【ゲームレビュー】GetsuFumaDen: Undying Moon - 月風魔伝【ローグライク/アクション】
※本記事はSteamストアで販売されているPC版の『GetsuFumaDen: Undying Moon』早期アクセス版(5月14日時点)でのプレイのレビューとなります。
ハイスピードな戦闘が楽しめるローグライクアクションRPG。地獄の監視者である月氏一族当主となり、異変の元凶を断つべく、訪れる度に形状の変化する地獄の最深部を目指せ。
----------------------【良い点】----------------------
浮世絵の様な表現とカッコいいBGM
◆ 浮世絵の様な表現で描かれた世界とキャラクター達は個性的で、特にボスのデザインはどれも特徴的で印象に残るキャラクターになっている。ボス戦時に流れるBGMも彼等を印象付ける事に一役買っていると言えるだろう。
『GetsuFumaDen: Undying Moon』で使用されている『BGM』は過去に発売された『月風魔伝』シリーズで使用されたBGMを今作様にリメイクしたモノが多いようで、過去作をプレイした事のあるプレイヤーであれば懐かしく感じるかもしれない。
そうでなくとも、今作のBGMは非常にイカしたカッコいいものが多く、個人的には『龍骨鬼』戦のBGMは是非とも聴いてみて欲しいところだ。
アクション
◆ 主武器(メインウェポン)二つと副武器(サブウェポン)二つを装備する事が可能。主武器には通常攻撃以外にも武器の種類毎に固有のアクションがあり、例えば刀系は『カウンター(パリィ)』、二刀流系は『敵に連続ヒットする回転攻撃』を行う事が可能になっている。
それぞれに特徴が異なるので、プレイヤーの好みに合わせて使い分けると良いだろう。もちろん、狙っている武器が出現するかはランダムなので、その都度出現する武器を上手く使用する事も重要だ。
副武器は使用可能数があり、使用すると時間経過と共に自動的に回数が回復していく仕様になっている。回数が回復する前に使い切ってしまうと長めのクールダウンが始まる。現状では強力な副武器が多く、上手く使う事で攻略の助けになってくれるだろう。
アクションで重要となる移動系アクションだが、今作では初期から二段ジャンプを行う事が可能になっている。ただし、二段目のジャンプの高さ自体は低めなため、移動手段というよりは敵の攻撃を避けたり、位置の調整に使用する事が多い、
ローリングによる回避を行う事も可能だが、いわゆる『無敵時間』が短めに設定されているので過信は禁物だ。
戦闘
◆ 敵の攻撃力は高めに設定されているものの、行動はしっかりとパターン化されているため、下記の別項目で書かせていただく点を除いて、戦闘面では理不尽ではない難易度調整になっていると言える。
特にボスは特定の武器だと攻略が容易になったりと、しっかりと練られた行動パターンになっている。
今作には敵の攻撃に合わせてこちらの攻撃を当てる事によって、敵の攻撃をキャンセルさせる事ができる仕様と刀系の装備品ではパリィを狙う事も可能になっているので、腕に自信のあるプレイヤーは積極的に狙ってみると良いだろう。
アンロックと永続強化要素
◆ 敵を撃破したり宝箱を開ける事によってまれに出現する『図面』を入手する事によって、アンロック可能な武器が増えていく。
武器は図面を入手しただけではアンロックされず、必要数の素材を集めてから消費して初めてアンロックされる。アンロックされた装備はステージ攻略中に登場するようになる。
アンロックした装備は追加で素材を消費する事によって、スキルツリー状に伸びた『技能』と呼ばれるパッシブ効果を解放していく事が可能だ。
一度開放した技能は武器に付与された状態でドロップされたり、あるいはボスクリア後のエリアで解放する事で入手する事が可能。
永続強化要素は『鍛錬』と呼ばれる項目から主人公のHPや攻撃力と言った基礎ステータスの強化を、『秘伝』と呼ばれる項目から『所持できる回復薬の増加』といった追加能力を解放する事ができるようになっている。
『鍛錬』では『精体鉱(鍛錬)』を、『秘伝』では『精体鉱(秘伝)』を消費する事で強化/開放していく事になる。これらのアイテムも『図面』と同様に敵を撃破したり、宝箱を開ける事で入手可能だ。
やり込み要素としてはその他にも、拠点に配置されている『試練の像』から難易度を変更する事が可能になっている。難易度は『証』というアイテムを入手する事で解放されていくので、腕に自信のあるプレイヤーは高難易度でのクリアを目指してみるのもいいだろう。
----------------------【悪い点】----------------------
UIの位置と視点移動
◆ 各種UIとミニマップの表示される位置と大きさが攻略中に邪魔になる。どういう事かというと、例えば右下にミニマップが表示されるのだが、敵にそれが重なってしまう事があり、敵を視認できなくなる場合があるのだ。
主/副武器や強化状況を示す為の他のUIも同様の事が言える。さらにそれに拍車をかけて、画面下に表示されるというUIの位置取りの影響もあって、基本的に主人公の位置が画面中央になるという視点でゲームが進行する。
