してほしい。

オプション

◆ オプション、各種設定自体は非常に豊富でありがたいかぎりなのだが、『ボーダレスフルスクリーン』はあるものの、残念ながら本レビュー執筆時点では『フルスクリーン』と『FOV』の設定項目が無い。

表示モードにフルスクリーンの項目は無い。

『FOV』等の設定に関しては有志によるMODも公開されているので、そちらを導入して調整するのもありだ。

ただし、FOVの狭さ、正確には今作のカメラが主人公に近い設定にはプレイヤーに“ここに”注目して欲しいという理由もあるので、少しばかりゲーム体験を損なってしまうので注意して欲しい。

---------------------【総評】---------------------

PC版への移殖に関しては良好で、新生『ゴッド・オブ・ウォー 』はシリーズの物語としては新たな側面をプレイヤーに見せつけ、新しい時代を予感させるような戦闘システムを導入している。

過去作との違いから戸惑うプレイヤーもいるかもしれないが、アクションアドベンチャーの金字塔である『ゴッド・オブ・ウォー』が今も健在であることを示してくれる作品に仕上がっている。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:


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