【ゲームレビュー】Rogue Heroes: Ruins of Tasos【ゼルダライク/ローグライクアクションRPG】
『ゼルダの伝説 4つの剣』を彷彿とさせる見下ろし型視点のアクションが特徴的なローグライクアクションRPG。ランダム生成のダンジョンに仕掛けられた謎を解き明かしながら、世界を脅かす巨人を打倒せよ。
----------------------【良い点】----------------------
ゼルダライク&ローグライク
◆ 見下ろし型視点のゼルダライクアクション作品の数自体は少なくないが、今作は原作をほぼそのままにローグ要素をプラスした、ありそうでなかったタイプの作品だ。
キャラクターの動作、音、仕掛け、原作へのリスペクトが随所から見て取れる。特に影響を感じられたのが、『ダンジョン以外のマップとフィールド』だ。
このタイプの作品ではスタート地点からすぐにダンジョンを開始するというのが常だが、『Rogue Heroes』では大きなフィールドを探索してダンジョンを探す事からスタートする。
フィールドの探索ではダンジョンを見つける以外にも、いくつかのアイテムを入手出来るので、積極的に行うと良いだろう。今作のメインとなる大型のダンジョン以外にもちょっとした、小型のダンジョンがいくつかマップ内には隠されているので、それらを探す事もできる。
上記の探索要素はまるで、本当に『ゼルダの伝説』をプレイしているかの様な印象をプレイヤーに与える事だろう。
ちなみに大型のダンジョン付近にはポータルが配置されているため、一度見つけてしまえば村に配置されているポータルから何時でもひとっ飛びできるので、移動が面倒になるのではないかという心配はいらない。
ダンジョン
◆ フィールドの各所に配置されたダンジョンを攻略する事が本作の目的となる。ダンジョン内は入る度に構造が変化し、出現する敵の配置や仕掛け、入手可能なアイテムが異なる。
敵との戦闘も重要ではあるが、『ゼルダライク』作品のメインの楽しみといえば、登場する様々なパズルを解くことにあるだろう。
今作では比較的簡単な仕掛けが多いが、様々なタイプの仕掛けが登場し、プレイヤーを飽きさせない様になっている。
ダンジョン内では、道中で入手できる道具を使用してパズルを解いていく、いくつかの仕掛けが『ゼルダの伝説』の様に用意されている。
主な道具としては『弓』や『グラップリングフック』といった、インスパイア元をプレイした事のある方には馴染み深い道具が登場する。
ダンジョン内の仕掛け、パズルは攻略する事によって永続強化&施設の建設に使用する『ジェム』や、その周回でのみ効果を発揮するパッシブ効果をもたらすアイテムを入手する事ができる。
ゲームのテンポを損なわないような仕掛けが多いだけでは無く、それらを解くメリットがしっかりと用意されているので、苦にならない点が好感触だった。
アクション
◆ 剣による攻撃、魔法や道具を使った攻撃等、取れるアクション自体は少なく、シンプルにまとまっている。また、キャラクターにはクラスが設定されており、それぞれのクラス毎にステータスと固有のアビリティといった違いがある。
初期から選択可能なクラス以外は後記する建築機能を活用する事で、アンロックが可能になっている。
その他にも上記した道具を戦闘で活用する事が可能だ。特にダンジョンの最奥で待ち構えているボスは道具を使う事で攻略が簡単になるので、色々と試してみると良いだろう。
ちなみに、道具にはその周回のみで使用できるモノと、一度入手してしまえば永続的に使用可能な道具の二種類が存在する。
建築&成長要素
◆ 『ジェム』を消費する事で、様々な施設を初期の村で建築する事が可能だ。建設する場所はある程度自由に設定できるため、自分好みで建物の(というよりも村の)レイアウトを調整する事ができる。
建設した施設、例えば鍛冶屋では武器を強化する事が可能で、診療所ではヘルスの最大値を上昇させる事ができる。これらの施設で強化、もしくはアンロックする要素は永続的なモノだ。
アクションが苦手であれば、自キャラの強化に努めてからダンジョンを攻略するのも手の一つだろう。
また、勘違いしている方はいないとは思うが、サンドボックス作品の様に色々と自分好みに細かく施設の外見を変更したり、好きな場所に建設できるわけでは無いので、注意して欲しい。