この影響で敵の視認性がさらに悪くなる。一様はカメラの視点移動を行う事自体は可能ではあるが、非常に狭い範囲に限定されている。
エフェクト過多と敵の視認性の悪さ
◆ 上記の項目で書かせていただいた敵の視認性の悪さには続きがあり、現状では敵を切った時の血しぶきやクリティカル時のエフェクト(漢字で『閃』と表示される)、ダメージの数値等が敵に重なってしまうために、ボスといった大型の敵以外の予備動作がほとんど見えない状態になっている。
他の場面では背景と敵の色がほぼ同色かつ同じ絵柄で表現されているための視認性の悪さ、または画面手前に表示される風景が邪魔で敵が見えないといった事も発生する。
敵の予備動作が見えないという事はこの手のアクション性の高い作品ではかなり致命的な仕様と言える。
最悪の場合はオプションから血のエフェクトだけでもOFFにできると良いので、早めの対応に期待したい。
鬼人化とクールダウンの表示
◆ 敵に連続で攻撃をヒットさせる事で『鬼人化』が自動的に発動し、主人公は一時的にパワーアップする。この仕様自体は問題ないのだが、鬼人化には時間制限があるのだが、その時間を図るためのゲージやメモリの類が一切なく、残りの変身時間が非常に分かり辛い。
また、副武器の仕様周りでも同じような問題点を見る事ができる。副武器には使用可能数があり、使い切るとクールダウンが始まる。
使い切った場合は『30』等とあと何秒後に再使用可能になるのかが分かるようにクールダウンタイムが表示されるので問題はない。
だが、例えば弾数が『5』の武器を2度使用するといつ回復するかの表示が出ない。要は『0』にならなくても自動的に回復するがタイムが表示されないため、プレイヤーは感覚で副武器を使うしかないのだ。
鬼人化と同様に何らかの目安となるタイマー、もしくはゲージの類が欲しいところだ。
一部敵の行動パターン
◆ 一部の敵には予備動作がほとんどない、あるいは見てからほぼ回避不可能に違い速度で動作を行うモノがあり、こちらは今後の調整に期待したい。
ステージ内の『エリア』のバリエーション
◆ 『GetsuFumaDen: Undying Moon』はローグライクな作品であり、マップがランダム生成されるのだが、ステージ毎の違いはあるものの、各ステージの地形(エリアやブロックとも言う)は似たようなものが多く、バリエーションにかけている。
他のローグライク作品で言うところの『チャレンジルーム』、あるいは『アスレチックルーム』的なエリアが存在しない点も残念だ。
2~3度プレイしただけで、観たことのある同じようなエリアばかりになってしまい、新鮮な気持ちで繰り返しプレイするというローグライク作品特有の楽しさを若干損なっている点が残念だ。
こちらも今後の追加に期待したい。
死亡時の引継ぎ要素
◆ 各種アイテムの強化/解放と能力永続強化/解放するためのアイテムはプレイヤーが倒されると殆ど失ってしまう仕様になっており、ゲーム開始時点で持ち帰れる量が非常に渋い。
アイテムを持ち帰るためにはボス撃破後のポータルから帰還するか、能力の解放によって死亡時でも持ち帰る量が増加する能力を早めに取得する必要がある。
参考までに、筆者は本レビュー執筆時点では役7時間半ほどプレイしているが、初期から解放されている武器以外の装備の解放を一つも行う事ができていない。
もちろん、読者には、これはプレイヤーの腕とプレイスタイル、例えば稼ぎプレイをしたか否かに影響される事も留意して欲しい。
ファストトラベル時のマップ
◆ ステージ内にはファストトラベル(今作では瞬間移動という名称)を行う為の装置(鳥居)が配置されてる。装置を調べるとマップが表示され、すでに見つけている他の装置の場所を選択してから、その位置まで一瞬で移動できるというモノだ。
問題はこの時に表示されるマップにある。位置を確認するためにいつでも開くことが可能な通常のマップと同じものを使用しているにもかかわらず、何故かファストトラベル時に開くマップは恐ろしくズームアウトされた状態で開き、ズームインができないのだ。
序盤のステージはそれほど広くないので気付き難いが、後半ではマップが広い(大きい)ので、何が表示されているのかほとんどわからない。通常マップの仕様と同じようにズームインできるように改善されると良いのだが。
-----------------------【総評】----------------------
アーリーアクセス特有の調整不足、今作であればUIや背景、エフェクト等の調整不足が目立つものの、アクション性の高さとアンロックや強化要素等のやり込み要素も豊富で高いポテンシャルを感じさせる作品に仕上がっている。
ちなみに、本レビュー執筆時点ではステージの内容の変化に乏しいという事も相まって、ローグライク作品では無く『武器がランダムなステージクリア型作品』をプレイしている感覚に近い
購入を検討される方向けの注意点としては、本レビュー執筆時点では調整不足と前述の通りにエフェクト過多のために敵の一部攻撃や動作が分かり辛く、プレイ中に少々理不尽な思いをする事になる可能性がある事だ。
プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。