【ゲームレビュー】ENDER LILIES: Quietus of the Knights【ソウルライク/メトロイドヴァニア】
※このレビューはベータ版をプレイした内容をもとに書いています。
ダークファンタジーな世界観のソウルライクなメトロイドヴァニア系2DアクションRPG。『死の雨』によって滅びた王国『果ての国』を舞台に、少女『リリィ』と不死の騎士達の物語が始まる。
----------------------【良い点】----------------------
世界観と音楽
◆ 荒廃した世界と、確かにそこに『誰かが住んでいた』と思わせるような作りの廃墟、どこか影を湛えた登場人物達、これらの要素が決して多くは無い文章量で語られる物語にしっかりと重みをあたえている。
少なくとも序盤では物語の全容は語られず、断片的に情報を繋ぎ合わせていく事で、プレイヤーが考察していくタイプの作品になっている。
BGMはメランコリックで美しい旋律が世界観と非常にマッチしている点もさることながら、建物の内部へ侵入する、もしくは水中に入る事でシームレスにBGMが変化する事も好印象だった。
例えば、序盤に訪れる事となる廃墟となった村では絶えず雨が降っており、環境音とBGMに載せてちょっとしたボーカルが流れている。
このエリア内で主人公が崩壊した家へと侵入すると、ボーカルが聞こえなくなり、雨音が低くなる。些細な事ではあるが、演出としては上々の出来だ。
アクション
◆ 御多分に漏れず、メトロイドヴァニア系作品である今作では、ゲームの進行と共に使用可能なアクションが増えていく。最たるものとしては、『二段ジャンプ』といった進行に必要となるパッシブ能力がこれにあたる。
基本的にこういった能力はボスを撃破する事によって得られるが、今作の特徴として、永続的に使用可能なパッシブ能力だけでは無く、同時に付け替えて使用する事が可能な『スキル』が入手できる。
これらのスキルは他の作品でいうところの、通常攻撃やサブウェポンのような扱いとなる。
初期から主人公が使用可能な『黒衣の騎士』のスキルは通常攻撃扱いになっており、攻撃回数に制限は特に無いが、その他のスキルには使用可能回数やリキャストタイム(クールダウン)が設定されている。
各スキルの使用可能回数は主人公がチェックポイント(レストポイント)を訪れる事で、自動的に回復されるため、特定の敵やボス戦のために温存するという事でなければ、あまり気にせずに使ってしまって問題ない。
スキルが増える事によって、主人公のとれる攻撃方法も増えてくるわけだが、本レビュー執筆時点のバージョンで使用可能な攻撃用スキルはどれも強力で、良い意味でバランスがとれているといえるだろう。
スキル自体は3x2セットまで装備する事ができ、ボタン一つで瞬時にセットを切り替える事ができるため、実質6個のスキルを常時装備できる。
敵や攻略しているエリアによってスキルのセットを付け替え、プレイヤーなりの攻略方法を考えるという面白さがある。
最後になってしまったが、ソウルライクな作品としては珍しく、今作にはスタミナの概念は無い。スタミナが無いことによって、回避行動は連続で行う事が可能ではあるが、回避から次の回避を行えるようになるまでに少し間があるため、回避を連打していると敵の攻撃をもらってしまうので、注意が必要だ。
ただし、回避中の無敵時間自体は他の作品よりも長めに設定されている。
ボス戦
◆ ボス戦では敵のHPを三分の一程削る毎に敵の攻撃パターンが変化する。どのパターンもしっかりと作られているため、攻略自体が面白い。また、上記したように、ボスによってスキルを付け替えて攻略方法を模索する事を楽しむ事もできるだろう。
別の項目で書いたようにボスを撃破する事によってスキルを入手する今作では、各エリアのラストに登場する強力なボス以外にも中ボスのような存在が複数体配置されている。
多くの中ボスはプレイヤーが通常に通る事となるルートには配置されておらず、探索を行い、寄り道する事で見つける事ができる。隠されたアイテムを見つける以外でも、探索する楽しみがあるわけだ。
成長要素
◆ レベルアップ、スキルの強化、今作の装備品にあたるレリックの付け替え等で主人公を強化する事ができる。
レベルアップでは主人公の攻撃力のみが強化される。そのかわりに『お守りのかけら』と呼ばれるアイテムを入手する事で、HPの最大値を上昇させる事が可能になっている。『お守りのかけら』はマップの各所に隠されており、しっかりと探索する事で発見する事ができる、
その他にも、レリックを装備する為にはコストが設定されており、コストの最大値は『魔導の鎖』と呼ばれるアイテムを入手する事で上昇する。こちらも『お守りのかけら』と同様に様々な場所に隠されている。
各スキルはスキルのタイプに応じたアイテムをチェックポイントで消費する事で能力を強化する事が可能になっている。
スキルは強化する事によって攻撃力だけでは無く、攻撃回数の増加やリキャストタイムの減少、他にも攻撃の変化と性能自体が強化される場合もある。
攻撃の変化の例を挙げると例を挙げると『西の商人』と呼ばれるスキルは誘導弾を発射して敵を攻撃するカラスの様な使い魔を召喚する能力なのだが、こちらは一定レベルまで強化を行う事によって一度に発射される誘導弾の数増加する。
上記の『お守りのかけら』を集める事による強化以外は、スキル強化、スキルやレリックの付け替え等は全てチェックポイントで行う事ができる。また、比較的初期の段階からチェックポイントではファストトラベルを行う事ができるようになるため、キャラクターの強化のために探索する際に、この機能を役立てる事ができるだろう。
親切なシステム
◆ マップ画面では全てのアイテムを拾った場所は『青』、取り逃しのあるエリアは『黄色』で表示される親切設計になっている。
メトロイドヴァニア系作品では、特定の能力を所持していないと到達できないエリアや入手できないアイテムが配置されている場合が多く、そういった場所をプレイヤーが覚えていなくてはならない事が多い。
だが、この機能によって、いちいち場所を覚える必要がなくなるため、あとで取り逃したアイテムを探しやすくなっている。
----------------------【悪い点】----------------------
バグ
◆ 再現性があるかどうかは分からないが、水に落ちた際に主人公がジャンプできなくなり、水から脱出できなくなる現象が一度発生した。
ネタバレにあるため、詳細は伏せるが、ゲームがある程度進むととある能力を入手するため、それ以降はこのバグは発生しなくなりそうだ。
※上記のバグはアップデートによって修正されました
マップ
◆ 筆者が見つけていないだけかもしれないが、ボタン一つで一気にマップ画面を開くことができない。少し不便だ。
ちなみに、メニューで事前にマップの項目を選んでいた場合は次回にメニューを開いた際には同じ項目が自動で選択されているため、疑似的に機能させることは出来る。
-----------------------【総評】----------------------
まだ、アーリーアクセスだという点を考慮しても、物語、世界観、アクション、探索要素、BGM、全てが高品質でまとまっており、『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』はメトロイドヴァニア系としては間違いなくオススメの作品の一つだ。
どれかの要素にピンときたら、プレイしてみて損はないだろう。
また、決して簡単というわけでは無いが、主人公の性能が比較的高めである点から、ソウルライクな作品としての難易度は低めに感じられた。
プレイ動画をアップしているので、気になった方はこちらを参考までにどうぞ。