【ゲームレビュー】Vernal Edge【メトロイドヴァニア/2Dアクション】
PS5 コントローラーを使用。クリア済み。※本稿はPC(Steam)版『Vernal Edge』のプレイを基に執筆しています。
あらすじ&ゲーム概要
◆ スタイリッシュな戦闘が楽しめるメトロイドヴァニア系2Dアクション。主人公『ヴァーナル』を操作して、美しいドット絵で表現された、崩壊した空に浮かぶ国々を戦いながら駆け抜けて、主人公の過去の秘密や世界の謎を解き明かそう。
いきなりだが、誤解を恐れずに書くならば本作のストーリー自体は取って付けたような内容になっているので、あまり期待しない方が良い。これは本作の重要な部分では無いが、一応記載しておこう。
その代わりにグラフィックやアクション周りのメインとなる部分はしっかりと作られている。
主人公や敵キャラもさる事ながら、冒険の舞台となる空中に浮かぶ島々はマップ毎にしっかりとドット絵で背景が描き分けられており、プレイヤーを飽きさせないようにできている。
このマップに関しては、少々変わった特徴があり『Vernal Edge』はメトロイドヴァニア系作品としては珍しく、マップが地続きではない。主人公は空飛ぶ船を使用して、空中に浮かぶ様々な島を冒険する事となるのだが、それらの島が“ステージ”となっている。
これらのステージの多くは任意のタイミングで訪れる事ができ、プレイヤーの好きな時に攻略を進められる。ただし、訪れる順番によっては攻略できないギミックが登場する場合もある。
攻略を進める為の移動能力や一部パッシブ能力は『記憶』と呼ばれるアイテムを入手/装備する事で強化されていく。
この『記憶』を装備するにはコストがかかり、コストの上限は探索を通じて上昇させる事が可能だ。ただし、重要な記憶は基本的にノーコストで装備可能なので、コストに関しては心配する必要は無いだろう。
無論、戦闘で利用できる記憶を装備するならば、話は変わってくる。
アクションと戦闘に関しての詳細は別の項目で触れるが、戦闘面の難易度はやや高めな作品となっている。だが、ゲーム開始時に難易度を『Easy』『Normal』『Hard』から選択が可能なので、アクション作品に不慣れなプレイヤーでも問題なくプレイ出来るだろう。
戦闘&アクション
◆ 本作の最大の特徴は『デビルメイクライ』シリーズを筆頭とした、3Dコンボアクション、所謂スタイリッシュアクション系作品から影響を受けている事にある。
戦闘では地上で、あるいは空中でコンボをキメたり、新しく覚えた技を組み合わせて自由度の高い戦闘を楽しむ事が出来る。敵を上空へ斬り上げる『ハイタイム』の様な技もしっかりと用意されている。
呪文(魔法攻撃)を使用する事もでき、少々癖があるがこちらもコンボに組み込む事が可能だ。ちなみに呪文は“マナゲージ”を消費して発動可能で、マナゲージは尽きても自動的に回復する仕様なので、遠慮せずにどんどん呪文をぶっ放していこう。
ここまでコンボについて説明したが、実は敵には耐久値の様なモノが設定されており、それを削り切る事で初めてコンボを当てられるようになる。削り切っていない状態では所謂『スーパーアーマー』状態になっており、攻撃を当ててもビクともしない。
適当に攻撃を当てていると、酷いしっぺ返しをもらってしまうので注意だ。
この耐久値を削りつつコンボを如何にキメて行くかが本作の戦闘での一つのキモとなっており、戦闘を面白く、そして魅力的にしてくれている。
もう一つの面白い要素として、敵に通常の攻撃をヒットさせ、特殊なゲージを貯める事で発動できる技がある。
実は、この技を敵にヒットさせる事で自キャラのHPを回復させる事が可能なのだ。連戦を強いられる場面が多い本作では、如何にこの技を的確に敵にヒットさせていくかが重要となる。
もちろん、この能力はボス戦でも重要となる。
これらの他にも物語を進める事で必殺技の様な強力な能力を入手する事もできるが、こちらはネタバレになるので割愛する。
プラットフォーマー&探索要素
◆ 『Vernal Edge』では戦闘だけではなく、プラットフォーマーとしての質も高い。主人公が訪れる事となる島のいくつかはプラットフォーマー要素、アスレチック要素が満載な島も登場する。
これらの島では単純なアスレチック以外にも、特殊なギミックや簡単なアクションパズルを堪能する事が可能だ。