施設の機能によるアンロック以外ではフィールドを探索する事で、新たな魔法を修得する事も可能だ。
協力プレイとパズルの自動変化
◆ 協力プレイはローカルとオンラインに対応している。
特徴的な要素として、今作ではソロプレイと協力プレイ時ではダンジョン内に出現するパズルの内容が変化する。例えば、公式で解説されている例では一人の場合は『ブロックを四つ動かし、それそれのスイッチの上に置く』という仕掛けが、四人でプレイ時は『四つのスイッチの上にそれぞれのプレイヤーが乗る』という仕掛けに変化するのだ。
そして、今作の面白いところはこういった仕掛けがプレイヤーの増減に対してリアルタイムで変化する点だ。
どういう事かといえば、ダンジョンに入った時点では4人で協力プレイを楽しんでいたとして、途中で3人抜けるとダンジョン内のパズルが自動的に『一人で攻略できる仕掛け』に変化するという事だ。もちろん、この仕組みは2~3人での場合でも同様に機能する。
----------------------【悪い点】----------------------
ステータスのインフレ
◆ 今作での進行をスムーズに行う為には自キャラを永続的に強化する事が前提の難易度調整が施されている。
それ自体は問題ないのだが、ダンジョンやボス戦毎のインフレが激しく、ボス戦はステータスを上げてゴリ押しで倒す形式になってしまいがちだ。
ゲーム自体の面白さとリプレイ性を損なってしまうので、もう少し調整をした方が良いように感じられた。
チュートリアル不足
◆ ゼルダ系作品では徐々に新しい道具が追加されていき、それらの道具を使用して解いていく仕掛けが追加されていくのだが、今作ではそういった仕掛けが序盤から登場する。
この手の作品になれていないプレイヤーだと、攻略方法が分からない、もしくは気付かない可能性がある。
パズル要素と部屋の構造
◆ 良くも悪くも、本家『ゼルダの伝説』シリーズ程の高難易度パズルは出現しない。これはゲームプレイのテンポを損なわないための仕組みだと思われるが、そちらを期待している方は注意して欲しい。
問題となるのがダンジョンの内部構造、正確には各部屋の構造だ。各ダンジョン毎に特徴的な仕掛けはあるものの、部屋の種類(仕掛けの種類や構造の違い)が全体的に少なく、3度も同じダンジョンに入ると見たことのある部屋ばかりになってしまう。
このダンジョンが自動生成タイプの作品をプレイする際には多かれ少なかれ発生する現象ではあるが、今作では特にその頻度が多い。
クラス毎の違いが薄い
◆ ゲームの仕様上仕方のない事ではあるが、クラス毎の違いはステータスと固有のアピリティ一つだけと違いは薄い。
現在は調整アップデートが入ったことで多少は解消してはいるが、初期のクラスで十分事足りる程度になっている。
バグ
◆ 筆者の環境の問題である可能性もあるが、特定のプレイ環境では『フルスクリーン』でプレイ中にたまにクラッシュする。早期に対応される可能性が高い。
同期ズレ
◆ 本レビュー執筆時点では、オンライン協力プレイ時に宝箱や一部の仕掛けの位置がプレイヤー間で異なる場合があるよう。
こちらも上記の問題同様に製作陣が既に認識しているようなので、早い段階で修正されることに期待したい。
-----------------------【総評】----------------------
ローグ要素を兼ね備えた完全なゼルダライクの作品は珍しく、それだけで個性が出ている。フィールドやダンジョン内の仕掛け、パズル要素の作り込みも申し分ない出来になっている。
現在はいくつかのバグとリプレイ性の低さが気になるものの、ソロでも協力プレイでも楽しめるオススメの作品になっている。ただし、協力プレイは現在は過疎っているため、プレイするならフレンドを招待する事をオススメする。
いくつかの点で作りの粗さが目立つが、気になったのならプレイしてみて損はないだろう。
一方で、見下ろし型視点の激しいアクションを期待している方は注意して欲しい。
プレイ動画をアップしているので、気になった方はこちらを参考までにどうぞ。
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