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日々是紅茶㊹「すぐに紅茶と紐付けたくなったけど・・・リンゴのクランブルと紅茶」

先日、いつもお野菜を届けてくださる八百屋「みつばちハッピ」さんから、「町田農園」さんのリンゴ食べ比べセットが届いた日のこと。
ここ数年、この時期になるとこの「町田さんのリンゴリレー」を楽しみにしている。
「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんでも有名になったけれど、リンゴは無農薬で農家として栽培するのは本当に難しい果物のようだ。
ちなみに慣行農法では春先から冬にかけて約42回の農薬散布が推奨されているそう。
(みつばちハッピさん談)

毎年楽しみにしている「リンゴリレー」


町田さんご夫妻は自然栽培も試みたけれど、長年試行錯誤して研究した結果、年間5回の農薬散布に抑え、また果実になる部分である花が開花してからは農薬を使わない工夫をされて、今に至っている。
交配を重ねて様々な種類のリンゴを栽培されているので、ハッピさんに毎回入荷してくるリンゴの種類はほぼ違ってくる。
だから、私は勝手にこれを「めくるめく町田さんのリンゴリレー」と呼んでいる。
さてさて、そんなリンゴたち。
シナノリップ、エセクタークロス、シナノドルチェ、シナノスイート、シンタ、ブレンハイムオレンジ・・・。
香りもよく、甘酸っぱいリンゴたちにも個性があることが、食べ進めていくと分かる。
直近にいただいたリンゴは、酸味が強くてしゃくしゃくした食感の「ブレンハイムオレンジ」。
このリンゴは、イギリス原産のリンゴで1740年頃に発見されたそうだ。

イギリス原産のブレンハイムオレンジ
この色と模様も渋カッコイイりんご

生で食べてみたら、確かに目の覚めるような酸味が印象的だったのでお菓子作りにピッタリだと思った。ブラムリーのように、焼き菓子にしてみた。
といっても、今回はとてもシンプルに「リンゴのクランブル」。
レモン汁も要らない位スッキリとした酸味がいい感じ♪
粉:油脂:砂糖 2:1:1くらいをポロポロする位にすり混ぜたものを
ソテーあるいはそのまま生の果物の上にかけて、焼き色がしっかり付くまでオーブンで焼くだけ!(ブレンハイムオレンジは火の通りが早かったので、生でも十分だった)
焼きたてでも冷やしてからでも美味しい。

私はちょっとゴロゴロしているくらい
粗いクランブが好き

で、紅茶を淹れようと思った時、ふと思った。
「1740年頃のイギリスのリンゴか~。」
この頃、紅茶の歴史的には・・・と年表を頭の中で取り出してみた。
18世紀中頃。
ざっくり言えば、ちょうど紅茶の需要が急増してきて、東インド会社が中国から輸入するお茶の割合が、緑茶から紅茶に逆転してきた時代。
お茶が上流階級だけの贅沢品ではなく、中流階級の人も紅茶を飲むようになってきた時代。

「おや。そうしたら、当時のイギリス人はこのリンゴを焼き菓子にして紅茶のお供にしていたかもしれないな。」
と思って、「リンゴのクランブル」を検索してみた。
そうしたら、クランブルというお菓子自体は、第二次世界大戦時、食材が配給制になって不足してきたために、お菓子の主原料である小麦粉や砂糖、バターなどが少なくても作れるデザートとして広まったらしい。
(参考:ウィキペディア)

そうか~。
私の妄想は、ただの妄想に終わった。
むしろ、18世紀はスコーンとか「ザ・粉もの」のお菓子が主流だったころで、むしろ粉ものが少なくて済む「クランブル」はいわゆる節約スイーツだった。
今でこそ、使うフルーツによってはむしろ贅沢に思ったりするけれども。
紅茶が広まる時代と(リンゴも含む)クランブルが広まる時代には、同じイギリスと言えども200年近くのタイムラグがあったのね。
ちなみにこのクランブルは、現代のイギリス人も大好きらしい。
こんなに手軽に作れるのに、実際とても美味しいものね。

紅茶の歴史とリンゴの歴史、そして昨今の「粉もの」に関する諸々に想い馳せながら、ありがたく美味しくペロリといただいたのだった。

あわせた紅茶は、セイロンティー。
昨年の紅茶ツアーでもランチタイムに立ち寄った「Tea Jar」のもの。
南部のサバラガムワという産地で作られていて、ティーカクテルやアレンジティーも充実しているお店だった。

Tea Jarの撮影スポット
アリスの気分になれる?かもしれない


茶葉のサイズは、フルリーフのOP1(オレンジペコーワン)。
まるで上等な煎茶のように、綺麗に細く撚れていて、数字の1のようにひと葉ひと葉が棒状になっていることからつけられた名前。
熱湯で淹れてじっくりと茶葉を開かせて、甘く香ばしい香りを引き出す。
このくらい大きな茶葉になると、蒸らし時間が多めにできるので、じっくり抽出したいハーブなどとのブレンドにも適しているように思う。
そして優しい風味なので、ブレンドにも使いやすい。


OP1という茶葉のカタチ

ちなみに、リンゴと紅茶の組み合わせは、青りんごのような香気成分を多く含むと言われている茶葉を選ぶと近いもので寄せるという意味ではより鮮やかな香りが増してくる。
セイロンティーで言えば、ディンブラやウバなど。
ただし渋みが助長されるリスクもある。
そういう場合は甘味をつけたり、紅茶を淡く淹れたり、スパイスを足したりする工夫もできる。
ほぼそのまま生かしてフルーツティーとして楽しむなら、私なら産地というよりも他の視点で茶葉を選ぶかな。
ここで書くと長くなりそうだから、今日はこの辺で。

こちらはウバを合わせてみた

アップルパイに始まり、色々アレンジできるリンゴの季節は始まったばかり。
とりあえず、クランブルにするのがおススメ。
すぐに作れて材料も工程もシンプルで、深呼吸するくらいの簡単さで作れるクランブル。
このフルーティーさ。
紅茶にピッタリだ。
時代は紐つかなかったけれど、味はばっちり紐つく。

りんごの酸味を生かしたサラダも大好き

*おまけのつぶやき*
私が町田さんのリンゴを購入する理由。
もちろん美味しさや減農薬で皮も安心して食べられるという点もある。
けれど実は一番の理由は、
「町田さんご夫婦とお猿除けの番犬が一緒に営んでいるリンゴ農園」とハッピさんから伺ったから。
このエピソードがなんとも愛おしくて、初めて聞いた時、目の前にその光景がパッと浮かんだからだった。
お猿に食べられないようにする必要がある里山の中で、三人四脚(一匹含む)で長年試行錯誤しながら大切に作り続けてくださったリンゴ。
私は、彼らには直接お会いしていないけれど、ハッピさんを通じて出会うことが出来て、ありがたくも私はこのリンゴリレーを楽しむことが出来ている。
いつか直接お礼が言えるといい。


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