【ゲームレビュー】Sword of the Necromancer【ローグライクアクションRPG】
死者を操って戦わせる事ができる点が特徴的な見下ろし型視点のローグライクアクションRPG。愛する者を取り戻すために、ネクロマンサーの待つ『ダンジョンの最深部』を目指せ。
----------------------【良い点】----------------------
フルボイス付きの物語
◆ ダンジョン内の新たな階層に初めて訪れる度に主人公『タマ』と『ココ』の回想シーンがフルボイス付きで差し込まれる。
音声は日本語、英語共に良好。声優方の演技が上手く、物語に重みを与えている。音声に関してはあえて、どちらが良いかと言えば、英語版音声の方がキャラクターに合っている気がする。こちらは好みの問題もあるだろう。
また、日本語の吹き替えのみ、収録環境の問題だったのか、一部のシーンでボイスに多少の違和感が発生するが、気になるほどではない。
ゲームの流れ
◆ 『ココ』を蘇らせるためにダンジョンに潜り、最下層を目指す事が本作での最終目標となる。
各階層のラストではボスが待ち構えており、撃破する事によって帰還するか、倉庫にアクセスしてそのまま次の階層へと進むかを選択する事が可能になっている。
倉庫はアイテムを預けておく事で、拠点から預けたアイテムを取り出す事ができる。次回の周回以降で使用したいアイテム、もしくは後程強化したいアイテムがあった場合は積極的に使用すると良いだろう。
帰還せずに進行する場合に気を付けなくてはならない点として、主人公が死亡してしまった場合は現在のレベルが半減し、所持している『ネクロマンサーの剣』以外のアイテムをロストして、拠点からスタートとなる。加えて、1階層からの再スタートとなる。
一方で、帰還を選択した場合は次回にダンジョンへ潜る際に1階層『上の階(レベル)』からスタートとなる以外のデメリットは無く、主人公のレベルや所持しているアイテムも全て次回の探索へと持ち越せる。
要は3階で帰還した場合、次回のスタート地点は現在の『状態を引き継いで』2階からになるわけだ。
帰還した場合は主人公のレベルを引き継げるため、繰り返しプレイしていけば、ある程度の難易度の調整をプレイヤー側で行う事も可能だろう。
ステータスと戦闘
◆ ソウルライクな作品の様に時間経過と共に回復するスタミナの概念があり、スタミナは回避を行う事で消費される。
勿論、スタミナ以外にもHPや攻撃力、魔力、属性耐性といったステータスが主人公には設定されており、レベルが上昇すると共にステータスも自動的に上昇するという従来のRPG作品を踏襲した仕様になっている。経験値の入手方法も敵を倒すというスタンダードな作りだ。
様々なステータスが存在する今作だが、戦闘で最も重要となってくるのは、やはりスタミナだろう。何故なら、戦闘では敵との間合いが重要となるため、回避は敵の攻撃を避けるという本来の用途以外にも、敵に急速に近づくといったように使用する事を余儀なくされるからだ。
攻撃を当てるための間合いは使用している武器毎に異なり、武器には常に装備しておくこととなる『ネクロマンサーの剣』以外にも槍や弓をダンジョン内で拾う事ができる。
武器毎に得意な間合いが違うので、敵毎に使い分けるというのも一つの面白いプレイスタイルだろう。また、武器毎にチャージ攻撃の性能も異なる。
『ネクロマンサーの剣』以外の武器は拠点で強化する事も可能で、強化によって『攻撃力増加』や『HPの最大値上昇』といった特殊な効果を付与する事も可能だ。
ただ、武器を所持したまま、主人公がダンジョン内で倒れてしまうと武器もロストしてしまう事を忘れてはいけない。折角鍛えたアイテムをロストしてしまったら、目も当てられない。
ちなみに強化には素材が必要となり、素材は敵を撃破したり、ダンジョン内のオブジェクトを破壊する事で入手できる。
モンスター使役
◆ 『Sword of the Necromancer』の最大の特徴として、倒したモンスターを蘇生し、使役する事が可能だ。蘇生したモンスターは、四か所の装備スロットの内の一つに装備する事で何時でも呼びだすことができる。
モンスターにはレベルも設定されており、レベルが上昇する事でステータスが上昇したり、特殊な能力を取得する場合もある。
気を付けるべき点として、モンスターにはHPが設定されており、0になってしまうとモンスターは倒され、ロストしてしまう。モンスターの現在のHP残量は画面左下に表示されるスロットに表示されるため、コマメにチェックすると良いだろう。
オプション
◆ オプション内から難易度の調整ができるだけでは無く、死亡時にアイテムをロストするか否か、レベルが低下するかどうかを変更する事も可能になっている。
このタイプのアクション作品が苦手で、ストーリーのみを楽しみたいのであれば、かなり助かる機能だろう。
----------------------【悪い点】----------------------
音量調整
◆ オプション内の『音量の調整項目』が『BGM』と『SFX』しかなく、『SFX』を調整すると『音声とSE』の両方が変化する。個別で設定が欲しいところ。
音声はともかく、SEに関しては均一の音量のモノが少なく、一部のエフェクト音が爆音になってしまっているという問題もある。
共通のスロット
◆ 今作では武器、アクセサリーと復活させた敵(使役している敵)等の装備品は全て、四つ割り当てられている装備スロットにセットされる。
実際には『ネクロマンサーの剣』が常に一つのスロットを専有してしまっているので、使用可能なスロットは三つだ。
おかけで、剣以外の武器を持ち歩こうものなら、今作の特徴である『モンスターを使役する』というコンセプトを自ら壊す事となる。
正直なところ、武器とアクセサリーは別枠で良かったように感じられた。
モンスターの有効性
◆ 今作のモンスター達のAIはお世辞にも良くなく、ザコ戦ではともかく、彼らは殆どのボス戦で役に立たない。
何故かといえば、今作のボスはプレイヤーの使役するモンスター達にタコ殴りにされないように対策が取られており、一定時間無敵になり、特定の行動の後に隙ができる仕様なのだ。
その無敵時間中もこちらのモンスターは攻撃を続けるし、何なら敵の攻撃が来ていようがいまいが関係なく動く。
ランダム性とリプレイ性の低さ
◆ ステージの構造はランダムで変化しているようだが、地形トラップは存在しないため、そもそも構造が変化する事によってゲームプレイに何らかのインパクトが発生するわけでは無い。プレイヤーとしては何も変わらないのだ。
残念なことにリプレイ性に関しては、上記した以外にもいくつかの問題を抱えている。その最たる例が、このタイプの作品でよく見られる、その周回でのみ効果を発揮する強化アイテム、所謂『レリック』の様な装備品、もしくはパッシブの不在が原因の一つとして挙げあれる。
ランダムに入手できる強化要素が無いため、「X能力を偶然入手したので、Y武器と組み合わせられる」といった事が起きないのだ。そのため、必然的にプレイスタイルが変わらず、プレイヤーが自ら進んで変えようとしない限りは、同じようなプレイを繰り返してしまいがちだ。
-----------------------【総評】----------------------
倒した敵を使役する事が可能になるという特徴は面白いアイデアだし、高いポテンシャルを秘めた作品ではあるものの、全体的な練りが足りず、ゲーム本来の良さを活かしきれていないように感じられた。
いくつかの仕様がゲームの特徴を潰してしまっている事は残念だが、シンプルでとっつき易い作品であることには違いないので、シナリオやシステムに惹かれる点があれば、試しにプレイしてみる価値はあるだろう。
プレイ動画をアップしているので、気になった方はこちらを参考までにどうぞ。
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