別の項目でも軽く触れたが、島を訪れる順番によっては、その時点では攻略不可能な仕掛けもあるので、その場合は後でまた探索すると良いだろう。
これはメトロイドヴァニア系特有の特定の能力、主に移動能力を所持していないために発生する現象なので、気にする必要は無い。
ただし、比較的序盤から重要となる移動能力を入手する事が可能であるため、一部のギミックは攻略できなくとも、“移動”事態にストレスを感じる事は無いだろう。序盤からでも本作の操作性は良好だ。
また、本作に登場する移動能力は他のメトロイドヴァニア系作品で見る能力とは少々異なっており、メトロイドヴァニア系作品を普段からプレイしている方でもその点を楽しむ事ができるはずだ。
話を戻すが、ちょっとしたパズル要素やアスレチック、いくつかの場面ではミニゲームを堪能する事ができる。
メインが戦闘という作品ではあるが、飽きやマンネリ化を防ぐためのちょっとした寄り道が用意されている点は有難い。
余談だが、前述した移動系能力は他の能力と同様に何時でも付け替え、オン/オフが可能となっている。探索や戦闘時等に邪魔に感じる能力があるのならば、一度取り外すと良いだろう。
BGM
◆ 些細な事ではあるが、本作のBGMは場面毎にマッチした音楽や戦闘中に盛り上げてくれる上質な楽曲が多い。
ステージ探索時にはやや穏やかな音楽が鳴っているかと思えば、戦闘が開始されると、その音楽をアレンジした戦闘用のBGMが流れ始める。
BGM周りは全体的にできが良く、是非ともサウンドトラックを販売して欲しいほどだ。
SE、敵の種類とマップ
◆ 気になった点としては三つあり、SEと敵の種類、それにマップに関してだ。
まず、SEだが、こちらは自キャラ攻撃時の効果音がスカスカしていて爽快感に欠けている。主人公は剣で攻撃を行うわけだが、敵にヒット時に打撃音の様なSEが流れ、いまいち攻撃時に気持ち良くない。
攻撃時の“気持ちよさ”はアクション作品ではわりと重要な要素なので、今後のアップデートか何かでSEを差し替えてくれる事に期待したい。
敵に関しては、沢山出現するザコ敵のデザインがいまいちパッとしない。極端な事を言ってしまえば、“ダミー”の様な外見をしているように感じられた。
以前デモ版でザコ敵を始めて見た時点では『このキャラクターデザインは仮のモノで、正式リリース時には変更されるのだろう』と思っていたほどだ。
通常のキャラクターやボスのデザインはしっかりしている事も誤解の無いように記載しておこう。気になったのは、あくまでもザコ敵の話だ。
もう一つの気になった点であるマップの方は、プレイヤーが開くことが出来るマップ/ミニマップの事なのだが、かなり見辛く、探索時にあまり役に立たない。無いよりはマシという程度だ。
特にミニマップは主人公のいる位置が表示されないので、現在の地形を把握し辛い。
-------------------【良い点】-------------------
+ 3Dアクション作品から影響を受けて開発された戦闘、コンボシステム。
+ プラットフォーマー要素もしっかりと用意されている。
+ 攻略する順番はある程度任意で選べるため、自由度が高め。
-------------------【悪い点】-------------------
- 一部SEと敵のデザインがいまいち。
- マップ/ミニマップの使い勝手が悪い。
--------------------【総評】-------------------
SEやゲーム性にあまり影響を与えない小さな不満点はあるものの、『Vernal Edge』は戦闘をメインとした探索型アクションとして成功していると言える。
3Dアクション作品から影響を受けて開発された戦闘システムは上手く機能をしているし、メトロイドヴァニア系作品の探索要素とプラットフォーマー要素もしっかりとゲームに組み込まれている。ある意味で、贅沢な作品だ。
メトロイドヴァニア系や2Dアクションが好きな方はプレイして損は無いだろう。是非、今作のユニークな戦闘システムを堪能して欲しい。
プレイ動画をアップしているので、本作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。
他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:
『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?